第8話 魔王は森の復興計画を考える
森の大樹に起きていた異変を解決した俺とリブラは、乾眠状態となっていた精霊ドリアードの復活を試みようとしていた。リブラの指示によりドリアードを魔法陣に寝かせ、そのまま成り行きを見守る。
彼女は魔法陣に向かって呪文を唱え始めた。
「大樹のマナよ…この者に力を分け与え給え」
リブラの詠唱により魔法陣とドリアードと思われる木が発光し、天上のクリスタルと化したコアよりマナの力が注ぎ込まれていく。
ただの、枯れた木だったものがみるみるうちに人の形を取り戻していく。
精霊と言っていたので妖精のような感じを想像していたが、強力な精霊は見た目も人間に近いような姿になるようだ。
濃い緑色で腰まである長髪、顔は人間にすると大人っぽい雰囲気の美人な雰囲気を醸し出している。
体の衣服も復元されていき、肩から胸の部分までは肌が露出しており豊かな胸にターコイズブルーで花の模様が刻まれた薄布のローブとドレスの中間みたいな衣装だった。
「終わりました、時期目を覚ますと思います」
「ごくろうさんリブラ、後は目覚めるのを待とうか」
しばらくすると精霊ドリアードはゆっくりと目を開け覚醒したようだ。
様子を伺っていたリブラと俺を見た瞬間突如として距離を起き叫びだした。
「何者だ!邪悪な存在よ!神聖なる大樹を汚す者よ」
突如として精霊ドリアードは、魔法詠唱を始めこちらを攻撃しようとしてきた。
「忌むべき存在よ!この大樹から立ち去れ!風魔法ウインド・オブ・ブレード!」
ドリアードが放つ強力な風魔法が二人を攻撃してきた。
だが、魔王の力で風魔法をなんなく防御しとりあえず止めようとしたところでリブラが叫んだ。
「お待ちなさい!精霊ドリアードよ!」
リブラの言葉により精霊ドリアードは動きを停めた。
「まずは話を聞きなさい、拘束されていた貴方を助けたのはこちらにいらっしゃる魔王様なのですよ」
「邪悪な存在の魔王が…?なぜ私を助けるような事を?」
「今から事情を話すから静かに聞いてくれるか、こちらとしては貴方と戦う気はない」
「…わかりました、お話を伺いましょう」
俺とリブラはここに来た目的を精霊ドリアードに説明した。
森に起きた異変を解決するべく大樹にやってきて巣食っていた魔物を退治した事。
ドリアードが拘束されていたのを肉体を復活させて助けた、そして出来れば森を復元するため力を貸して欲しい旨を話して理解を得た。
「しかし、なぜ忌むべき魔王が森の復元を?」
「実はな、私とリブラは魔王軍を辞めてこの近くの村に住むことにしたんだ。そして村長から森に異変が起きている聞いて問題解決のためにやってきたと言うわけだ」
「わかりました…助けていただきありがとうございます、その言葉を信じてみます」
俺はここに来て疑問に思っていたことをドリアードに尋ねてみることにした・
「ところで十年ほど前に何があったんだ?どうも人為的な謀略を感じるんだが覚えているか?」
「はい、十年前に私はある男の戦士に大樹の力を借りたいと願われました。私たち精霊は邪悪な試みを見抜くことが出来るのですが、その者からは邪悪さを感じられずここに通しました」
「そしていきなり拘束具で壁に腕を打ち付けられ、そのまま意識を失いました」
「それからの事は知らないということか…」
「はい、そこからは何も知りません」
「そうか、その件はいずれ調べるとして森の復興をしたいので着いてきてもらえるか」
「わかりました」
納得してもらったドリアードを連れて三人で外に出た。
精霊ドリアードは外の様子を見て、膝をついて愕然とした。
荒廃とした大地に枯れた木々となった森、死んだ大地のような様子を見て大きなショックを受けていた。
「森が…こんな…壊滅状態に…」
「大樹にマナを吸われてしまい森は枯れた大地になってしまったようだ、どうだ復元はできそうか?」
ドリアードは森の様子から復元にかかる時間を静かに答えた。
「ここまで酷い状況とは思いませんでした、恐らく復元するにしても何百年もかかると思います…」
「うーん、それでは時間がかかり過ぎるな…リブラ何かいいアイデアはないか?」
「そうですね…考えてみます」
リブラは本を取り出し、何かを調べているようだ。
何かを見つけたのかある提案をしてきた。
「バル様、先程私が描いた魔法陣がありますよね」
「ああ、マナの通り道として作った魔法陣だな」
「はい、魔法陣を森の中にも沢山作っていきます、そして魔法陣間にマナの通り道を作って大地に大樹のマナを送り込む方法です、時間は掛かりそうですが数年で復元できるかもしれません」
「それは本当ですか!?」
ドリアードがリブラの提案を聞いて驚き問いかけてきた。
「はい、ただ条件があります、まずは枯れた木を取り除き平地にします、その後にドリアードの力で木を生み出して貰い成長させていきます」
「枯れた木の除去はどうやるんだ?燃やすのはダメだよな」
「そうですね、面倒ですが少しずつ抜いていって何処かに集めるのはどうでしょうか」
「なるほど、枯れ木は薪にしたり木材としても使えるから有効活用出来るな、ドリアードよ協力してもらえるか?」
「承知しました、協力させていただきます」
「ところでドリアードには名前ないのか?」
「精霊には名前はありません、もし呼びにくいのであれば名前をいただければそれを名乗ります」
「そうだな…ドリアードをもじってみるのはどうだろう『リア』という名前はどうだ?」
「わかりました、その名前『リア』を頂戴いたします」
「じゃあ、明日から森の復興計画を始めよう、今日は一旦戻ることにする」
「わかりました、明日お待ちしております」
リブラと共に森から村に帰ることにした。
そんな中ある思いつきが浮かんだのでリブラに尋ねてみた。
「リブラ、先程の魔法陣なんだが村の畑周辺にも作れないか?」
「それはできますが…あ、そういう事ですが」
俺の言葉で何をしたいのか直ぐに察してくれたようだ。
「村の畑にもマナを送り込んで作物の育成をよくするお考えですね」
「さすが、よく解ってくれるな。その通りだよ」
「解りました、明日最優先で作業しましょう」
二人で村に戻ったところで村長がやってきた。
「魔王様、如何でしたでしょうか?」
村長に事情を話し、ドリアードが囚われていたのを助け森の大樹に起きていた問題を解決したこと、明日からは森の復元作業を行うことも含め伝えた。
「魔王様ありがとうございます。これで村がまた活気を取り戻せればよいですが」
「そうだな、まだ色々あるが問題があったらまた報告してくれ」
「承知いたしました、ところで先程エルフの娘数名が魔王様にお会いしたいと村に来ているのですが如何なされますか?」
「エルフの娘が来ていると?とりあえず会ってみるか」
俺とリブラは二人で外で待っていたたエルフたちに会うことにした。




