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第二十一話 シャルティー公爵家(アドス視点)

ブックマークや感想をありがとうございます。


今回は、アドス……と言っても、分からない方が大半だと思うので、リリスの父親視点ですっ!


それでは、どうぞ!

「ふっ、シェイラさえ王子に嫁げば、名実ともに我が家は王家の親戚。もう、小賢しい者どもに儂が公爵家を乗っ取った簒奪者などとは言わせない」



 リリスが婚約破棄されてから、九日。リリスとシェイラの父親である儂は、リリスが婚約破棄されたことを嘆くこともなく、ワインを傾ける。

 リリスが婚約破棄された日、いつの間にか屋敷に賊が入り込んでいたらしく、大切に保管していた年代物のワインがごっそりと盗まれていたため、今飲んでいるのは新しく買ったものではあったが、これもそれなりの年代物で、深い味わいを醸し出している。もちろん、保管していたものの方が良い品であったため、賊を許すつもりはない。しかし、現在、その賊は我が公爵家の全勢力をもってして探しているものの、手がかりの一つも見つけられない状態だった。



「おのれ、今思い出しても忌々しい。しかし、金庫に手をつけられていなかったのは幸い、か……」



 この公爵家には、莫大な財産がある。それこそ、リリスの母、レイアが亡くなってからは湯水のように金を使い続けていたが、それでも金が減る様子はない。

 リリスは幼い頃から聡く、領地の管理を任せてほしいと言っており、私も面倒な仕事をリリスが積極的にやってくれるのであればと任せたが、どうにもそれが上手く嵌まったらしい。どんなに金を使い続けても、儂の懐は痛まない。



「おかげで、儂は金も地位も名誉も手に入れられる」



 今は、王子の謹慎が延びたとかでシェイラとの面会はできない状態ではあったものの、遠くない未来、儂は王妃の父親という立場を手に入れられる。これで、気に入らない者どもを見返すことができる。



「失礼します。シェイラ様がお越しになりました」


「良い、入れ」



 ワインを口の中で転がしていると、少し前に呼びつけておいたシェイラがやってきたらしい。



「失礼します。お父様」



 やってきたシェイラは、ぼやけたような茶色の髪に、つり目がちな紅の目と、高い鼻、青白い肌をした少女で、控え目に言っても、美人とは言いがたい見た目だった。胸の方も、リリスの見事なバストから比べるとかなりささやかなもので、女としては中の下といったところだろうか。



「シェイラ、五日後、エルヴィス王子と顔合わせがある。その時、婚約を交わし、将来王妃となるのだ。分かっているな?」


「……ゃ、です」


「ん? 何だ? 何と言ったんだ?」


「嫌ですっ! 私はっ、お姉様みたいに綺麗でもなければ、教養だってありませんっ! そんな私がエルヴィス王子と結ばれるなんて、いえ、それ以前に、お姉様を国外追放にした男の元に行くなんて絶対に嫌ですわっ!」



 目尻に涙を浮かべ、震えながら反論をするシェイラを見て、儂は……思わず、手を振り上げていた。


 バシンッという音とともに、シェイラは悲鳴を上げて倒れ込む。



「お前はっ、儂の言う通りにしていれば良いのだっ! 文句は言わせないっ! 五日後までに、その不細工な顔を少しでも見れるようにしておけっ!」



 倒れたシェイラを足蹴にして、儂は執事にソレを退出させるよう告げる。



「っ、許さないっ! お姉様を虐げたお父様も、お母様もっ。国外追放にした王子もっ、絶対に、許さないっ!」



 紅の瞳でギロリと睨むシェイラは、そのまま、執事に引きずられるようにして退出した。



「せっかく王家と縁付くというのに、何が不満だ? リリスのことなどどうでも良かろうに」



 シェイラがなぜあれだけ吠えるのかが分からず、儂は心底不思議だと首をかしげる。

 勢いに任せて頬をぶったものの、あの程度、治癒魔法をかければすぐにでも治る。それに関しては特に問題はないものの、あのシェイラの言葉は見過ごせない。



「少し、体に教え込んだ方が良いのかもしれぬな」



 そうと決まれば、体罰がとびきり厳しいと言われる家庭教師を手配して、シェイラにつけることとしよう。きっと、そう時間もかからずに、シェイラも根負けすることだろう。



「失礼します。旦那様、こちらにサインを求める書類が入って参りました」


「そうか、そこに置いておけ。すぐに終わらせる」



 リリスが居なくなったことの唯一の弊害は、こうして仕事が入ることだろうか。儂は、内容をほとんど確認しないままに書類へのサインを済ませると、おもむろに立ち上がる。



「今日もカジノに行ってくる」


「はっ、では、馬車を回しますので、少々お待ちください」



 十年ほど前に領地にできたカジノと呼ばれる遊び場。そこに、儂は毎日のように通っていた。リリスが居た頃は、カジノで使える金額がリリスによって制限されていたものの、今ではいくらでも使える。金はいくらでもあるのだから、制限などない方が良いに決まっている。



「ふっ、こうしてみると、やはりリリスを追い出したのは正解であったな」



 そう言いながら、儂は平民であれば一生困らないであろうだけの金を持って、馬車へと向かうのだった。

いやぁ、色々と破滅フラグが立っておりますよ。


そして、シェイラちゃんは良い子です。


リリスお姉様が大好きなシェイラちゃんに育っております。


もちろん、シェイラちゃんの救済策は用意しておりますので、もうしばらくお待ちくださいね。


それでは、また!

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