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数多の英雄  作者: 湯水ふらめ
青葉巡編
7/10

2・産業都市ガルフ

Uです、ほか2名の不甲斐なさに呆れ果てています。余程作り込んでいるのだろうか・・・

どうしてこうなった。いや、本当は分かってる、身体系と戦闘系、そして魔法系の才能ポイントを貯めようとはたから見たら不審者丸出しの動きをしながら人類の拠点に向かって向かっていったからだろう。異世界転移と言う状況に浮かれてたのか、ちょっと頭悪い動きをしていたようだ。


 そのツケとして俺は今、衛兵の詰所でおっさんと二人きりにされている・・・


「おい、お前は街の目の前で何してたんだ?」


「あ、はい・・・いや、ちょっと武術の鍛錬でもと・・・ハハハ・・・」


 厳つい顔のおっさんは俺の返答にその表情を歪め


「鍛錬だと?なんの型もなく杖を振り回すのと、魔力を無駄に放出する事がか?おい」


「えっと、はい、ホントです、そういうスキルなんです・・・詳しくは話せませんけども・・・」


 切り抜け方が何も浮かんでこなかったので、内容はぼかして真実を伝える、するとおっさんはゆがんだ面をこれ以上ないぐらいに顰めっ面にして言葉を出す。


「まぁ・・・、スキルはそんなヘンテコなやつも確かにあるがよ・・・。あー、分かった、とりあえずは信じるぞ。だが次変な事をしたら問答無用だからな?」


「へ、へい・・・」


 街に入ってすら居ないのに既に崖っぷちだぜ・・・

 自業自得なんだけどネ☆


「この街の通行税は銀貨1枚だ、さっさと払って街にはいんな」


 割かし高い・・・まぁ、冒険者ギルド入れば大抵の街で通行税免除だけどさ。というか中途半端な銀貨の数は通行税か。そして、ちょっとそこまで、に銀貨1枚持ってかれるから冒険者ギルドに銅貨数十枚で薬草採取なんかの依頼が来るわけだな。


 街を歩くと、地球では見られないファンタジーな光景がそこらじゅうに広がっている。


 麻が主体の服装、ケモ耳やドワーフ、エルフなんかの別種族もチラホラ見かける。


 そして、物乞い


「・・・」


 地球じゃ、雑巾にでもしてやろうかという程のボロ布を身に纏い、痩せこけた体を動かし割れた食器の前に小学生ぐらいの子供がへたりこんでいる。目の前を何十と言う人々が通り過ぎていき、今1人だけ立ち止まり、銅貨らしき物を1枚だけ置いて去っていった。ありがと、とかぼそい声でお礼を言っていた。


 目を凝らして眺めていると、何人も同じような事をしている子ども達がいた。食器を覗いてみる、中には銅貨が数える程しか入っていない、これで生きていけるのだろうか、いや、何人も死んでいるだろう、貯蓄なんか無いに違いない、もしもの事があれば死を待つのみ、助けもない。


 なんだろうか、息が乱れる、変な汗が出てくる、自分の居た環境、時代がどれほど恵まれていた物だったのか。


「・・・変えてみせるんだろ・・・俺が・・・!」


 行動は速く、先ずは銀貨を崩す。近くの屋台でなんの肉かも分からない串焼肉を買う。銅貨3枚・・・。あの子供たちのお金は、こんな肉を1つ2つ買うだけで無くなってしまうのか。お釣りとして出された銅貨は97枚、銅貨100枚で銀貨1枚か。


 1番近い子供に銅貨2枚と串焼肉を渡す、根本的な解決にはならないけど、俺程度では良い方法が見つからない。


 その後、目に映る全ての子供達に銅貨を5枚ずつ渡した。通りまで出て来ていた子供達は16人、路地裏にはもっと多くの人達が居るだろう。だが自分の今の所持金では全員にお金を配るなんて事到底無理だ。


 金を稼げるようにならないと・・・


「おいにーちゃん!」


 、突然肩を掴まれた、何事だよ。


 後ろを振り向くと、ニヤニヤと寒気のする笑顔を浮かべる2人組の男が居た、嫌な予感しかしないな?


