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転生最強魔王の引退物語 ~最愛の部下と田舎でのんびり暮らすんだ~  作者: 茶巾丸
第2章 魔王スローライフ編

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第14話 魔王は塩を手に入れたい

先日のサツマイモ収穫から、今度はトマトととうもろこしが収穫出来る時期になってきた。

トマトはそのままでも食べられるがとうもろこしはやっぱり塩ゆでするのが一番だよなあ。


村に塩がないか探した所、時々岩塩が見つかるが貴重品でなかなか手に入らないとの事。

海が近ければ塩作りも出来るんだろうけどドイネン村の近くにはないらしい。


水絡みの相談ならウンディーネのティナにどこか近くに海に行けるとこがないか相談してみるか。

そう思った俺は、早速ラグナ湖へ飛んで向かってみた。

しばらく飛んでから湖に到着すると俺の気配に気付いたのかティナが水の中から現れこちらに来てくれた。


「魔王様、わらわに何か用か?」


「実は相談があってな、村で塩を手に入れるために海の水が欲しいんけど、どこか近くにないか知らないか?」


「海はここからかなり遠い場所にあるぞよ、二千戸里 (200km) 位先のこの川の先にある」


「そんな遠いのか!?飛んでいっても往復だけで相当時間かかりそうだなあ」


困っていた俺を見てティナが両腕を組み自信満々に笑いながら伝えてきた。


「ふっふっふっ…どうやら、わらわの出番のようだな」


「何かいい方法でもあるのか?」


「ああ、とてもいい方法がある。われら水の精霊は、水の間を瞬間移動できるのじゃ、だから遠い海まで行くことなんてわけないのじゃ」


「いや、海に行っても水を村まで運ぶ手段がないんだが、その問題はどうすればいい」


「これを使えばよいぞ」


そう言ってティナは水色に光る宝石のような結晶を渡してきた。


「これは?」


「これは水脈の渦と言ってな、二つの場所にこの結晶を置くと、その間の水を繋いで送ることが出来る便利なアイテムじゃ」


「え、でもそれだと物凄い水が送られてこないか?」


「大丈夫じゃ、水を送るには魔力を込める必要がある、水を送りたい時に使えば良い」


「おお、それは便利だな」


「わらわが海まで行ってくるから、魔王様は村に戻っているといいのじゃ」


「ああ、すまないがよろしく頼む」


ティナに海水を入手してもらう手伝いを頼み、俺は一旦村に戻ることにした。

海水が手に入るなら大きな入れ物さがしてそこで蒸発させて、あとは壺で煮詰めれば塩が出来る。

村に帰って準備して待っていよう。


塩の件の目処がついた事で次にとうもろこしとトマトの収穫だ。

今回は収穫量が多いのでエルフの三人娘に加え村人にも手伝ってもらい収穫する。


トマトととうもろこしの実を獲ってもらい、カゴに入れる。

とうもろこしの枝は今後動物を飼う時の飼料として活用できるように刈り取っておく。


両方ともかなりの量が収穫できた。

トマトは二百個、とうもろこしも四百本位出来ていた。

収穫が終わった頃に村の井戸からティナが現れた。


「魔王様、海と繋いできたぞよ」


「結構時間かかったな、どうしたんだ?」


「塩が欲しいのじゃろ、塩の濃度が高い海域を見つけて水脈の渦を繋いできたのじゃ」


「それは助かるな、ありがとう」


「問題ない、ところでついでといっては何だが今度わらわの願いも聞いて欲しい」


「ん?どうした何か問題か?」


「実はな、河川にやっかいな魔物が沸いておってのう、わらわの魔法では刃が立たんのじゃ、そいつを退治してもらえんじゃろうか?」


「なんだ、そんな事なら手伝おう、しかし魔法が効かないとはどんな生き物なんだ?」


「ダマクガラクラブと言って巨大なハサミのような手を持つ八本足の陸上生物じゃ、川にいる生物を乱獲しておって周囲の生態系を崩しておるのじゃ、しかも水魔法に耐性があるようでな」


