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大通りにて

新たにブックマーク登録して下さった方、ありがとうございます♪

ここでお知らせを一つ。先日地の文に関するご指摘を頂き、検討した結果、登場人物達の文には( )を使用することに致しました。順に修正していきますが、ストーリー自体に大きな変化はありません。修正が完了するまで、数日お待ちいただければと思います!まだまだ未熟な作者ですが、これからもアドバイスや感想等、頂けると幸いです♪



「大丈夫?怪我はないかしら」


「あ、はい。助けて下さってありがとうございました。正直私だけでは詰んでいたので、ものすごく感謝してます」


結衣が頭を下げてお礼を言うと、銀髪の女性は笑顔で首を横に振って、


「お礼なんていらないわよ。私もたまたま道を一本間違えてしまっただけだもの。でもおかげで気付くことができて良かったわ」


(それにしても、この人一体何者なの?)


改めて女性の格好を見てみると、動きやすさを重視してはいるが所々にレースなどの装飾がある服に、膝上丈のマントを羽織り、腰には先程使っていた剣が下げられている。服を見る限り、町の女性が着ているような、いわゆる平民の服の質よりは数倍も良いように見えた。でもマントはいかにも冒険者のような雰囲気を醸し出していて、結衣には彼女が何者なのかよく分からないでいた。


「あの、先程の当て身…あれって凄腕の剣士にしか使えない剣術ですよね。まさか本物を見ることが出来るなんて思いませんでした!よろしければお名前伺ってもいいですか?」


結衣が勢いで名前を尋ねると、女性は困ったような顔になり、


「私は名乗る程の者でもないわ…という答えじゃダメかしら?」


(なるほど、何か名乗ると困る事情があるわけか。

こちらは助けてもらった側だし、名乗りたくないのなら強要できないな。別に悪い人には見えないしね)


「分かりました。ではお互い名乗りは無しと言う事ですね」


「理解が早くて助かるわ。さぁ、大通りにでましょうか」










ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


大通りが近付くにつれて周りの喧騒も戻り始め、数分後ようやく結衣は無事に大通りへとたどり着くことが出来たのだった。

結衣がホッと一息ついていると、近くにいた男性の二人組の話し声が聞こえてきた。


「おい、聞いたかよ。さっき出没したっていう魔物全部、片付いたらしいぞ」


「おおっ!そりゃあ良かったな。それにしてもさすがは騎士様方、行動が早くて助かったぜ」


(魔物?あぁ!さっき草原に出たっていうアレか!確か4体いたんだっけ。すごいな騎士って、もう片付いたんだ)


結衣が感心していると、男の一人が再び話し始めた。


「それがよ、どうやら違うらしいんだ!騎士様方が到着したのはつい先程で、行ってみたら魔物がいたにはいたんだが…全部死体だったんだと!!」


「「えっ?!」」


思わず結衣も、もう片方の男と一緒に驚きの声をあげる。だが興奮しているのか、男達は結衣には気付くことなく会話を続けていた。


「魔物達の致命傷となった傷は、どれも剣でつけられたものらしくてな、全て急所を一突きだったそうだ」


「騎士並みの腕…いや、それ以上じゃないか!」


「あぁ、だから今騎士様方はこの城下町を探し回っているよ。ぜひとも騎士に勧誘したいんだと。俺がこの事に詳しい理由も、騎士様方が広め回っているからさ」


(あの強そうな魔物全てに対し、急所を一突き…騎士ではないけれど、騎士と同等かそれ以上の腕前…あれ?)


「どうしたの?そんなに私を凝視して」


「…あのー、お尋ねしますが、先程までどちらに?」


結衣が恐る恐る尋ねると女性は笑って、


「城下町付近よ?」


(ごまかしたぁーーっ!これ絶対ごまかした!)


「そ、そういえば先程の不良とのやり取りの途中で、“今さっき剣を穢した”とか聞こえたような…」 

「ふふ、そうだったかしら」


結衣の指摘に目の前の女性は笑顔で首を傾げている。


(わー、これ確実に魔物倒したのこの人じゃん!騎士様方ーっ!ここにその張本人がいらっしゃいますよ~!!)


結衣がそんなことを心の中で思っていると、突然ビューッと大通りを、強めの風が通り抜けて行った。


「わっ、スカートめくれちゃうっ!」


慌てて短い丈のスカートを押さえながら、ふと結衣が女性の方に目をやると、女性のマントが風でなびいて…


「は?人形?!」


そのマントの裏に付けられた、無数のマスコット(?)らしき物達が姿を現したのだった…。


「そ、それ何ですか…?」


あまりにも異様な光景に、指をさしつつ結衣が問う。すると女性はウフフと笑って、たった一言で答えてくれた。


「趣味よ!」


(いやその一言で、その異様な光景片付けないでくれません?!うぅ、でも趣味と言われてしまうとそれ以上聞くのもなぁ)


「は、はぁ。そうですか、趣味ですか…」


どうやら女性はこれ以上あまり留まりたくないらしく、先程からキョロキョロと周囲を見回している。

そして騎士の姿を認めた途端、


「じゃあ私はこれで!あなたとはまたいつか、会えそうな気もするわ!今度は道を間違えないようにねーー!」


「あ、ちょっ!待ってーーってもう行っちゃったし…」


まるで先程の風のような速さで、女性は人混みに紛れて姿を消したのだった。

まるでこちらに歩いてくる騎士から、姿を隠すかの如く…



結局、詳しいことは謎のまま去った女性剣士ですが、彼女については第4章で登場予定ですので、それまでぜひ覚えていてあげて下さい♪

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