表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/50

体操

 アイツは突然思いつき、テレビで習得したダイエット方を始めた。

 アイツは三日坊主どころか、一日しか持った事が無い。三日続けば良い方だ。今回は、どれ位続くだろう。

 だけど……アイツの姿……。ププッ。

 台の下に足を突っ込み、横向きに寝転がり、横腹の筋肉を鍛えるべく、上体を起こす。

 それを何度も繰り返している。

 それをじっと見ていると、その姿はだんだんとトドに見えて来る。

「まるで、トドだ……」

 俺がボソリと呟いた言葉に、アイツは体操を止めガバッと立ち上がった。

「トドじゃ無いもん! フン、フン!」

 と、アイツは膨れっ面をする。


「ぞろりん! アイツ、あんな事言うよ……酷いよね」

 と、アイツは誰かに話し掛けた。

 ん? 誰に話し掛けてるんだ? そう思って俺は振り返ってみた。

「!!」

「お前! 何フィギアに話し掛けとると? 痛いわ!」

「あぁあ。なみちゃんのウエスト良いなぁ」

「は?? それ細過ぎだろ! もうそれ、内蔵無いって! ねぇ」

 俺はリビングにやって来た姉一号に同意を求めた。

「本当だ! 内蔵無いって!」

 姉一号が、話しに加わる。


「女って、なんで細く成りたいと?」

「まぁ、ほら、あれさ。トドだって人魚に憧れるんだよ」

「あ~。成る程ね」

「あっ。トドじゃ無いわ、ジュゴンだった」

「あんま、変わらんて!」

 アハハハ…。

 俺と姉一号が軽快に話を進めると「失礼な!!」とアイツは、違う体操を始めた。

 ぎこち無い体操を繰り返し、その日は終わった。


 次の日。

「あぁぁぁぁぁ、筋肉痛ぅぅぅぅぅl! いたぁぁい!」

 アイツが大声で叫んでいる。うるさい。

「今日も頑張る!」

 今日もするのか……あの「トド体操」思わず出た言葉に、アイツは敏感に反応した。

「トド体操じゃ無いもん! もうトド体操はしないもん!」

 膨れっ面だ。

「トド体操って言ってるし…」

「うるさい!」

 あっ……キレた。


 今日の暇つぶしが出来た。コイツをいじる事。

 いつもは、弟をいじっているが。遊びから帰って来るまでは、コイツをいじり倒そう。

 ププッ

「トド体操」

「だから、トド体操じゃ無いもん。お前もやって見ろ! トド体操」

 ははっ。又言った。バカだこいつ。ププッ笑えるぅぅ。

 動く姿はコミカルだ!



 何日か経った。

 今回は、頑張るな。もう一週間続いてる。何でだ……

 そうか、解ったぞ。

 俺の卒業式と入学式があるからだな……

 又、無駄な努力を……

 「誰も見らんて!」

「だって。スーツが、キッチ キチなんだもん! 少しは細く成んなきゃ!」


 は~ははは。無駄な努力を……


 【母の呟き】

 いやあ。ほら、もうそろそろ健康の事を考えないといけない年齢だから、ねぇ。







評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