「場所はどのへんだ?」


「ラグナ湖から大きな川沿いに南下した場所に広い湿地帯がある、そこに大量に生息しておる」


「わかった、退治に行くがちょっと準備したい、ついでに水脈の渦の使い方を教えてくれ」


ティナの依頼で急遽魔物退治に出かける事になったが先に塩の作成にかかっておこう。

水脈の渦の使い方を教わって少しの魔力を込めるだけで水が溢れてくる、大きめな窯に海水を流し込み水を蒸発させる作業を進めるためエルフのエレーナに手伝ってもらうことにして、彼女に火を絶やさないように時々薪を焚べて貰うよう頼んでおいた。


「よし、向かおう!」


塩の作成準備が出来た俺はティナの言う湿地帯に向けて飛んで行く事にした、途中森にいるリブラにも声をかけて二人行動で向かう。


しばらくすると大きい湿原があり、そこには巨大な青いタラバガニのような怪物が大量に動き回っていた。


「こりゃ酷いな、近くのもの全部食べつくす勢いじゃないか」


「バル様、この辺り一帯は明らかに生態系がおかしくなっています」


「そうだな、爆裂雷で処分するだけでいいかな?」


「いえ、恐らく体内に大量の卵を持っているので爆裂雷の後は燃やしたほうがいいと思います、周辺は湿原なので火も燃え広がらないと思います」


「分かった、それじゃあやるか、爆裂雷サンダーブレイク!」


俺は雷魔法で次々とカニっぽい怪物達を処分していく、そんな中である事を閃いたので、リブラに聞いてみた。


「なあリブラ、こいつら食料として食べられないかな?闇の手で運べる位の大きさだし、みんなの食料に出来たら栄養補給にもなる」


「え、食料ですか?ちょっと調べてみますね」


そう言って彼女は本を取り出しサーチを始めた、しばらくすると答えが分かったようだ。


「分かりました、昔とある村で塩を入れた巨大な鍋で煮て食べていたそうです、恐らくですが火を通せば食べられるのではないかと、毒性も無いようです。」


「そうか、これが新たな食料源となれば生活が楽になるかもな、何体か持ち帰って幾つかは凍らせて冷凍保存しておこう」


俺はカニもどきを全て倒し、十体ほどを村に持ち帰った。

今日の分以外は氷魔法で冷凍しておき、早速調理してみることにした。


村長に焼くための道具がないか聞いてみたが特に無いと言われてしまった。

何かないか探したら鉄の棒が十数本あったので、それを横に並べで大き目の鉄網を作り更に石を積み上げで簡易的な屋外焼き場を作った。


カニもどきを焼きながら塩の出来具合を確認する。

ツボの水はかなり蒸発して塩の結晶が出てきていた。

これなら数日で塩ができるだろう。


焼き上がったカニもどきの足を折って見ると赤くなった白身が出てきて完全にカニの見た目だった。

例のごとくエルフ三人娘に試食してもらって味の感想を聞いてみた。


「初めて食べるけど意外にイケます!」


「魔王様、淡白で意外に美味しいです」


「魚の身にも似てますがこれならいっぱい食べれます!」


村の人たちにも勧めて食べてもらったが高評価だった。

しかし食料問題をもっと活性化させるには人手が必要だなあと考えていた。


そんな中、とある国では魔王軍の侵攻により騒動が起きていた。

国の中枢の会議室で話しているのはドワーフの兵士と位が高そうな娘であった。


「それでガンギルスの外れの村に強力で邪悪な存在がいるのは間違いないんだな?」


「はい、予言の水晶から見えたので間違いありません、この国に侵攻している魔王軍の一味、もしくは四天王と見て間違いありません」


「よし、私が直接出向いて討伐してやろう」


「そんな!賢人会の戦士長が直々に向かうのは危険です」


「ここでジッとしていても皆が疲弊するだけだ、止められても私は行くぞ!」


「わかりました、では赤の騎士団も同行いたします」


「よし、心意気確かに受け取った!ではむかうぞ」


俺は知らないところで村に新たな脅威が迫って来ていることを知る由もないなかった。



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