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いじめ対応プロトコル~基礎編~  作者: 朝木深水
第一部 いじめ対応の問題点
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第三部 そもそもマンパワーが足りない

 現在、学校では、長時間ブラック労働が常態化しているらしい。

 月の残業時間が100時間オーバーというのも、最早珍しいことではないという。


 『平時』でさえこの状態で、もし深刻ないじめの事案が発覚した場合、どういったことになるだろうか。

 まず被害者からの聴取に一時間。そして、加害者が五名いれば、彼らから個別に聴取するのに五時間が必要ということになる。


(まさか五名まとめて聴取しようとするバカはいまい)


 言うまでもなく、これは第一回目の聴取であり、実態を把握するためには、これを何度も繰り返す必要がある。そして、当事者以外の生徒からも話を聞かなくてはならない。

 どう控え目に見ても、時間が足りない。

 いじめへの対応は、この時点で既に破綻している。


(『自己愛性ブラック』で、自己愛性PD型ブラックのメカニズムを解明した筆者であるが、現在の学校のブラック化については、正直言ってよくわからないのだ。個人的に大変興味深いのだが、この点に関しては、また次の機会に)


 気力だけで聴取を進め、事実を確認出来たとしても、更に対応を検討、協議する必要がある。そして加害者に処分を下したら、今度はモンペの相手もしなくてはならない。ブラックルーティンの合間にこれらの作業を行うなど、余程の超人でなければまず不可能であろう。


 そもそも時間がないということは、何か問題が発生したと認識しても、深く考える時間すらない訳だ。まさか毎日顔を突き合わせている生徒が、いきなり自殺するなど、とても考えられない。『大丈夫だろう』『大事にはならないだろう』とズルズルと先延ばしにしている内に事態が悪化して、最悪の結果を招くということにもなってしまう。

 大体、鬱病寸前の人間に、深刻ないじめという事態に対処出来るのだろうか。

 下手すりゃ、被害者の前に、教員の方が過労自殺するかもしれない。

 これでいじめの事実を把握しろ、解決しろと言う方がどうかしていると言わざるを得ない。

 いじめの解決には、膨大な時間とマンパワーが必要とされる。

 しかし、現在の学校には、そうした事態に割ける人員も時間もない。

 こうした状況を踏まえたうえで、対応を考えなくてはならないのだ。

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