第一章 二.家族
少し短めです。
「マリア」
ドアの向こうから声が聞こえる。
この声は父さんだと、記憶が語る。
不思議な感じだ。私の中のマリアに少し混乱する。
大丈夫なのだろうか?確かに私はマリアだ。かといって、今まで生きてきたマリアとは違う。そんな私に家族と普通に向き合うことができるのだろうか?
そんな罪悪感ともいえよう思いを持ちながら、家族の元に向かう。
「マリア、大丈夫?顔色がわるいわよ?」
母さんの声で顔をあげる。
あっ、父さん、母さんだ。
心が温かくなる。記憶ではなく、心で感じられる。
「大丈夫だよ。それより神官様は?」
「さっき帰られたよ」
「で、どんな話しだった?」
まず、光の力についての説明をうけ、学園にはいらなければいけなくなったこと、貴族との養子縁組について説明を受けたらしい。
養子縁組については、否と言えば王家より断りをいれてくれるらしい。
「断れるの?」
「断るも何も、大金を積まれても例え刃を向けられてもおまえは絶対に渡さん!」
「今回はあなたのことがあるから王家直々に動いて下さるんだろうけど、それがなくともそれだけはないわ」
よかった。また心が温かくなる。
「マリア、光の力があると聞いて驚いた。しかもこれから貴族と共に学ばなければいけない。今までとは180度違う世界だ」
両親の目に決意めいたものを感じる。
「理不尽な思いもすると思うわ。でもあなたの未来は、あなたが作るの、だから頑張りなさい」
「私達は、おまえを送り出すことと、帰る場所を守ることしかできない」
帰る場所か、ここが私の帰る場所。
「父さん、母さん」
まずい、泣ける。
「大丈夫、私は大丈夫。ただで学べてむしろラッキーでしょ?」
「「マリア」」
2人に抱き締められる。
そうよ。私はマリアだ。この気持ちは、ウソじゃない。
私は間違いなく父さんと母さんの子だ。
「光の力なんてよくわかんないけど、お父さんとお母さんの愛の証、光って当然!」
この想いは間違いなく本心だ。
「まぁ、マリアったら。でもそうね、あなたは私達の光だもの」
そうしてみんなで笑って、泣いた。