欲望
そう言えばイッサさんてあんまり食べないよなぁ。回転寿司食いに行っても八皿ぐらい。アイツも同量食べてる。
今、一緒に昼飯食べてるんだけど、なんかふと思った。
「イッサさんてあんまり食べんよね。外食の時、計太郎の食べ残しとか平らげてるから、いっぱい食べてるような気がしてたけど」
「イッサ君は少食だよ。うちより食べんかもね」
イッサさんの代わりにアイツが答える。
「マジで?」
「うん。太らんようにコントロールしてるんだよ。欲望に勝つ人」
イッサさんを指差す。
「うちらは欲望に負ける人」
アイツは自分と俺を指差した。
イッサさんと俺がご飯のおかわりをつぎに行って戻ってくると、アイツも空っぽの茶碗とおかずを交互に見ながら「うちもおかわりして来よっ」とキッチンに向かった。
「見て、見て~」
と二杯目をついだ茶碗を両手に乗せ、アイツは小走りでこちらにやって来た。
「欲望に勝って、こんだけしかついで来んかったよ~」
と満面の笑みで三分の一の量つがれたご飯を見せた。イッサさんがプッと吹き出す。俺はハァと溜め息をついた。
全く……
「おかわりした時点で欲望に負けてると思うんだけど?」
と俺が言うと、アイツはほっぺたを膨らませ
「……欲望に勝ったんだもん!」
と、プイッとそっぽを向いた。
*
俺の家族は少食の方だと思う。寿司で言えば、計太郎と姉2号が六皿。イッサさんとアイツが八皿。俺と姉1号が十皿。
皆どれぐらい食べるんだろうな?




