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月刊宇宙人  作者: 牛方巴
9/9

滝本信彦 3

「編集長。俺、やっぱり小説書きます」


そう編集長に告げたのは、12月下旬の朝だった。


 編集長は、1月号の記事だけ書いてくれといった。それが終わったら出版社へ行けとも。

 考えに考えた結果だった。成功したい。その思いが昔からどこかにあったからかもしれない。俺は、小説家として名を残そうと決意した。


 もちろん、失敗の可能性も考えた。それでも、何とか老後まで持つだろう。


 皆は祝福してくれた。一番長い付き合いだった江本は、どでかい花束を持ってきた。

 大晦日まで仕事をして、除夜の鐘がなり終ったらここを去る。かっこいい設定。

 白髪も見えてきた四十代は、実は目立ちたがり屋だった。


 

[『おじいちゃん、宇宙人はやっぱりいなかったよ。でも、人間ならいっぱいいたよ。僕は、人間と友達になるよ』おじいちゃんの写真が少し揺れた。おじいちゃんの顔が笑った気がした]

 エンターキーを押して、『宇宙人探索』の最終話を挙げた。

 

 パソコンを閉じて、通勤バッグも閉めて、最後に編集部をぐるっと見渡した。

 除夜の鐘はまだ鳴っている。ついでだから、そう広くない社内を一周して来よう。

 さすがにこの時間帯に人はいなかった。警備員のおっさんもいないから、少し不安になった。

 

 会社の外に出た。この辺は夜は暗い。人の気配もない。除夜の鐘はまだ鳴っている。

 「ザ・スペースコーポレーション」

 江本たちはお祝い&お別れパーティーを開いてくれた。12月号にやめることをかいたら手紙がいっぱい来た。編集長は給料袋の中に手紙を入れていた。


 「ザ・スペースコーポレーション」

もう一度つぶやくと、涙が出た。

 除夜の鐘は、鳴りやんでいた。

 変な終わり方でごめんなさい。

 文才がないもので……

 もしかしたら続編を書くかもしれません。

 その時はよろしくお願いします。

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