自殺できない呪い
自殺できない呪いとか言う兵器があるらしい。だからどうかしたと言う話だろ、そんな物周りにたまに落ちている不発弾に比べれば脅威にもならないだろ
久しぶりに外へ散歩でも行ってみる。家を出て直ぐに体の無い人間に会った、今日は何かありそうだ。公園には訳のわからない事を口走る人が居て、子供はそれを聞いて面白がっている。怖い顔をした人が教育的に良くないと、変な人間を撃ち殺した。何だ、ただの日常じゃないか、期待して損した
夕方辺りにでもなればそこらの子供達は頭を使ってサッカーを始めた。オレも昔はそんな事してたな、流石に腸を引っ張り出して縄跳びをしようとした時には汚いと言われ止められたが
落ちてる死体を跨いで帰路につく、多分骨が抜かれている所を見ると積み木にでもされたんじゃないか?邪魔だからさっさと掃除しろよ
家の目の前には人が居て、その人を黒服の奴が撃って頭を吹き飛ばした。掃除するの大変なんだけど
「すみません、邪魔でしたのでつい」
全く物騒な話だよ。家の前に倒れた死体を道路に移動させる。手が汚れたし
「新しい兵器の実験体になってくれませんか?」
黒服は何かの開発者らしい、そんな実験体になってもオレに得が無いだろ
「実験が成功した時には、貴方が不自由なく暮らせるように手配しますよ?」
これはなかなか良い話かも知れないな、最近は本当に物騒でたまにミサイルが降ってくる。とりあえず話だけでも聞いてみるか
「自殺できなくなる薬を摂取して、無人島で一週間過ごしてもらうだけですよ。勿論衣食住は保証します」
その話のった、意外と無人島って安全そうだし衣食住も保証される。散らばった脳髄を拭き取りながら了承する。ていうか、お前がやったんだからお前が掃除しろよ、黒服は気が利かないようだ。
ヘリコプターで無人島に向かう事になったが、途中で腐敗した腕に躓きそうになった以外は問題無い。用意されていた家とかは立派なものだし、道具もあらかた揃っているから生活に問題は無さそう
無人島生活を始めて3日が過ぎた。無線で連絡を受けたが少し状況が良くないらしく、一週間で帰れるかわからないらしい
そして6日が過ぎた時、無線によくわからない連絡が入った
「作戦は失敗だ!全てを残して撤退する!」
本当にどういう事だよ。まさかそんな事は無いよな?今は最近は聞いていなかった鮮血飛び散る音が無線から響いている
そして、9日が過ぎた。やっぱりオレを置き去りにしたのか!本来一週間分しかない食料は尽きて助けの予定は無い。命運尽きたか
餓死とか苦しそうな死に方はしたくないな、もっと楽な死に方、この包丁で首を切ったら即死じゃないか?それは良い方法だ
結論を言うと、何故かわからないけど死ぬことは出来なかった。オレは何か忘れているのか?所謂アレだ、オレはまだ死ぬ運命じゃないみたいだな!
この無人島から脱出する為に家の木材を使っていかだを組み上げる。久しぶりに超働いた気がするな
いかだを浮かべてのんびりと、もしかしたらどこかの大陸につくかも知れない。全く、家の壁を削るなんて始めてだよ。
ん?いかだが溶けてる!?あの家は木材じゃなかったのか!?今更無人島に戻れないし!?
慌てて立ち上がると足元が崩れて海に!ヤバい!いかだに使用したロープが絡みついて泳げない!
海に沈む肺に水が溜まる赤血球が水分を求める細胞が酸素不足で死んでいく脳が意識を手放していく
「そうだ、思い出したよ。自殺できない呪いなんかじゃないんだ(死の自由を奪う呪い)なんだ」