拘束者の自由投与実験
気がつくと小さな部屋に閉じ込められていた。昨日は家のベッドで眠りについた筈だ
『お目覚めのようですね、いきなりですみませんが実験に協力してもらいますよ』
『ふざけるな!いきなり実験とか意味が分からない!』
白衣の男はこの部屋に入っていきなり実験だのと言ってくる。人を勝手にこんな部屋に閉じ込めやがって!
『自由投与実験に協力してもらいます。先ずは、この部屋の中ならば自由にして良いですよ』
この部屋は一辺が二メートル程度の正方形の形をした部屋だ。特に何があるわけでも無く、こんな部屋で自由にしろと?ふざけるな!
『こんな部屋でどうしろと言うんだ!』
『どうしろと?私は自由にして良いと言いました』
こいつと話ても無駄だ。こいつが入って来た扉はシャッターが降りてきて出られない。壁は頑丈そうで素手で壊す事はできないな
『この部屋の中なら自由にしてもいいんだよな?』
『はい』
『それなら俺に自由をくれ』
『もちろん、この部屋の中ならばと言いました。この部屋の中の私も例外ではありません。自由をあげますよ』
やっぱりな、こいつは変な理論を持っているのかわかんないけど、まともじゃない事はよくわかった。自由をあげるとかどうやる気だ?
『なら、さっさと部屋から出せ』
『私のできる事でお願いしますよ。私があなたを外に出す事はできません。それに、この部屋の中でのみの自由です』
『それならどんな自由をくれるんだ?』
『もちろん、自由をあげますよ?』
意味が分からない。白衣の男が水を渡してくる、とりあえず水を飲んで考えてみるか
『ほら、あなたは自由になりました』
何を言って…何!?俺の視界に白衣の男と俺が!?幽体離脱でもしたのか!?
『いったい何をした!?』
『言った通りです。あなたを肉体から自由にしてあげました』
『ふざけるな!』
こんな事望んでなんかない!!
『では、次は。あなたをあなたの意識とあなたの記憶から自由にしてあげますよ』
こんなのが自由なんて………
『生き物は自由なんて無いんですよ。自由な思考と言っても、それは記憶と言う情報を受け取った脳の判断。まるでプログラムのように私達は情報の下に動いてます』
だから、生物は機械と変わらない。与えられた以上の事はできないのです