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麻木海斗 前編
俺は、ちょっと変身してみたかった。
昔っから真面目キャラで、それが本当の俺と食い違っていて、たまにジョークなんか飛ばすとスゲーひかれた。
だから、変わってみたかった。
「月刊宇宙人」っていう雑誌を、俺は定期購読している。
俺は本当は変人だ。本とかよく読んでいるから真面目キャラと思われがちだけど、あれは全部表紙を付け替えたSF小説。変人と思われたくなくて、そうやって読んでいた。
クラスメイトが、「お前、実は変人なんじゃね?」とか言っていた。
「違うよ、そんなことないよ」って言っておいたけど、図星だった。
いっそのこと変わってみようかと思った。
「月刊宇宙人七月号」が届いた。表紙を見て俺は息をのんだ。
【真面目君は変人になれる!?宇津谷博士の大実験!!】
宇津谷博士は、月刊宇宙人のお抱えみたいな人だ。その博士が、変人キャラに変身できるというマシーンを開発したらしい。
俺は、変身を決意した。