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関西弁の異世界転生

作者: 三船

俺は何か知らんけど、気が付いたら一面真っ白な空間におった。


「ん?あんた誰や?」


目の前には白い服を着た白髪のおっさんがおった。


『俺はな、神様や。』


「あほか、神さんがこんなところにおるか。」


『おるから言うとるんやないか。』


「なんで神さんがおんねん。てか、ここどこや?」


『ああ、それな、死んだ奴が来るとこや。』


「誰が死んでん?」


『お前や。』


「はあ?俺死んでへんし。」


『いや、死んでんねん、だからここにおんねん。』


「どういうこと?」


『あのな、一から説明したるわ。お前な、さっき、トラックに轢かれたん覚えてる?』


「えっ!?俺轢かれたん?」


『そうやで。』


「なんで?」


『いや、なんで轢かれたかまでは知らん。』


「なんでやねん。お前神さんやったらそれくらい知ってるやろ?」


『いや、ほんまに知らんねん。でも轢かれたことは覚えてへんか?』


「あ~、そういえば轢かれたような気するわ……。」


『やろ?それで、お前死んでここにおんねんか。でな、ちょっと話があるんやけど。』


「え~ちょっと待ってえや。俺まじで死んだん?」


『そうやって言うてるやろ。』


「ええ~、いや、それ困るわぁ。明日、親戚の結婚式やねん。俺死んだら、マキちゃん結婚式どころやなくなるで。タカシ君にもなんか悪いわ。うちのオトンとオカンも呼ばれてるんやけど、俺死んだら行けへんやん。」


『そらしゃあないって。死んだんやもん。そら、トラック運転してた奴が悪いとは思うよ。でも、そら仕方ないわ。』


「え~、どうしよう。なんか俺のせいで結婚式の空気悪なるやん。」


『まぁそやけどもやな。こればっかりはどうにもならんで。』


「うわ~困るわぁ……。」


『まあ、取りあえず、こっちの話聞いてくれるか?』


「いや、ちょっとそれどころちゃうわ……。」


『いいから聞けって。悪い話やないんや。』


「ほんまか……?」


『ほんまや。あのな、お前な、転生せえへんか?』


「転生ってどういうこと?あの転生?」


『あの転生や。他にどの転生があるかは知らんけどな。』


「転生って別の人になるんやろ?それやったら、結婚式出れへんやん。」


『それはもうしゃあないって言ってるやろ。でな、これからが本題なんやけど。転生する先がな、異世界やねんな。』


「異世界って何?アメリカ?」


『いや、アメリカは現実の世界や。異世界いうたら、あれや、あの、なんか、お前のいた世界とはなんか違うところや。』


「どこやねんそれ?俺の居たところと違うって何?アメリカか?」


『アメリカちゃう言うとるやろ。アメリカは一旦忘れろ。』


「ええ~、どこなんそれ?アメリカちゃうの?」


『うん、だからアメリカは忘れろって。ええとな、よく聞けよ。お前にはな、異世界に転生してもらって、そこで魔王を倒してもらいたいんや。』


「魔王ってなんやねん!?」


『魔王は魔王や。悪い奴や。だからお前が転生して倒してほしいんや。』


「嫌やわ!そんなん無理に決まってるやん。俺、格闘技なんてやったことないで。ソロバン4級しかないで。」


『別にソロバン4級で戦えとは言うとらんがな。心配せんでもええ、ちゃんとお前にはチート能力を授けたるさかいに。』


「チート能力って何やねん?」


『ええとな、要するに反則技や。』


「あかんはそんなもん!ズルしたらあかんわ!お前、神さんなんやろ?なんでズルすんの?」


『よう聞け、別にズルするわけとちゃうねん。反則技いうのも分かりやすく言うただけの話や。反則技みたいに強い能力のことを最近ではチートっていうねん。』


「そうなん?ズルちゃうんやな?」


『ズルいくらいに強いっていうのは確かやけどな。』


「やっぱりズルいやないか!」


『だからちゃうって言うてるやろ!それにな、相手は魔王やぞ。お前はソロバン4級やで。どうやって勝つの?』


「知らんがな。俺やらへんし!」


『それは困るわ。やってもらわなこっちにも都合があるんやわ!』


「知らんがな!お前の都合やんけ!」


『そらこっちの都合かもしれんけどもやな。でも、お前どうすんの?転生せえへんかったら、このまま死んで終わりやで。』


「いや、せやけどもやな……。」


『どっちか選んで、このまま死ぬか、転生して魔王と戦うか。どっちか選んで。』


「え、ちょっ待ってえや。なんでその二つしかないの?」


『そらそやがな。お前はもう死んでるんやで。ほんまやったら、死んだらそれで、ハイお終いや。でもな、異世界に転生したら、魔王と戦わなあかんけど、生き返れるんやで。』


「いや、でも、魔王ってごっつ強いんとちゃうの?」


『だから、チート能力やる言うてるやろ。な、やってみいって。』


「チート能力があったら勝てるん?」


『勝てる勝てる。余裕で勝てるよ。』


「え、じゃあ、なんで自分でやらへんの?」


『やりたいのは山々やけどもやな。俺神様やねん。異世界でそういうことしたらあかんねん。』


「なんでよ?」


『なんでよって、あかんもんはあかんがな。なんでもくそもあらへんがな!』


「いや、それが分からへんねん。自分で魔王倒したらええんとちゃうの?」


『お前も分からん奴やな!神様がそんなんしたらあかんに決まってるがな!』


「いや、全然分からへんねんけど……。」


『あかんもんはあかん言うとるやろ!っで、どうすんの?転生するの?せえへんの?』


「転生せえへんかったら、俺死ぬんやろ?」


『そうやな。』


「それやったら選択肢ないやん。」


『最初からそういうこと言うとるやろ!』


「ええ~、じゃあしゃあないし、やるわ……。え、でも大丈夫なん?」


『大丈夫やって、チート能力やるから、大丈夫やって。』


「うわぁ~まじか……。異世界とか行ったことないし……。」


『誰だって行ったことないわ。じゃあ、もう時間もあれやし、異世界に飛ばすで。』


「えっ!?飛ばすって何?俺飛ぶの!?」


『お前、いちいち気にする奴やな。心配せんでも大丈夫やって、お前が思ってるような飛ぶとはちゃうし。』


「えっ、じゃあどういうこと?飛ぶんやろ?どこ飛ぶの?空ちゃうの?」


『ワープみたいなもんや。一瞬でお前は異世界に転生すねん。そやから、目閉じて開けたらそれで終わっとる。』


「それ、言うてること信じていいの?」


『ええわ。俺神様やし、信じろ!ええか、もう飛ばすで。』


「えっ、ちょっと待って、心の準備ができてない……。」


『もうええわ。はい、行ってらっしゃい。』


そうして、俺は異世界に転生した。魔王を倒すためにチート能力を手にいれて。でも、魔王ってどこにいるん?それ教えてくれへんかったら困るわぁ~。







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