表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
2/50

 俺がまだ中学生の頃の話だ。


 ◇


 今朝もアイツは機嫌が良い。

「おはよ~~」

「ねぇ、ねぇ、朝だよ!朝!」

「……………」

 小さくて、ぽちゃぽちゃっとした手が伸びて来る。

 来たなこの野郎。毎日俺の腹を狙いやがって、させる物か!

 俺は布団をぐっと腕で押さえ、進入して来る手を阻止する。

「う~~っ。ぷよぷよお腹が、触れ無い~~っ」

 ははっ、悔しいか。ざまあ見ろ!

 さてと、俺はもう一眠り……


 暫くして、又 足音が近付いて来る。

 来た来た。

 アイツはパイプベッドのはしごを、ミシミシと登って来る。

「朝だ 朝だ~よ♪ あ・さ・が・き・た~♪」

 そして、大音量で歌いながら、俺を起こしに掛かった。

「…………」

 あぁぁぁぁぁ、うるせぇ。

 何で朝っぱらからあんなに元気なんだよ。まだ、六時半だぞ!

 はぁぁぁぁ、めげて来る。

「起きた? 起きた?」

 歌い終わったアイツはニコニコしながら聞いて来た。

 俺が返事をしないものだから、又、布団の中に手を入れて来る。

 くそっ。この野郎。させるか!

 布団の中の攻防。

 ……よし。勝った!

 暫しの攻防の末、俺が勝利した。

 そんなのどっちでも良いって? いやいやいや、これから一日のモチベーションが違ってくるだろ!

「起きた?」

 ハイハイ、起きた、起きた。

「………」

 あ゛ぁぁぁぁぁ、声が出ない。

「ねぇってば!」

 起きたって!!

 あ゛ぁぁぁぁ、声が出ねぇぇぇぇ。

「……お・ぎ・だ……」

 俺がやっと絞り出した声に、アイツは「よし!」と満足気に降りて行った。

 朝っぱらから、勘弁して欲しいょ。でも、一人で起きられ無いので仕方無い。

「……我慢するか……」

「えっ、何て?」

 聞こえたんかい!

「……何も……」


 と言う訳で中学時代の俺の朝は、こんな風に始まっていた。


 今は、任せろ!

 俺様を誰だと思っている。

 ちゃんと携帯のアラーム機能で起きているぞ!

 アイツの歌も聞かなくて済むのだ。毎日快適だ!

 ちなみに今は五時四十分に起きている。

 俺様、偉い!!


 【母の呟き】

 目覚ましで起きて来ない時太郎の扉をノックしてやってるのは誰かな?






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