麻木海斗 2
俺は、宇津谷博士のところへ行くことにした。
月刊宇宙人に載っていた宇津谷博士の住所を書き留め、よく晴れた日曜日の朝、宇津谷博士のもとへ向かった。
こういうのって、普通はアポとか取らなきゃいけないんだろうけど、そんなのどうでもよくて、とにかく変身したくて、ためていた三万円を握りしめて、【吟遊詩人通り】に行った。。
宇津谷博士の自宅は、すぐにみつかった。紫色の屋根に、黄色の壁。ポストはグロテスクな緑で、芝生は真っピンクだった。形も見たことがないようなもので、楳図かずおを抜いていた。
そして、なぜかここだけ人通りが少なかった。
インターホンを押すと、見たことのある顔がひょこっと出てきた。
「あら、お客さんね。いらっしゃい。月刊宇宙人の読者だね。君は変人になりたいのか。なるほど、まあ、上がんなさい」
宇津谷博士は、俺の言葉も聞かぬまま中へ入ってしまった。俺は立ちすくんでしまった。
「早く来なさいって。変わりたいんだろう。顔に書いてありますよ」
確かに宇津谷博士は変人だった。
家の中は真っ青で、機械とかパソコンとかよくわからないものとかがずらっとあって、書類があちこちに散らばっていた。
その奥に、雑誌に載っていた機械があった。
月曜日
「おい、あいつおかしいんだよ。今まで真面目君だったのに」
「何言ってんだこいつ」
「ねえ、聞いてよ。俺さ、忍者が化けた猫に後をつけられているんだよ。ほんとだよ、信じろよ」
麻木海斗編、終わりました。
次回の予定⇒⇒⇒生野拓登