離婚率
俺が小学生の頃、このアパートの離婚率がかなり上がった事があった。
三階建ての十二戸。俺達が引越して来た頃は、アパート全体が和気あいあいとしていた。
四年程経った頃だったろうか、中の人達が次々と入れ替わっていき、…そんな時、俺の友人の母親が出て行った。上の階の人も離婚した。
友人の中には元々母子家庭の処もあったので、俺は何も考え無いままにアイツに質問していた………。
中一の頃、俺は肥満一歩手前の体型をしていた。太り出した自分の体型を気にしてアイツは俺に
「一緒に歩こう!!」
と提案したのだった。
「夕方6時から歩こう」
と言うアイツに
「嫌だ7時がいい!」
と言う。
だって…部活帰りの友人達に遭遇するのが嫌だから…。
「6時にしようよ~」
「嫌だ! 絶対7時から!!」
これだけは譲れ無い…。
「分かった」
アイツが折れた。
次の日の夕方から一緒に歩き出した。
「もっと速く歩いてよ~」
アイツは歩くのが速い。
「面倒くさい」
と思いながら歩く俺は、少しでも楽しく過ごせる様にと、この樹からあの樹までダッシュ!と、突然走り出したり。競歩の様に競い合って歩いたり。そして色んな話しをしながら歩いた。
主にマンガの話しだったが…
「イッサは、お前のどこが良くて結婚したんだろうね」
「可愛い処じゃない?」
満面の笑顔だ。俺は苛めたくなった。
「実はお前の事、もう嫌いなんじゃね?離婚したいと思ってるかもよ?」
アイツはむっとする。
「そんな事無いもん」
と言って歩みを早めた。俺は尚も食い下がる。
「イッサとお前が離婚したら俺どっちに付いて行こうかな~」
アイツは更にむっとして、競歩並の速さで歩いて行く。俺も負けじと横に並び
「やっぱ、イッサかな~。いやでも飯が作れんか~」
と延々そんな事ばっかり言っていたら、アイツは急に立ち止まり
「もう、何でそんな事ばっかり言うと? 時太郎のバカ!!」
と言って、大股で歩いて行った。
俺はトボトボと歩く。アイツとの差は広がるばかり。
早く帰り着いたアイツは風呂場に居るらしい。湯船に浸かる父に逐一報告しているのだ。
悪魔の囁きも今日で三日目だ。とうとうチクる事にしたらしい。
ちょっとやり過ぎたか?
「時太郎、あんまりお母さんを苛めるな」
と父にたしなめられた。
ふん!怒られたじゃん!!!
それからも一緒に歩いたが、あの事は一切口にしていない。
俺、偉い!!
ちなみに今の俺は、スラッと格好良く成った。
そして、アイツはブクブク真っしぐら!
子どもって、時に残酷ですよね。
たまに、マジでへこみます。




