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第3話 冒険者ギルドの依頼

 バハムの家に帰ってゲーデルに会ってきたことを話した。同年代の友人ができたことを素直に喜んでくれていた。それから町の男は十五歳になると鑑定を受けると共に独り立ちするのが習わしだ。だからロイもこの家を出てひとまずラモーネに拠点を移して活動しようと思っている。

 朝になり出発の身支度をしていると。

「おう、じゃあしっかりやれよ」

「あんまり無理しちゃだめよ。辛かったらいつでも帰ってらっしゃい」

「まあ、せいぜい頑張りなさいよ」

 と家族それぞれから言葉をもらってから家を発った。

 今生の別れではないが少し寂しい気持ちになった。両親はいつも優しくて、思い返せば姉も口は悪いがなんだかんだ弟思いの人だったと思う。

 ゲーデルとはラモーネの冒険者ギルドで直接待ち合わせることになっている。

 これからロイの冒険が始まるのだ。


 ラモーネの冒険者ギルドに入るといつものごとくたくさんの冒険者たちがいた。依頼が張り出してある掲示板には人だかりができている。ちょうど依頼が張り出される時間だからだろう。ギルドの依頼はジョブ持ちでなくても受けることができる。そうでなければ依頼を受けれる人がほとんどいなくなってしまうからだ。ただ高難度になれば必然的にジョブ持ちでなければ達成が困難となる。

 ゲーデルは入ってすぐ左の壁際の席に座って待っていた。

「やあ」

「おう」

 少し談笑した後、受ける依頼を決める。錬金術のレベル上げで使う薬草の採取とホーンラビットの討伐を受けることにした。ホーンラビットは駆け出しの冒険者が時々やられてしまうこともあるが、角が比較的高値で売れるので人気の依頼となっている。

 討伐は順調だった。少し慣れてきたゴーレム召喚で魔物の攻撃を防いで格闘術でとどめを刺す。あるいはゲーデルの銃で倒す。という流れができてきた。しかしゲーデルの銃は威力に注意しなければ魔物の体すべてが跡形もなく吹き飛んでしまうので込める魔石の強さ加減が重要になる。日暮れまでに残った時間を薬草採取に当てた。依頼量を超えたものは錬金術のレベル上げでポーションをつくる素材にする。

 ゲーデルとの初以来は無事に終わった。冒険者ギルドに戻って受け取った報酬を山分けした時にゲーデルは嬉しそうな顔をしていた。なにせ初めて依頼を受けての報酬だし、村で少ない資金での製作を続けて、村人からも疎まれていたのだからなおさらだろう。活動資金の余裕は心の余裕にも繋がってくるものだと思う。

 宿屋はラモーネの街にある比較的冒険者ギルドから近い場所に泊まることにした。資金的にもっと余裕ができるまでゲーデルと同じ部屋に泊まる。料金が安い割には広い部屋なので二人で泊まるには十分だ。明日は午前中に装備や魔法書などの書店を見て、昼からギルドの依頼をこなすことにした。ゲーデルは銃の改良で使う部品が売っていそうなところを見て回るそうだ。そうやって明日のことを考えながら寝る前にポーションを作り錬金術のレベル上げに勤しんだ。


 朝になり身支度をしてから装備品の店へ向かう。装備品の店はビルという髭がもじゃもじゃのおじさんドワーフが店主を務めている店だ。いいものが置いてある店だが値段を見るとまだ資金的に欲しい装備には届きそうにない。

「何を探しているんだい?」

 ビルが話しかけてきた。

「モンク用のガントレットを探しているのですが……またお金を溜めてから来ます」

「そうかい、ところでお前さんなんて名だい?」

「ロイです」

「おお、ランスのとこの息子さんかい、立派に育ったもんだ。それでジョブがモンクだったのかい?」

「いや、それが……モンクもあったんですが、召喚士とか他にもいろいろと」

「物理と魔法のマルチジョブか、それだったら装備そのものの強さも大事だが、魔力もつかうなら魔力を通しやすい装備を選んだ方がよさそうだな」

「そうなんですね、その時はまた相談させてください」

「おう、また来な」

 父さんのことを知っている人が店主だったとは、元勇者パーティーの冒険者だったのだから装備品の店にはよく足を運んでいたのだろう。それから、魔力を使う場合の装備選びもよく考えないといけないことがわかった。

