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数多の英雄  作者: 湯水ふらめ
青葉巡編
8/10

3・位置について

uです

フー・・・やっと着いた・・・」


 え?なんでそんなに疲れてるのかって?それはねー・・・また捕まってたから☆衛兵にね、怖いお兄さんじゃないよ。当たり前のように騒ぎを通報した人がいて、あのおっさんがドタドタ走ってきた時は異世界生活の終わりを予感したね。いやまぁ、ちゃんと自分が襲われていた側ですって証言してくれた人が居たから事なきを得たけど、なんかその、自分の偽善行為に対する人生の先輩からの説教的な。


「お前が幾ら金を撒いたって何も変わりゃしないんだよ、今日は生きるだろうな、明日にも繋がるかもしれない。でも明後日は?明明後日は。1ヶ月後、一年後はどうする?ずっと面倒を見てやれるわけじゃないんだ。その年でああ言うのをどうにかしたいと行動できるのは立派だ、でもな、意味のあることと無いことがあるんだよ、あれはどうにも出来ない。お前の金を使って何日延命してるだけだ。そして挙句にお前は荒くれ共に目をつけられて被害を受けてるんだ。やめろと言われて止めれるもんでもないだろうが、あまりやり過ぎるな」


 そんなありがたーい言葉を貰った、分かってんよ・・・分かってるって。でも、それをどうにかするためにここに来させてもらったんだ、俺もどうにかしたいんだよ、所詮俺は力があるだけの凡人だし、主人公共みたいなフラグ体質もない。カリスマもない、死に瀕した時に覚醒出来るほどの運命力も無い。でも世界全部とは言わない、自分の居るとこ位はどうにかしないと、神様に怒られちまうしな。あっ


「おい、邪魔だどけ」


「あっ、すんません・・・」


 そう言えばギルド前だったわ。あぶねーさっきの筋肉モリモリがもやしに見えるぐらいのマッチョじゃん、俺じゃなきゃ漏らしてたね。中入ろ


「貴族の水魔法家庭教師の依頼を達成した、処理は頼んだぞ」


「あ、ガノンドロフさんお疲れ様でしたー!また今度から討伐お願いしますねー!」


 なん…だと…!?


 魔法使いやべぇ。それだけが言いたい人生じゃった


 衝撃発言はなんとか聞き流し、受付に進む。


「登録お願いします」


「はーい!お願いしまーす!新人受付嬢のカレンでーす!」


 ・・・あ^〜いいっすね^〜




 いやうるせぇよ!キワモノしか居ないのかここは!


 オレンジ色という地球の遺伝子の常識を完全に無視した髪と目、くっきりとした顔のパーツに中々のお胸様。間違いなく美少女だ。学校に居たらアイドルになるぐらいの。ラノベだと、ここで衝撃を受けたり一目惚れしたりするんだろうけど、なんだろ、別に何も感じないわ、ここら辺が凡人クオリティなのかな?まぁ別んとこに引っ張られたりもしたしね。


「えーと、文字は読めますかー?」


「あ、はい」


 神様パワーでその種族の中で会話が成り立っているならそれを話せるし、文字も古代文字から現代まで全てカバーしてる。すばらっ


「良かったー!面倒な説明しなくて。この冊子読んでくださいねー、終わったら返してください」


 と言って渡されたもの、施設のパンフレットサイズ?割と年季は入ってるな。


 とりあえず、ギルド内の空いてる席に座る。今はあんまり人が居ないみたいで絡まれることも無い。


 簡単に纏めると


 冒険者ランクはEDCBASと上がって行く感じのアレ

 Bからは個人指定の強制依頼が来る

 EランクがSランク相当の依頼を受けるのもOK、自己責任。ただし緊急性のないものに限る


 纏めすぎ?そんな事は無いはずだ。訓練された君たちならそれ相応の順応性を持っているだろう?


 あ、ガノンドロフさんはCランクだそう、すみませんちょっと笑って来ていいですか。


 とりあえず冊子を返して、依頼を受ける。もうお昼を回る頃だが、少しでも金を稼ぎたい所だ。


「あ、この治療系依頼って全部受けて良いですか?回復魔法使えるんで」


「えー?いいですけど、失敗したら苦情を受けるのは全部アオバさんですよー?それに、殆どがスラムからの依頼だから報酬も悪いし、治安も悪いし。神殿に治療費払えないからってここに送ってる人達ばっかですしー」


「はい、大丈夫です、見過ごせないんで」


 スラムからの依頼、35件。スラムはそう広くないので回りきれるだろう。この依頼の数、苦しんでる人たちがいるんだよな。


 市民からの依頼、3件、そこら辺の人達なのでコレも早く終わる。それに見る限り緊急性は内容だから最悪明日明後日だ。


 スラムからの依頼は何週間も前から残っている奴が多く、今どうなっているか分からない。急いでいかないと。


 スラムに住所なんてないようなもので、周りの廃墟の特徴なんかを書いた不親切な地図ばかりだ。時にスラム住人に道を尋ね、(銅貨15枚ぐらい料金で取られた)襲いかかってきたガリガリの住人をいなし(銅貨30枚ぐらい置いてきた)半分ほどの依頼を高速でまわった。使った魔法は殆どがリカバリーと言う魔法。病気を消し去る魔法だ。消費MPはなんと10。いや、効果からすると驚きの低燃費なんだけど。最大MPまで回復していたのに、自然回復を合わせて半分を消化した所で尽きてしまった。


「あークソ、まだまだ回らなきゃなんねーのに・・・」


 今は自分に付与魔法、神聖魔法それぞれにある自然回復力を高める魔法を使い回復に努めているところだ。


 ちょんちょん


「ん?・・・んー?と、さっきの家の子かな?どうしたんだい?」


 治療が終わったら達成認定だけしてもらって高速で抜け出しているのであまり自信が無い。と言うのも、スラムで治療を依頼している人の殆どが女の人かその子供のため、ちょっと気恥しい。あまり女の人として見られたくないような有様だった人も多かったので、長居したくなかったのだ。女の人が多い理由としては、冒険者の夫が死んで、そのまま。らしい。


 今のところ、間に合わなかった人は居なかったがいつそうなるか分からないので移動しながら回復を待ちたいのだ、あまり時間はかけられない。


「・・・串焼きと、お母さんの事ありがと」


 それだけ言うとその彼?彼女?は家に帰って行った。串焼きって、通りでの?そんな縁があるなんて。・・・役に立てたなら、良かったな。


 あ・・・


 目の前に、死体が出てきた。若い男の死体で、相当な怪我をしている。縄張り争いか、いがみ合いか。どちらにせよ楽な死に際では無かっただろう。蘇生魔法には200MPかかるので、今では到底発動できないし、そもそも今はまだ生きてる人を助ける為に走り回ってるんだ。気の毒だけど、放置するしかない。


 吐き気は無かった、死に、虫に集られているようなその死体をみても、嫌悪感も抱かなかった。あったのは悲しみ、どうしようもなく、救えなかった生に対する哀しみだけが合った。


 そんな幸不幸のサンドバッグにされていた俺は、何も考えずに治療に走った。3時間?それくらいかけて依頼の家を周り終えた。幸い、依頼していた人達は全員無事だったが、あの後もう一度死体を見かけた。女の人だった、それもその、乱暴された風の・・・。流石にそれには男として感じるものがあって、道中覚えた火魔法を使い、残存MPの尽きるまで死体を燃やした。人の焼ける匂いは、流石に気持ちが悪かった。


 俺は異世界を舐めていた、これが現実だ

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