表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
73/78

第七十三話 ルティアスの危機

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は……えぇ、ルティアスの方がピンチです。


それでは、どうぞ!

 聞き覚えのある呪文。二度と聞きたくなかった呪文が聞こえた直後、『破壊のクラウン』は、目の前でピタリと止まり、その顔を苦悶に歪める。



「ガッ、グアァアッ」



 混乱した頭でも、体は勝手に動いて、戦えるまでに体の治療を行った後、すぐさま炎を纏わせた剣を振るう。



「ギアッ、イタッ、イタイィィィッ」



 パコンッという音とともに、両腕がカラカラと落ちる。



(っ、外したっ)



 胴を切り裂くつもりが、両腕だけを落とす結果になった。わたくしは、すぐにもう一撃、今度こそ胴を真っ二つにしようと動いて……次の瞬間、『破壊のクラウン』の胸に、黒い穴が開く。



「アッ?」



 ピンポン玉サイズの穴は、真っ暗闇をその向こうに映しており、わたくしは、それが何か理解する前に、そこから飛び退いていた。


 グンッと一気に広がった穴は、『破壊のクラウン』の胴を全て呑み込む。



「アァァァァアッ、イヤダ、コワレタクナイッ! コワレタク……」



 バキッバコッという音とともに、『破壊のクラウン』の残った部分が穴に吸い込まれていく。そして、数秒後には、何一つ、『破壊のクラウン』が存在していた痕跡は残っていなかった。



「……これ、は……闇の神級魔法、ですの?」



 わたくしが知っている闇の神級魔法は、辺り一面が暗闇に閉ざされ、一瞬のうちに敵を滅ぼす魔法だ。けれど、今の魔法は辺りを闇に閉ざすこともなければ、時差だってあった。それがどういうことか、そして、闇の神級魔法を使った者がどうなるのかを思って、わたくしは、まだ完全には治りきっていない体でその姿を捜す。



「ルティ……ルティっ!」



 ルティアスの姿は、すぐに見つかった。ルティアスは、わたくしとさほど離れていない距離で、うつ伏せになって倒れている。



「『絶対者』っ、無事か!」



 かなり離れていたのであろうアルム達が戻ってきて、わたくしに声をかけてくるものの、それに反応している暇なんてない。



「ルティっ、ルティっ!」



 よろけながらもルティアスが倒れているその場所に向かい、膝をつくと、震えそうになる手でルティアスを仰向けにしてみる。



「……っ」



 ルティアスは、顔の半分のところまで、刻印が刻まれている状態で、わたくしは、思わず息を呑む。



「『絶対者』? これは……闇の神級魔法? いや、それにしても進行が早過ぎる」



 アルムがルティアスの様子を見て告げるその言葉に、わたくしは、何も答えることができなかった。これが、二回目の闇の神級魔法だと、一回目の刻印をまだ消していなかったのだと、説明することができなかった。



(何度もチャンスはありましたのにっ)



 口づけをするチャンスは何度でもあった。それなのに、わたくしは恥ずかしさの方が勝って、まだ時間はあるからと先延ばしにし続けてきたのだ。



(いいえっ、まだ間に合いますわっ)



 後悔はしている。だから、わたくしは、今できることに全力で取り組む。



(女も、度胸、ですわっ)



 わたくしは、ルティアスに代償を払ってほしくない一心で、意識を失ったままのルティアスのその唇に、そっと口づけを落とす。



「っ」



 背後で、アルムの息を呑む音が聞こえた気がして、人前だったことを思い出したわたくしは、すぐに顔を上げてしまったものの、口づけは確かに行った。けれど……。



「っ、何で!」



 ルティアスの顔にまで達していた刻印は、少しだけ引きはしたものの、まだそこに存在している。



「……『絶対者』。もしかして、ルティアスは闇の神級魔法を使うのは二回目か?」


「っ……」



 その問いかけに、わたくしは思わず黙ってしまう。



「……二回目だとしたら、ルティアスは助からないかもしれない」


「っ、どういうことですのっ!」



 今は『絶対者』としてこの場に居るにもかかわらず、わたくしは思わずいつもの口調で問いただす。



「言葉通りだ。……ヴァイラン魔国やリアン魔国に行けば、何か分かるかもしれないが……」


「っ、すぐに向かいますわっ!」



 リアン魔国とやらは知らないが、ヴァイラン魔国ならばすぐにでも転移できる。ルティアスの家も知っているから、もしかしたらそこを訪ねれば協力を得られるかもしれない。



「待て。それなら、ボクも行く。ボクは、魔王と交流があるから、彼らに協力を仰ごう。ルティアスは魔将の一人だから、少なくともヴァイラン魔国の魔王は動いてくれるはずだ」


「分かりましたわ。よろしくお願いします」



 そう言って、わたくしは一旦ログハウスに戻り、ルティアスをベッドに寝かせ、前にかけた時魔法をさらに重ねがけしておく。そうして準備を整えたわたくしは、魔の森で調査隊を帰還させたアルムと合流して、ヴァイラン魔国へと転移したのだった。

世の中はクリスマスなのに、それなのに……ちっともロマンチックな口づけじゃないっ!


いや、別に狙ってたわけじゃないんですけど、なぜか、クリスマスのこの日にこんなお話になってしまいました。


口づけというより、人工呼吸のレベルの何かでしかなかったよね?と思いつつも、そろそろ、ヴァイラン魔国のあの人を出そうと思います。


それでは、また!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