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第7話 スライム捕獲

 魔法講習では、前回習得できていなかった治癒魔法の〈ポイズンキュア〉をまだ完全とはいかないが、なんとか習得することができた。教えてくれた講師のサリー先生も覚えがいいと褒めてくれた。これで毒に対抗する魔法を覚えることができた。レベルが上がってくれば猛毒のブレスを吐いてくるバジリスクの討伐もできるかもしれない。

 午後から向かう先はラモーネから南東にあるヘルマ湖という湖だ。スライムの生態系は未だに謎に包まれた部分があるが、湖の近くでの目撃情報が多い。スライムと言えば弱い魔物の代名詞となっているが、それは攻撃性が低いが故の誤解であると思っている。もしスライムの攻撃性が高かったなら、スライムによる冒険者の被害は今よりもはるかに高いものになっていただろう。生き物の顔に張り付き、呼吸を止めてしまえばお終いだ。一度張り付いたら剥がすことは容易ではない。だからスライムを倒すときは気づかれないように近づき、コアを不意打ちするか、こん棒やハンマーを使いスライムの体全体を叩くというやり方が主流になっている。だが今回は契約のためにスライムを捕らえなければならないのでそのやり方は使えない。

 途中の森を抜けたところにヘルマ湖はあった。水の透明度が高い透き通って綺麗な湖だ。ロイは辺りを見回しながらスライムを探し始めると意外にも早く見つけることができた。

「ゴーレム召喚」

 どうやら見つけたスライムは一匹で、食事中のようだ。召喚したゴーレムをゆっくりとスライムに近づけて食事中のスライムを刺激する。怒ったスライムはゴーレムに向かって飛びあがって攻撃を仕掛けるが、あえなくゴーレムによって叩き落とされる。落ちて動かなくなったところをロイがスライム袋で回収する、という流れだ。叩き落されたときにそのまま死んでしまうこともあるため、力加減が難しい。

 そうこうするうちに五匹のスライムを捕らえることができ、一匹との契約を済ませて残りはギルドに買い取ってもらうことにした。生きていたほうが高値で買い取ってもらえるが、難易度を考えれば討伐した方が効率は良いだろう。

 ラモーネに帰ってスライムの買い取りを頼むと、スライムが生きていたせいか受付嬢のモモさんが驚いていた。

「生きてるスライムなんて珍しい~。よく捕獲できたわね」

「そうですね、すこし苦労しました。あ、あとミスリルモールの依頼ってありませんでしたかね?」

「ミスリルモールの依頼は……、今は出ていないわね。素材が貴重というだけで、こっちから危害を加えなければ襲ってこない上に戦闘能力はそこらの冒険者ではとても倒せないほど強い魔物だからね。討伐実績もほとんどなくて、滅多に無いけどたまたま死んでいる個体を回収するくらいね。」

「そうですか……、じゃあ、その目撃された場所がどこなのか教えてもらえますか?」

「ええ、いいわよ。ちょっと待ってね──。あったこれだわ。はい、どうぞ。ちなみにお代はいらないわよ、もともとこれくらいのものならもらってないから」

「ありがとうございます」

「強い魔物だから無理しないでね」

 そう言ってモモさんはいつもの笑顔を見せてくれた。

 何故ミスリルモール討伐をしようとしているのかというと、第一にお金になるというのが大きい。一頭だけでもかなりの金額になるはずだ。それからミスリルモールは消化を助けるためにミスリルをかみ砕いて食べる習性があると言われている。実際に皮膚と爪などはミスリルほどの硬さがあるそうだ。特に歯はミスリルをかみ砕くため、ミスリルよりも硬い。だから素材としても魅力的で、大金も稼げると良い事尽くめなのだ。難易度は高いが挑戦する価値はあるし、いけそうな作戦も思いついている。


