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ヤッケ
「じゃあさ、ヤッケ着て行けば良いじゃん」
「は? ヤッケて何や。どこの国の言葉や!」
「言うよねぇ。ヤッケて…知らん?」
姉1号は、今度は知らないと言った。
「ほら、ヤッケよ。薄くて、カッパみたいなやつで、雨は通すけど、風は通さないの」
「えっ? 雨を通すんじゃ意味無いじゃん!」
風呂から上がって来た姉2号が新たに加わった。
「うんん、それで良いんだし。風を通さない為の服なんだから!」
「で? その風を通さない服が何に成ると?」
その一言で、皆の視線が集まる。そして、アイツと姉1号が吹き出した。
その言葉を吐いたのは、俺だったからだ。話してるうちに、何だったか忘れてしまったのだ。
「…あんたが通学の時に着る服の話しやろ? 何すっとぼけちょるとや!」
「パーカーはかさばるからヤッケにしたらって言う話ししてるのに、…アホ?」
その言葉に俺も笑い出した。
※ヤッケ:フードの付いた防風・防寒用の上着。(ドイツ語)
「ほら! 日本語じゃ無いじゃん!」
(時太郎)




