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おにぎりの白熊堂  作者: 黒本聖南
現在の白熊さんとあざらし君
4/13

夜の一時

 少し早い時間に目を覚ましたあざらし。時刻は三時になるちょっと前。隣の布団で眠る白熊はまだ夢の中だ。

 あざらしは仰向けからうつ伏せの状態になり、布団に入ったまま、そっと白熊の元に寄っていき、彼の寝顔を眺める。

 起きている時も穏やかだが、寝ている顔もまた穏やかだ。

 頬杖をつき、静かにあざらしは白熊の寝顔を眺め続ける。しばらくすると、白熊の口から声が溢れ出た。


「……あざらし、くん」

「……はい」


 それ以上白熊は何も言わなかったが、あざらしの心の中が温かいもので包まれていく。

 白熊の夢の中に出てくるほどに、あざらしの存在は大きいのかと、声を上げて喜びたくなったが、白熊を起こしてはいけない。あざらしは引き続き、静かに見つめ続け──次第に、眠くなってきた。

 こくり、こくりと揺れて、その内、あざらしの頭は枕の上に落っこちた。


◆◆◆


 熱いくらいの温もりに包まれているな、と思いながら、あざらしは目を覚ます。いの一番に感じたのは、誰かの心臓の鼓動。あざらしの顔は、固くて柔らかいものに当たっていた。


「え?」

「あ、起きた?」


 白熊の声だ。もう起きる時間なのだろう。顔を上げようとしたが、身体を固定されて動かせない。


「もう少し、このままで」


 白熊に言われ、遅れて気付く。自分が今、白熊に抱き締められているのだと。

 あざらしも抱き締め返したいが、強く抱き締められ、指の一本も動かせそうにない。


「あざらし君は、もう起きたい?」

「……いえ、まだこのままで」


 動くことを諦め、白熊に身を委ねるあざらし。少しすると、頭を撫でられ始めた。


「こうしていると落ち着くよ」

「僕もです」


 何時なのか分からず、いつも掛けているアラームが鳴るまでどれくらいなのかも分からないが、許されるならずっとこうしていたい。

 なんて、思っていると、


「──今日はどうしようか」


 と、白熊が訊いてくる。


「今日、ですか? お店は……」

「今日は火曜日だよ」

「……あっ、そういえば、そうですね」


『おにぎりの白熊堂』は、火曜日が定休日だ。


「今日はベルーガも来ないだろうし、二人っきりで、ゆっくりできるよ」

「……ゆっくり、こうして引っ付きながら、ゆっくりしたいです」


 いいよ、と肯定され、布団の中、二人はしばらく寄り添い続けるのだった。

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