 翌朝も午前中は魔法の講習を受けてきた。〈ポイズンキュア〉の次は支援魔法の〈ヘイスト〉という人の動作を速める魔法を教えてもらっているが、なかなか成功しない。地道に練習していくしかないだろう。〈ヘイスト〉の効果は一定以上まで速くなると急速になくなっていくそうだが、まだ駆け出しの冒険者なので習得しておいて損はないと思っている。午前中は魔法の練習、昼はギルドの依頼、そして夜は錬金術のレベル上げをしていて結構忙しくしている。最近は時間がなくて錬金術の素材は道具屋で買ったものを使用している。

 ここのところ依頼をこなしていく中で移動距離の長さと荷物が多くなってきていると感じる。そろそろ馬を買った方がいいのかと思っているが、もう少し丈夫そうな生き物はいないかと冒険者ギルドの人に相談したところ、シャイロンという胴体は馬と似ているが、頭がクチバシの無い鷲のようで、馬よりも耳が少し長くて体も一回り大きくて足も太い騎乗生物がいるらしい。翼がないのでヒポグリフとも違うということを聞いた。取り扱っている場所も教えてくれて、その場所まで同行してくれるそうだ。

 ラモーネの街には頻繁に訪れているが、シャイロンのことは知らなかった。冒険者ギルドに来ている冒険者の会話からも聞くことはなかったからだ。そもそも馬でさえも高価なものなので一般の冒険者では手に入れるのは難しいのかもしれない。そして馬よりも高価なものなら冒険者の間で聞くことがないのも当たり前だった。

「こちらが騎乗用生物取扱店になります」

 お店は広い一階建ての建物があり、木の柵でできた入り口を通ると建物の横に柵で囲われた場所に広大な庭が広がっていた。

「ありがとうございます」

 ギルドの職員はお店の担当のところまで案内してくれてからその場を後にした。

「本日はお越しいただきありがとうございます。このお店の案内と説明をさせていただく店長のジャックと言います」

「あ、よろしくお願いします」

「シャイロンの購入を検討されているということで、早速見ていきましょうか」

 すぐに購入という感じではなかったのだが……、ここはあまり押され過ぎないように気をつけないといけないと思った。

「ちなみに大体でいいので相場を教えてもらってもいいでしょうか?」

「はい、もちろんです。この店にいるものですと……、大体こんな感じでしょうか」

 そう言って相場の数字を見せてくれたのだが、やはり高い……。予想は当たっていた。冒険者ギルドの連中の会話に出てこなかったのも頷ける。ゲーデルに資金を渡してしまっているので結構な額が足りない。

「あのー、一日借りてみてから決めるというのはできませんか?」

 資金が足りないので、交渉してみることにした。

「ええ、まあ、できないことはありませんが、その場合うちの従業員と同行という形になりますがよろしいですか?」

 できないと断られるかと思ったが、できるようだ。

「はい、それでお願いします」

「それでは実際に連れていくシャイロンを選びに行きましょう」

 建物の横にある大きな庭に案内されて、

「こちらから見て、右からハチ、テン、ボボと名前がついています」

 ジャックが歩いてきたのが見えたのか、三頭がこっちにトコトコと近づいてきた。

「それで、どの子にします?」

「えー、そうですね……」

 大まかな見た目でいくと、ハチは金髪の栗毛。テンは黒髪の鹿毛。ボボは白髪の芦毛だった。

 性格は三匹とも人懐っこい感じがして良さそうだ。悩んでしまうのでここは直観で決めることにした。

「では、このボボにします」

「おー、そうですか。この子はとてもいい子ですよ。それでは早速お借りになりますか?」

「いえ、借りるのは明日の午後からでもいいですか?」

「ええ、構いませんよ。わかりました、では明日の午後からということで承りました。お待ちしております」

「それでは、また明日」

 明日はいよいよ一攫千金を狙ったミスリルモール討伐だ。一日だけの借りものだがシャイロンと共に旅ができることになったのでとても楽しみだ。

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