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トイレ
俺は、よくトイレに籠っている。
「トイレに住んでいる」と、アイツは言う。
失礼な!
まぁ。俺自身、トイレに長く入っている自覚はある。
朝の、忙しい時間などは「誰か、トイレに入る?」と確認してから入るようにしている。
朝から十分も籠られると、流石に迷惑かと思うからだ。
「うお?!」
トイレの中から、奇声が聞こえた。
ゴン!!
不気味な音も聞こえる。
俺の神聖な場所で、何をしている!
あっ、出てきた。
「……何やってたの……?」
との、父の問いに
アイツは恥ずかしそうに
「あのね。パンツ履いて、ズボン上げようとしたら、便座カバーも一緒に挟んじゃって……。一歩前に出て便座カバー元に戻して、その位置で前向いてズボン上げようとしたら、頭打ったぁ」
アイツは、テヘッと笑いながら頭をさすった。
皆は、大爆笑だ。
確かにうちのトイレは狭いけど。
あー、バカだこいつ。相変わらずだ。
俺の神聖な場所で、変な事すんなって
……あたかも、俺の部屋みたいに言ってるし……
意味、分かりましたか?
通じ無かったら、ご免なさい。