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第六十八話 復讐の終結(ルティアス視点)

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回で、ざまぁ完了となります。


それでは、どうぞ!

「終わった、か……」



 その日の夜。兄さんから夢で報告を受けた僕は、全てが終わったことを知る。

 民達に、リリスの婚約破棄の真相を伝えたのは、実をいうと僕自身だったりする。

 僕は、兄さんの力を借りて、多くの民や良識のある貴族達に、夢で婚約破棄の真相を演説してみせたのだ。それも、『絶対者』の姿で、だ。民達は、その夢が『絶対者』によるものだと疑うことなく……いや、一時的に疑うことはあっても、その日の夜に、全員が同じ夢を見たとなれば、疑うこともできず、その真相は、人々の口に上った。

 前の国王へ抱いた不信感は、新たな国王が誕生したことによって払拭しかけていたものの、その夢のせいで、民達は一気に王族そのものに不信を抱いた。それは、国を離れようと決意するほどの流れとなって、国民の流出は致命的なものへとなっていった。

 商人が減り、貴族が減り、民が減り、兵が減り。そして、国の内部に残ったのは、民から搾取し続けてきた強欲な貴族やその関係者、そして、使命感を持ったわずかな兵士ばかりとなった頃、レイリン王国に潜んでいたファム帝国の密偵はファム帝国へとそれを伝える。『今こそ攻める時』と。


 国王が亡くなったタイミングは全くの偶然だったものの、まさにベストタイミングだったことは言うまでもない。そのおかげで、最も復讐したい相手が、舞台に上ってくれたのだから。


 ドルトンという名の兵団長は、僕が真相を伝えた者のうちの一人で兵団長としての使命感だけを持って国に残っていたようではあったが、それも、国王となったエルヴィスの言葉で、夢が真実であることを知り、国を見限ることとなった。ドルトンを慕っていた者は兵士の中に多く居て、彼らも皆、ドルトンに続いて国を出たため、本当に、国の防衛はないも同然にできた。

 その後、ファム帝国が攻め入り、一日ともたずレイリン王国が滅びたのは言うまでもない。



「ルティ、その、エルヴィス王子達はどうなったのですか?」


「うん、そうだね。それはまだ話してなかったね」



 そう言いながら、僕は兄さんに教えてもらった彼らの末路を思い出す。



「エルヴィスは、一応あの王妃様の息子ということで処刑は免れたものの、騎士達の下働きとして日々しごかれてるらしいよ」



 ちなみに、ファム帝国は同性愛が盛んな国だ。騎士という職業の者達の前に、殺さなければ何をしても許されると言い渡された顔だけは整っている男が紛れ込んで、無事でいられる保証は全くない。



「あと、リリスを嵌めたホーリーって女は、発狂したとか何とかで、どこかに幽閉された後、そのうち処刑される未来が待ってるらしい」



 ホーリー・ヴィッツという女は、『こんなのおかしい』だの『シナリオを戻して!』だの『リセットボタンはどこ?』だのと言いながら暴れているらしい。そして、幽閉された場所は、ファム帝国で悪名高い監獄で、そこでは受刑者同士、殺しさえしなければ暴力は日常茶飯事という場所だった。きっと、処刑される頃には、身も心もボロボロになっていることだろう。



「そう……」


「あぁ、でも、エルヴィスの取り巻き達をしっかりと処罰できなかったのは悔しいかな。彼らは、ただ平民に降格されただけだからね」


「そちらはどうでも良いですわ。彼らとは、特に接点はありませんし」



 そうは言うものの、実は、リリスへの冤罪は彼らの言葉が端を発している。リリスがさっさと転移してしまったために出番はなかったらしいが、彼らはリリスを陥れる証拠を捏造していたようでもあった。

 ただ、それをリリスに教えるつもりのない僕は、悔しいと思いながらも、リリスの言葉に一応の納得をしてみせる。



「そっか。なら、僕からはこんなところかな?」



 これで、復讐は終わりだ。……いや、後一人だけ、復讐する相手は残っているものの、それも今日中には片がつく。



「そう、ですか……」


「リリス? 少し休む?」


「えぇ、そうさせてもらいますわ」



 どこか疲れた様子のリリスに、僕は心配になって声をかけると、リリスは素直に言うことを聞く。どうやら、本当に疲れているらしい。



「ゆっくり休んでね」


「えぇ」



 きっと、今のリリスは色々な情報を一気に受け止めて疲れているのだろう。

 ベッドに入ったリリスは、すぐにぐっすりと眠り込む。



「お休み、リリス」



 そうして、僕はすっと気配を消して、寝室から出る。それから、リリスに用意してもらった一階の僕の部屋に行くと、椅子に腰かけ、目を閉じる。



「こんばんは。ルティアス」



 すると、そこには、兄さんの部屋が目の前に広がっており、兄さんが椅子にゆったりと腰かけているところだった。



「兄さん。今回は、本当にありがとう」


「いえいえ、ルティアスに選んでもらったお土産は、ヒイナにとても気に入ってもらえましたからね。ほんのお礼ですよ」



 にっこりと笑う兄さんを前に、僕はちゃんとお土産を変なものをプラスすることなく渡したのだろうかと不安に思いながらもうなずく。



「それで、後はアドスという男に関して、ですよね」


「うん、そっちはどうなってるのかな?」


「えぇ、そちらは、つい先ほど終わりましたよ」



 リリスには言っていないが、僕は、アドスを許してはいない。

 貴族の中には、悪徳な者でありながら国を離れた者がチラホラと居て、その中にアドスも居た。そして、僕はそれを幸いなことだと受け止めて、隠密達に彼を道中迷わせることにした。……この、魔の森へと。



「つい先ほど、プラチナウルフの大群にいたぶられながら殺されたところです」


「そっか。それを聞けたなら安心かな?」



 この魔の森で、最も残虐に敵を殺す魔物、プラチナウルフをけしかけて、アドスを殺すことに決めたのは、そうでもしないと僕の怒りが収まらなかったからだ。



「ルティアスの片翼には、このことは知らせない方が良いのですよね?」


「うん、リリスには、彼が借金で破綻して自殺したくらいに思ってもらった方が良さそうだからね」



 あまりに過激な復讐内容を、リリスに知らせる必要はない。もちろん、リリスが望むのであれば別だが、恐らく、リリスはそれを望まない。



「分かりました。この秘密は、墓まで持っていきましょう」


「助かるよ」


「それでは、結婚の日が決まったら教えてくださいね」


「うん」



 そう、後は、リリスを落とすだけだ。感覚からして、もうちょっとだという自覚はある。



「頑張るよ」



 その一言を告げれば、兄さんはにっこりと笑って姿を消す。兄さんの部屋も、それと同時に消えて、辺りは暗闇に包まれる。そこで、そっと目を開ければ、僕の部屋が視界に映る。



「……リリス」



 僕は、愛しい人の名前をうっとりと呟き、明日からしっかりと口説こうと決意するのだった。

さてさて、次の章は、恋愛方面を何とかして、終了まで持っていきたいところです。


それでは、また!

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