受験
2月か…。昨年の今頃は俺も「果たして志望校に受かるのか」と、不安な毎日を過ごしていた。
俺が受験した高校は、家から車で45分の場所にある。でも市街地を抜ける為、ラッシュ時は一時間半ぐらい掛かる。
母親が送迎してくれたのだが…
高校から六百メートルぐらい離れた場所にリサイクルショップがある。そこの第2駐車場が高校のすぐ側にあって、高校の行事のたびに保護者がそこに車を止めるので、教師たちが誘導に当たっていた。教師が車に近付いて来る。
「お早う御座います。お子さんの送迎ですか」
「はい」
「ここはリサイクルショップの駐車場ですので、お子さんを降ろしたら直ぐに出てもらえますか」
強面の教師が言うが、アイツは怯まない。
「リサイクルショップに行くなら良いんですよね、ここに止めても」
「…………はい、そうですね」
その教師は顔をヒクつかせながら離れていった。でもこれは方便などでは無く、アイツはここに来るのを楽しみにしていたのだ。
「よし。明日と明後日はマンガを読みまくるぞー!」
と、昨晩は張り切っていた。俺の受験はどうでも良いのか! と言いたい
「新しいの発掘しよう!超楽しみ♪」
……俺の受験はどうでも良いのか……
今日は俺の分と自分の分の弁当を作ってきてある。準備は万端だな、おい!
初日の試験が終わって車に戻ると
「お疲れー。どうだった?」
ニコニコ顔のアイツに聞かれた。
「山勘が全部外れた……受かる気がしない……」
「そう」
軽い返事だな。
「ほら、見て見て!」
落ち込んでいる俺に戦利品を見せるアイツ。何かムカついてきた。
「ワン〇ースの画集!!」
「………」
結局アイツは、俺の受験の三日(前期に落ちた)受験で大変な俺をよそに、マンガを堪能したのだった。
受かったけどな!! 何かムカつく!!




