落し物 そのニ
交番に着くと、以外に人が多くて驚いた。
親子連れやら、自衛隊さんやら、制服警官たちもあたふたと忙しそうにしていた。
俺達は邪魔にならないように、隅っこの方に移動して待つ事にした。
「わぁ。そう言えば交番って初めてだぁ、観察しよぉぅ」
とアイツがキョロキョロし始めた。
「俺も初めてだぁ」
目をキラキラさせて、弟もキョロキョロし出す。
俺も、ぐるりと部屋の中を見回してみた。
どこぞの保育園から貰った手製のリースがあるぐらいで、面白い物なんて何もない。
俺は指名手配犯と一緒に壁に貼ってある行方不明者のポスターを眺めた。
……ううぅぅんんん……
この子は、可愛いなぁ……
そんな不純な事を考えていると、警官が先客に話しかけた。
「済みません。今人手がないもので、まだ掛かりそうなんですよ。小さいお子さんとか、一度連れて帰られて良いですよ」
そう言って警官は又作業に戻った。
おいおい俺達は、放置かよ。
奥の部屋に中学生の子が四人イスに座り、その周りに親らしい人たちがいる。俺は、万引きだなと、ピンときた。
俺達の順番は、いつ回って来るんだ? 時間かかるよなぁ。財布なんて拾わなきゃよかった。早く帰って飯食いてぇ!
そんな事を考えていると、おもむろにアイツが口を開いた。
「すいませぇん。財布拾ったんですけどぉぉ」
結構な間抜け声だ。
お前、けっこう度胸あるのな。
「あぁ、そうですかぁ。こちらの方かと思ってました」
警官は万引き少年たちの方を指差す。
のほほんとしたコイツと弟を見て、よくもまあ万引き犯の家族だと思ったな。もっと険しい顔をするだろう。雰囲気で察しろよ!
拾った場所は分かりますか? と聞かれ、「あ、えっと、駅の方なんですけど……」としどろもどろになってると、警官が辞典よりも分厚い地図帳を持って来た。
「こっちに来たばかりなんで、分からないんですよねぇ」
と警官はヘラっと笑う。
おいおい、そんなんで大丈夫なのかよ。
「住所とか地名とかわかりますかね?」
と聞かれてアイツがうんうん唸ってる横で、俺はスマートにスマホで検索をかける。
「○○七丁目です」
もちろん俺はドヤ顔だ!
警官が広げた地図の一角を指差して俺は
「ここです。このバス停のベンチの上です」
俺はとてもいい声で、そう言ってやった。




