彼女
「もしもし、何歳?」
「へ~。俺? 何歳だと思う?」
「18歳?。15!」
「うん、うん、切るわ。じゃあね。ばいばい」
俺達の間で、『〇〇さん』と言うサイトが流行っている。
そのサイトにアクセスすると、知らない人に電話が繋がる。
男の人が出る。何度もかける。たまに女の人が出る。何を話して良いのか分からない。
友人達は、このサイトで女の人との出会いを求めている。
女の人が出ると
「メル番教えて!」
と言っている。彼女が欲しいらしい。
俺にはまだ、そう言う感情が解らない。俺は異性を好きに成った事がない。
と言うか、そもそも“好き”とはどう言う事なのかが解らない。
弟は小学一年の頃、好きな子が五人も居たらしい。
…ませガキが…
どうしたら好きに成れるんだろう。
どう言う事を好きと言うのだろう。
何でコイツにはそう言う事が分かるんだろう…。
「ねぇ、どうしたら好きな人が出来ると?」
聞いてみた。中1の頃だった。
途端にアイツが吹き出した。
「あんた! 小学一年生に何 聞いてると? アホじゃね?」
「だって、分からんし」
俺は口を尖らす。
「どう言う事を好きって言うと?」
「う~ん。そうやね~。何をしていても、その人の事を思い出したり、今何しているのかなって気に成ったり、学校でもその人に目が行たり…そんな感じ?」
「…ふ~ん…。やっぱり分からん」
「高校生に成ったら、自然と好きな人も出来るんじゃね?そんなに慌てんでも…」
「だって、友達には好きな人が居るんだって」
「あんたは、あんたよ。ゆっくりで良いんじゃねえの?」
「そうかな?」
「そうさ!」
こう言う時のコイツは、頼りに成る。思いたく無いけど、良い相談相手に成る。
…くそっ、何か、悔しい。
でも最近は、どう言うのを可愛いと言うのかが少しだけ解ってきた。
…ような気がする…




