プロローグ・青葉巡と言う人物
湯水ふらめの湯担当、uです。
自分の主人公である青葉巡はひねくれてます、常識的なひねくれですけども。ひねくれた先に異世界転生がまってました
ボスッ、そんな音を出して閉じられた本。明るい挿絵の見えるそれは、ライトノベルという物のようだ。
そしてそれを見ていた少年、青葉巡は呟いた。
「はーぁ・・・、途中まで良かったのに結局このパターンかよ、お前らの偽善にはもう飽きたわ・・・」
巡が読んでいた本の内容は、近頃飽和気味の
特別な力を持って異なる世界に飛び、その世界のヒロインを助け、力を増し、最後には世界を脅かす悪を倒すという、いわゆる王道な話だった。巡の部屋にはその類のものはいくらでもある。
他には、暇を持て余した神々の遊びに巻き込まれ申し訳程度の能力で異世界に飛ばされる物、逆に神からの好意で馬鹿げた能力を貰い異世界で好き勝手する物。原理不明の転移で特殊能力を使い次々と困難に出会う物。
いくつもの作品があるが、殆どの物に共通している事とは、異世界である事と、主人公は特別であるという事。
現実世界は所詮現実で、人に夢を見させるのには無理が出る。
日常とは全く違う、別世界に連れて行かれることによって人は興奮を覚える。カッコよく人々を襲う怪物を倒す自分、女の子にチヤホヤされる自分、そして世界までもを救ってしまう自分。
物語の主人公に自己投影する事によって、あたかもその世界を体感してきたかのような気持ちを得る。そしてみんな本を閉じ、日常に帰って行くのだ。
小さい頃に初めてライトノベルを読んだ時は純粋に感動した。人を無償で助け、絶望に沈む人を救う・・・
しかし大人になるにつれて現実が見えてきた。と言うより、所詮商業作品なので人気が出るようにしているだけなのだ。主客層のオタクの男を釣るために、助けるのは女、仲間にするのも女、何かにつけて女が出てくる。そして人気が出るのはそういう作品だ。まぁ、虚構の物語を好んでる時点で俺もまだ子供だし、夢を見たい年頃なんだけど。
でも俺は気に入らないんだ、そこまでの力があっても、ろくに救いの手を広げない主人公共が。
俺は常々友人に公言していた、その友人もライトノベルを嗜む口だったため話があったのだ。
「俺がもしチート異世界転移するなら、絶対に人の役にたつ事をする」
男も女もない、同じ人間をひたすらに救いたい。この現実では大したことが出来ないちっぽけな自分でも、物語の主人公になれば、ライトノベルの主人公みたいな逆転人生になれるなら、きっと誰よりも人を助けてみせる。能力があるんだから、それも、努力した訳でもない単純な力、何のリスクも手間もかけずに手に入れた全てを凌駕する力が。
まぁ、それも所詮妄想なんだけど
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