第3話 魔王は新たに自分好みの配下を生み出す
魔族召喚の能力が復活するという七日目になった。
目が冷めた俺は早速図書室に向かう、先日考えていた書物を媒介に新たな部下を生み出そうと思っていた。
図書室に到着した俺は、魔王の記憶から魔族召喚の呪文を思い出しながら考えた。
「とりあえずどんな魔族にしようかな…」
本の魔族だから学者みたいに博士帽被らせて、眼鏡っ娘で、洋服もアカデミックドレスと言うより学生服に近い感じでネクタイして腰に本を装備して、タイトスカートにニーソ履かせて長めのブーツで体型はスレンダーでちっこい感じの可愛らしい女の子にしよう。
メチャクチャ趣味全開の衣装や見た目だが自分が最初に生み出す配下だから全力で趣味に走ってみよう。
ついでに魔王に従順でしっかりものな性格だといいなあと思い、早速召喚してみる事にした。
「深淵の力よ、我が魔力とこの部屋の書物を供物とし、新たな魔族を生み出す門よ開け。我に従うものよこの場に集え!深淵の門!」
呪文の詠唱が終わると巨大な魔法陣が現れた。
図書室にある書物が全て空に浮きあがり、まるで台風のような渦巻き状に形を作り上げ魔法陣の中に吸い込まれていく。書物が魔法陣の中に消えていくと徐々に魔族の姿形が作り上げられて来た。
そんな時だった、いきなり空から一筋の光が魔法陣の上に出現していた魔族に吸い込まれていった。
「なんだ、今の光?魔族召喚の儀式の一部なのか?まあいいや」
召喚の儀式が進むと突然魔法陣の光が最大限に光を放ち、眼の前に魔族が召喚された。
現れた魔族は先程自分が想像したような可愛らしい女の子でメチャクチャ好みの女の子だった。
メガネっ娘で顔は童顔で可愛らしい、洋服もイメージした通りの服装で学者っぽい服装だった。
少女は自分に跪き、召喚に対する挨拶の言葉を伝えてきた。
「魔王様、召喚の儀に従い馳せ参じました、新たな配下でございます」
その言葉を聞いて、新たな部下に話しかけてみた。
「よくぞ我が召喚に応じて来てくれた、してお主の名前はなんだ?」
「はっ、まだ召喚されたばかりで名前はございません、もしよろしければ魔王様に新たなお名前を頂戴したく存じます」
「そうか、では考えてやろう」
突然の命名について考えてみた、本から生まれた魔族かあ。
「ブック」とか?だめだ女の子っぽくない…書記?いやダメだ、うーん。
そういや図書室ってLIBRARY (ライブラリ) だっけ…それをモジって LIBRA (リブラ)っていいかも知れない。
女の子っぽい名前だし、そうだそうしよう。
「よし、お前の名前は『リブラ』だ、これから我の元に遣え支えてくれ」
「ありがとうございます、新たな名前『リブラ』を拝命いたします」
その言葉と同時にリブラの体が発光し、名前による新たな魔王契約の契が交わされた。
「さて、リブラよお前が持っている知識で早速私を助けてくれないか」
「はい、なんなりとお命じください」
「私はこの城で魔王として君臨しているが、実質はただ魔族を召喚するだけの王なのだ」
「はい、魔王様は新たな魔族を生み出すこの城の王と認識しております」
「だけど、みんな俺を敬うどころかハッキリ言ってただの道具扱いだ、頭に来たので任務を放棄して城を脱出しようと考えている」
「そうなのですか?偉大な魔王様を道具扱いとは私にはとても許せません」
「まあ、お主が言ってくれることは嬉しいがもう城を出ることは決めたのだ、だが魔王城には結界が貼られていて我は外に出れないのだ、お前の知識を用いて脱出する方法はないか?」
「解りましたお調べします、少々お待ちください…」
リブラは自分の腰に漬けられていた本を手に翳し、目を閉じて何か唱えているようだ。
構えた本のページがどんどんと捲られてあるページのところで止まった。
「魔王様、調べた結果が出ました、この城に貼られている結界は、通称『魔王結界』というもので、魔王様だけが外に出れないように作用するもののようです」
リブラの解説を聞いて納得した、魔王を外に出さないように誰かが結界を貼っているんだ。
とりあえず逃げる方法がないか俺は尋ねてみた。
「リブラよ、結界を破壊したり何らかの方法で脱出する方法はあるか?」
「結界を破壊するのは無理のようです、魔王様以外は出れるようですが…」
「それじゃあ脱出は出来ないのか?」
「可能性として、ひとつ方法があります」
「それは何だ?」
「魔王様が私を召喚した時に会得できた魔法障壁というスキルがあります、この障壁に魔王様と私が一緒に入って二人一緒に脱出してみる方法ですが如何いたしますか?」
俺は考えた、脱出方法がそれしかないならリブラを信じて試してみるしか無い。
考えるもない即決だった。
「解った、リブラを信じて試してみよう」
「ありがとうございます、それではいつ決行しますか?」
「出来るだけ早いほうがいい、恐らく今日は四天王と第一秘書のシエルが魔族召喚をしろと玉座に来るはずだ、その前に脱出したい」
「解りました、それで魔王様はこの城を出た後どのように動く予定でしょうか?」
当初の目的は魔王城を脱出するだけの予定だったけど、一番の配下である自分好みのリブラと一緒に辺境の田舎で一緒に暮らすのも悪くないなと思った。
「リブラよ、私は城を脱出した後どこか辺境の田舎で暮らしたいと思っている」
「はい、辺境で暮らすのが目的なのですね」
「それでだ…あの…リブラよ我の伴侶として一緒に暮らしてくれないか?」
「えっ…?ええええええ!?」
魔王からの突然の告白に対して冷静沈着な少女は驚いていた。
そりゃそうだ、生まれたばかりなのに突然プロポーズされて驚かないほうがおかしい。
リブラは顔を真っ赤にしながら自分の動揺を伝えてきた。
「ま…魔王様!私は配下なのですよ!突然伴侶になってくれって…」
「だ、ダメだろうか?お主は、配下とか関係なく我が好みの女性なのだ、もちろんお主の意思を尊重するが…」
リブラは顎に手を当てて何かを考えているようだった。
何か答えが出たのか俺に伝えてきた。
「あの、魔王様失礼かも知れませんが、一言よいでしょうか」
「よい…許す。話してみよ」
「私はまだ生まれたばかりです…魔王様の伴侶に相応しい女性かどうか自分でも解りません。だから魔王様のお供として一緒に過ごさせていただき、本当に相応しいと思ったら改めてまた伝えていただけますでしょうか?」
「解った、じゃあ当面配下兼許婚という事にしてもよいか?」
「はい…それでいいです…よろしくおねがいします魔王様」
リブラは照れながら深々とお願いの挨拶をしてくる。
「う、うむ、こちらもな」
俺達は魔王と配下という立場から突然と婚約者同士になり、二人でこれからの脱出について考えることにした。