 ゲーデルの方もやはり当面は資金稼ぎが必要だという結論になったようだが、銃の改良のための部品がいろいろと見つかったらしい。それに弾として込める魔石も買ったものではなくても錬金術師ならば空の魔石に魔力を込めて弾として使うことができるそうだ。このことを知ったおかげで弾を買う出費が抑えられるのでいい情報が聞けた。

 午後からはギルドの依頼を見に行った。手頃なホーンラビットの依頼は無く、ゴブリン討伐と毒キノコの採取があったので受けることにした。


 ゴブリンはホーンラビットの時と同じような戦い方で順調に討伐数を稼ぐことができていた。だが依頼内容を見た感じよりも数が多く、統率が取れている気がする。この様子だとリーダー格のゴブリンがいる可能性が高そうだ。

 案の定予想は的中し、リーダーの正体はホブゴブリンだった。ホブゴブリンの体は通常のゴブリンの倍近くあり知能も高い。そして今までに倒してきた冒険者の装備品なのか全身に様々な装備をつけている。手に持っている武器もこん棒ではなく鉄の大剣だ、まともに食らえばひとたまりもないだろう。

「ゲーデル、今回は出し惜しみ無しだ」

「ああ、わかったよ」

「ゴーレムよ、我の両腕に宿れ!」

 するとロイの肘辺りに現れた魔法陣からゴーレムの腕が出現する。ゴーレムの腕はロイの腕に覆いかぶさるようについている。一見重そうに見えるが自分の腕のように扱えるのだ。これは錬金術のレベルが上がって手に入れた〈スキル合成〉によるもので、合わせて格闘術と召喚術の両方が一定レベルに達したことで実現できるものだ。

「俺が隙をつくる」

 襲い掛かってくるホブゴブリンの攻撃をゴーレムの腕で防いでいく。格闘術のレベルが上がってきていたおかげなのかホブゴブリンに対して力で負けていない、これならいける。そう思って一気に畳みかける。

「これでどうだ〈ゴーレムパンチ〉!」

 ゴーレムパンチがホブゴブリンに直撃して吹き飛び、岩の壁にぶち当たる。

「ゲーデル、今だ」

「おお」

 ゲーデルが放った銃の一撃はホブゴブリンのお腹を貫通して、大きな穴が開いた。

 ロイたちは勝ったのだ。

「やったー」

 二人で歓声を上げた。初めての大物狩りの成功だ。

 早速魔石の取り出しと討伐証明部位の確保をして、装備品もある程度売れそうなものなのでギルドに持っていくことにする。今回は序盤にゴブリンの数を減らせていたのと自分の強さに自信があったのかホブゴブリンが単騎で向かってきてくれたおかげで比較的楽に倒すことができたのかもしれないと思った。思わぬ魔物との遭遇で荷物がいっぱいになったので毒キノコの採取はまた今度にすることにした。急ぎの納期ではないので、そこは問題ないだろう。

 ギルドに戻ってホブゴブリンの討伐報告をするとギルドと冒険者たちの間でちょっとした話題になった。今までロイたち二人に興味がなかった他の冒険者たちに良くも悪くも名が知られるようになった。

 今回の報酬で資金的にある程度余裕ができたので、ロイはサーチアイの召喚の書を購入することにした。サーチアイは召喚すると視界の共有ができて偵察にはもってこいの召喚魔物だ。しかしレベルが低い段階では移動速度が遅くよちよち歩きでしか移動できないのでレベルが上がり翼を持つまでは後方の偵察要因としての使い方が主となる。

 魔法に関しても独立してからずっと独学でやっていたのでギルドに紹介してもらって魔法講師のサリーという魔法使いの人から有料だが講習を受けさせてもらえることになった。

 ゲーデルはというと銃の改良をして属性付の魔石の装填ができるようになったらしく、それぞれの属性によって様々な追加効果があるようだ。パーティーでの戦力の強化になるので頼もしい限りだ。

 ホブゴブリン討伐を達成したことで冒険者ランクが、ロイCランク、ゲーデルDランクに上げてもらえることになった。これでまた受けられる依頼の幅が増えて高純度魔石獲得へ一歩近づいたと言っていいだろう。

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