「いやー、さっきから見てたんだけどよォ、にいちゃん優しいな?んで相談なんだけどよ、その金置いてってくれや」


 2人組の片方、筋肉モリモリの方がそんな事を言い出した。嫌な予感的中じゃないか、財布の中見られてたのか?いや、あんなに金をばら撒いてたら余裕のある奴だとおもわれてもおかしくない。


 周りを見渡すと、遠巻きにコチラを見る人々の視線が刺さる、誰も助けようとはしない、当たり前だ、力も無いのに。自分が同じ立場ならそうする。


 この金を大人しく渡すのか?そんな事できるわけが無い、これは全財産で、人を助ける為にはこんなクズにプレゼントする余裕など無いのだ。


 喧嘩なんぞしたことも無い俺だが、やるしかない、大丈夫だ、やれる、俺には力がある・・・


「オイテメー!聞いてんのか!」


 ゴスっ、と肩を殴られる、痛い痛い痛いっ!力強いんじゃボケオラァァァ!


 考える余裕は無かった、流れに身を任せなければ直ぐに財布を差し出してしまいそうだった。


「お前らなんかにやる金なんぞあるわけないだろうが、働けカス!」


 そう言うと、一瞬ポカーンとした表情を見せた2人だが、直ぐに顔を赤くし叫ぶ


「あーそうかよ!痛い目見ねーとわかんねーよーだなクソガキがァ!」


 筋肉モリモリの方が手を引いた、殴ろうとしている


「カミノシュゴヨプロテクト!」


 早口言葉のようになってしまったが、神聖魔法のプロテクトを発動する。いやだって、殴るモーションとか一瞬で終わって飛んでくるもん拳。


 ガシャァァンとガラスが割れたような音が響き、目の前2現れた半透明の魔法の盾が割れた、


 マジかよ!


 まさか割れるとは思わず、遅ればせながら防御姿勢を取った俺だったが、衝撃を受ける事は無かった。


 それは、目の前に突如現れた高硬度の物体を全力で殴った筋肉モリモリが拳を抑えうずくまって居たからだ。あ、そうだよね。


 人間を殴るつもりで瓦を割ったぐらいの勢い、いや、ここが異世界で身体能力も桁違いと思われる状態なのでより悲惨な事かもしれない。とにかく拳が壊れる勢いじゃないのか。


「お、お前魔法使いだったのかよ!クソったれ!」


 片割れの凡庸な体つきの男が、拳を握り、殴りかかって来る


「神の守護よプロテクト!」


 今度は落ち着いて詠唱する、しかし相手もそんな事は分かっているので殴るのをやめ、横合いから潜り込んできた。ですよね!


「うぇーい!」


 出す声を間違った様な気もするが顔面狙いのストレートをなんとか避ける、って、ぅぇっ!?


 腹に激痛を感じて倒れ込む、腹を蹴られたのか・・・、きもちがわるい、脂汗がダラダラと流れる。


「クソがっ!テメーのせいで無駄に怪我しちまったじゃねぇかオイ!雑魚の癖に調子乗ってんじゃねぇぞゴラァ!」


 ゴスゴスと背中を蹴られる、ヤバい吐きそうだ・・・


「チッ、イライラすんぜ、オイナグズ!手はどんなんだよ!」

「クソいてぇ・・・折れてるぜこれぇ・・・」


 あーぁもう一人も起き上がりやがったぅ、、、くそ、対応ミスったな、人の為なんざ言っといて調子乗ってたかもしんねー、道中で充分わかってたつもりだったのによ


 魔力体・魔力増強・並列思考を獲得


 スゥ、と思考がクリアになる、吐き気に襲われていた自分はいるが、なんの影響もない自分がいる、冷静になれ


「神よ癒しの力をリペア」


「あぁん?なんつったテメー」


 神聖魔法の回復魔法リペア、体から不快感が抜けていく、継いで無言で魔力体を発動する、力が溢れるのが分かるわ、油断してるお前らぶっ飛ばしてやるからなマジ


「死ねやオラ!」 


 バキィ!と油断していた凡庸な体つきの男の顔面に魔力で強化された拳が突き刺さる、ざまーみぃ、


「あっ!ハルム!?ガっ!」


 目を引かれ棒立ちになった筋肉モリモリにも拳を飛ばす、寝てろや!


「ハァッ、ハァッ、ハァッ・・・」


 初めて人を思いっきり殴った、あんまり良い気分ではないな。当たり前だけど。魔力体を解除する、 すると体が重く感じ膝をついてしまった、身体能力が急に落ちたのだから、これも当たり前だ。


「グッ、クッソ・・・ガキが・・・」


 ふらつきながらもふらつきながらも体を起こす凡庸な男、あっ、俺なんで魔力体切ってしまったん、まだ大丈夫やんけコイツ


 焦りつつも魔力体を発動し立ち上がる。


「まだやる気か」


「クソ、やらねぇよ・・・なんなんだよテメェ・・・あぁ、ハァ、クソったれ・・・」


 油断なく男を見つめているが、周りを見る余裕が出来た。すると、自分が目立ってしまっていることが分かる。まずいですよ田○さん!


 殆どが俺に対する驚きの視線だ、まぁ、こんなヒョロい子供が勝ったんだからな。


 ヨタヨタと、凡庸な男が筋肉モリモリにを叩き起して手を貸し、どこかへ向かっていく。


 ・・・


「神よ癒しの力をリペア」


「・・・は?」


 俺が2人を癒してやったら、そんな素っ頓狂な声を出される。まぁ、言いたい事は分かる。でも一応な、このまま印象最悪のままどこかへ行かれて復讐考えられるよりはここで冷静になってもらって1%でも可能性を減らした方が良いかなって。うん、まぁ減る気はあんまりしないけど。


 付与魔法を獲得


 お、なんか生えた。やっぱLv1は覚えやすい見たいだな。っと、それよりも


「これに懲りたら、もうカツアゲなんざ考えるんじゃねーぞ、少なくとも俺には来るな!」


 精一杯に声を低くし、脅しを意識したんだけど・・・これダメだわ、絶対似合ってないわ。ほら、2人組もよく分からんけどニヤけてるやん・・・


「はっ、なんだよそれ・・・、まぁ、あんたみてーな高位の魔法使いに喧嘩売っちまったのが運の尽きだぜ・・・もう手は出さねーよ、死んじまう」


 ・・・?俺そんな凄い魔法使ったっけ?プロテクトは割られたし、リペア?回復系って凄い魔法使いしか使えないのか?へー、じゃあ、今度から脅しに回復魔法使えるかな?脅しに回復ってのもおかしな話か。


 2人組は去っていった、心無しか晴れやかな顔をしていた気もする。何やかんやでいい方向に転がったらしい。腹キックとかクソ痛かったけど、まぁ良い経験かな?あ、ステータス見るか。



 青葉巡


 職業・治癒師


 Lv2


 HP39


 MP155\66


 筋力8


 耐久11


 敏捷13


 器用25


 魔力35


 精神45


 運勢7


 スキル


 神聖魔法Lvーー


 工作Lv1


 開花


 並列思考Lv1

 

 付与魔法Lv1


 装備


 木の杖(精神補正微小)



 ふむ、なんとLvが上がっていた。ステータスも割りと馬鹿に出来ないぐらいに上がっている。んで、MPは、前90だったはずで、5回魔法使ったから、1回5MP?これはかなりエコな量なんじゃない?だって大の大人の腹キックの痛みが完全に消えたし、多分それが癒しの限界って訳じゃないからもっと凄いと思う。あ、2人組が言ってたのって、神聖魔法の回復が凄かったからか!神のスキルだからなぁ、回復の力凄いだろうなぁ。


 あ、そう言えば才能。今回身体系スキルがポンポン出てきてくれたお陰で勝ったようなものだしな。やはりスキルは大切か。


 スキル、あ魔力体が乗ってないな?あと魔力増強も。MPと魔力の伸びを見るに効果はあるようだし、魔力体も使えるからどうでもいいか。


 身体系(2)

 戦闘系(1)

 魔法系(3)

 制作系(0)

 特異系(9)


 おお、特異が凄いな。こっち来てから特異な経験しっぱなしだしな、異世界・・・


 通りで物乞いをしていた子供達が脳裏をよぎる、偽善だって良い、目の前の物は全部救いたいんだ。その為にはお金を、力がいる、仲間も必要だ。


 特異系スキルで、索敵を10ポイントに、杖を8ポイント(白目)にして他は温存する。今のところ無理して取る必要は無いからな。


「とりあえず、冒険者ギルドに行くか・・・」


 そう言えば、俺はまだスタート地点に立っていなかったのであった

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