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俺の隣人は異国の人らしい  作者: 豚肉の加工品
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プロローグ

これは何も考えずに書きました。


成人式をとうに迎えて、早五年が過ぎた。

 高校卒業と同時に家を飛び出し、迎えた大学生活。

 苦もあり楽もあり。山あり谷あり。良い人間関係が築いていたアルバイト生活を六年間も続けて、それなりに順風満帆な大学生活を終え、誰もが知るとまでは言わないけれどテレビでたまにスポンサー名で出るような有名な会社に勤めることが出来た。

 なんて素晴らしい人生だ――――なんて思ってた過去の自分を殴ってやりたい。


「……はぁ~、今日もギリギリ」


 時刻は深夜十一時。

 街灯意外に明るいものなどない静かで真っ暗な世界が広がる時間帯。やたらとマンションの廊下が眩しく見えるのは、きっとこの時間だからだろう。

 せめて良い場所に住みたいと思い十二階建てマンションの最上階に部屋を借りるも、未だに寝るだけの生活が続いている。


「あっ、こんばんわ~」


「こんばんわです」


 そんなブラックな仕事を続けていられるのも、こんな些細な幸福があるからなのだろうと肌が感じ取った微かな震えで体感した。

 この『アダムス』と呼ばれる高級マンションの管理人であり、もはや妖艶さを感じさせる雰囲気と糸目がチャームポイントの現実離れした美貌を持つ女性。

 島根 (よる)


「何だか痩せましたぁ~? 心なしかやつれているように見えますけど……」


「ははは、そう見えます?」


「ちゃんとご飯食べてますかぁ?」


「あぁ……――――食べてますよ?」


 主食、朝昼晩、その全てがカロリーメイトと緑茶という献立だが、胃袋にはしっかりと入っている。心配事と言ったら会社で行われる健康診断くらいだろうか。


「ホントですか~? あんまり信憑性ないなぁ、今度またご飯の御注訳(おそそわけ)行きますからその時までちゃんと元気でいてくださいね」


「もちろん。またあのご飯を食べれることを糧に仕事頑張ります」


「うふふ、そこまで言って貰えるならこっちも嬉しいです」


「いや本当にそう思いますよ」


 そんな軽口を最後に別れを告げる。

 扉の前に立ち財布を電子キーに触れさせると『ピピッ』と機械音が響き、鍵がガチャリと解放させる。そして真っ暗な玄関へと向かって行くのだ。

 流れるように靴下を洗濯機へ放り込み、皺にならないように一張羅をハンガーにかけ風呂へ入る。始めはこの心地よい熱さが体を休ませていると思っていたが、今となっては眠気を少しだけ覚ますという害悪っぷりを見せているが風呂は大事だと改めて一昨日感じたので入ることにした。

 ワックスでベタついた髪のままの目覚めが、この世で一番目覚めが悪いと思ったからだ。


「……そう言えば、明日部長に渡す書類があったな」


 栄養とか健康とか、体に大切なものから離れたのはいつからだっただろうか。

 心休まるはずの風呂で会社のことを考えるようになったのはいつからだっただろうか。

 食事も忘れ、スマホの連絡アプリと他人の表情を逐一窺うようになったのはいつから……。


「あっ、棚にカロリーメイトなかったような気が……まぁー、いっか。どうせ寝るだけだし」


 風呂から上がれば体も拭かずに冷蔵庫からペットボトルの麦茶を取り出し、飲みながらもスマホを確認する。連絡が着ているのは会社受付嬢の長谷川友実、母親、父親、今日挨拶に行った会社の社長とその秘書であり実の娘の峡谷(きょうたに)親子。

 この五人。一人一人の内容は違うが重要性が違う。


「朝に返信するのは峡谷さんたちからだな。長谷川さんには朝会ったら話せばいいし……問題は母さんと父さんか。また内容一緒だろう?」


 そう言いつつも、二人の内容を覗き込む。

『早く返って来なさい』

『外は危ない』

『家業を継げばいい』

『そう言えば、お見合いの話が来てるよ』


「そんなに帰らせたいかねぇ……俺もう二十五よ? お見合いの話はまだ分かるとしても他が無茶苦茶過ぎるでしょ」


『早く返って来なさい』

『外は危ない』

 そんなわけない。あり得ない。大人であり、家を出て都会に来て一人で頑張ったからこそそう思う。外が危ないわけがない。当然、事故や事件に巻き込まれるなんてことは仕方がない。でもそれ以外は自分自身で回避できる危険だ。

 

「寝るか……明日も早い」


 そうして、返信をすることなく眠りに入る。

 後日、自分に予測も回避も不可能な事件に巻き込まれるということも知らずに――――

 

 

 

今日も何も考えずに続き出すかも……

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