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バトルバディ  作者: KARYU
2/10

2.二学期

細切れでの投稿になってすみません。

 フレンド登録したことで、ロビーを介さずに彼女と落ち合うことが出来るのを幸いに、俺たちは一緒にチームを組んで遊ぶようになった。

 チームエントリーマッチだと、ランダムマッチより遊べるゲームモードが多い。

 ミッションタイプの物や、ただの殲滅戦など、色々と試した。

 自分たち以外のプレイヤーの多くは、長時間一緒に遊んでいる者同士らしく、ランダムマッチで敵となった連中とは比較にならないほどうまく連携してくるし、フィールドの仕掛けも多く、難易度も高かった。だが、そんな状況なのに、知り合って間もない俺たちは、互角以上に戦えていた。

 それでも、もっとうまくやれるようにと、フィールドに合わせた合図や、敵の連携を崩すための合図を二人で考案して。それを生かして、もっと優位に戦って。気がつけば、チームエントリーマッチでも、上位ランキングに顔を出すほどのスコアを出せるようになっていた。

 彼女と出会ってからは、一日のプレイ時間が倍以上になってしまっていた。そしてそれは、彼女も同じだったらしい。

 だけど、やがて。

 「あなたと出会ってから、私はこのゲームに夢中になってしまったわ……。だけど、明日で夏休みも終わり。私、高校生だったのよ。まだ一年生とはいえ、夏休みの殆どを趣味に使ってしまって。親にも勉強面で心配されているの。だから、これまでの様には遊べなくなってしまうと思う。平日は、多分ログインしても挨拶するくらいしか無理。週末なら、遊べるかもしれないけど、それも判らないわ。……それでも、まだ私とフレでいてくれる?」

 短い間だったけど、濃密な時間を過ごした俺たちだったから、急に距離を置くことに不安を感じたのだろう。そしてそれは、俺も同じだった。

 「もちろんだよ。時間が取れなくなるのは俺も同じさ。俺も学生なんだ。桜木学園高等部一年」

 沈んだ調子の彼女をどうにかしてやりたくて、つい個人情報を漏らしてしまう。

 「……ええっ!?」

 ゲーム中のアバターだから表情など大して変わらないのだが、彼女の驚きが手に取るように判った。彼女が漏らした驚きの言葉の響きが、リアルに耳に残る。

 「あっ、あの……そう、なんだ……」

 彼女は何に動揺しているのだろう。俺が同学年であることは、意外だったとしても、そんなに驚くには値しないと思う。ということは──

 「もしかして、NTも──」

 同じ学校に通っているのか、と問おうをしたのだが、

 「ふふっ、秘密よ。またね」

 既に気を取り直した様子で、彼女はログアウトしてしまった。


 ***


 夏休みも終わって。

 NTも高校生と言っていたから生活リズムは俺とそう変わらない筈なのに、俺はゲームに貼り付けない状況が不安になって、ゲーム中のメールを携帯に転送するように設定した。そして、そのおかげで初めて自分が置かれている状況に気が付いた。

 毎日、十件前後メールが届いていたのだ。ランキングの上位は、そのリプレイを誰でも見れるようになっていて。ランダムマッチのランキングからリプレイを見た人たちに、俺とNTは注目されているらしかった。

 NTと遊んでいた間は、お互いにログインしている間だけのやりとりで済ませていたから、未読のメールなど全く気にもせず遊んでいた。だけど、今はNTからメールが来るかもしれないと思って、気にするようになったのだ。

 届いていたメールの殆どは、フレンド申請の依頼だった。

 俺はプロフからのフレンド申請を不許可にしていたから、メールで伺いを立ててきていたのだ。大抵の人は、テンプレ文面での挨拶で、俺が無視していたから何度も送り直してくることも無かった。

 ただ、一人だけ、毎日メールをくれる人がいた。初めはテンプレ文面だったのだが、次第に色々と書いて来るようになった。返事が無いことに対して、普通に文句を言ったり、下手に出て懇願したり、ツンデレ風だったり。素なのか、気を惹こうとして色々と試しているのか判らないが、読んでいて面白かった。リィナと名乗るその人から俺は『女の子からのアプローチを無碍にする』フラグブレイカーという有難くない二つ名を与えられていて、最近のメールタイトルにその名が添えられる様になっていた。


 平日もログインは欠かさなかったが、ゲーム自体はNT以外とは遊ばなくなっていた。彼女も毎日ではなかったが、ログインだけして、挨拶して近況を話したりしていた。

 二学期最初の日曜日には、一プレイだけだったが、一緒に遊んだ。やはり、彼女とは気が会う。

 彼女がログアウトした後、メールをチェック。そういえば、ここ二日ほど、いつもの人からのメールが来ていない。


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