どうやら経験者だったようです
もう10月とか早すぎますね…。
早すぎるといえば、何気にもうすぐ100話なのですね∑(OωO; )はやっ笑
いつもお読みいただき感謝です♪
「まぁそんな事があってな、その縁で、時々お忍びのときに買いに来てくれてたんだよ。最近は顔見ないから、さすがにお忍びはもうしてないのかもなぁ」
「いやぁ、それはないですね…。っていうか姫様…」
そう呟くアッシュに突っ込みながら、フローラと別れるときに彼女が言っていた言葉を思い出す。
“知らない人にお菓子をあげると言われても、ついて行ったらダメだからね!”
(………)
「経験者だったんかいっ!!」
「ん?何がだ」
「…いえ、こちらの話ですのでお気になさらず。それよりもアッシュさんとフローラ姫様との意外な接点に驚きました。うーん、これなら私も一応自己紹介をしておくべきかもしれませんね」
「なんだ?メイド以外に何か接点があんのか?」
(アッシュが彼自身とフローラ姫との接点を、話の流れとはいえ語った時点で、私がフローラとの接点を隠す理由が無くなった。
まぁ元々素性をバラしてはいけないという命は受けてないしね。一応お忍びだし、誰彼かまわず言うのはちょっとだけれど、アッシュならば問題無いだろう)
「あーー、実はですねぇ。私、フローラ姫様の専属メイドだったりしまして…」
「は?!専属メイドって、あの?!」
結衣の告白に驚いたアッシュは、あんぐりと口を開けている。
「まぁでも階級は一般市民ですので、特に態度とか変える必要はないですよ?ついでに言えば今日ここに買い物に来たのも、姫様の命です」
「そ、そうだったのか。いや驚いたぜ…なら、とびきり上等なイーチゴを用意しなくちゃな!」
そう言ったアッシュは店の奥に一度消え、戻って来たときには、両手にイーチゴの乗った籠を2つ乗せていた。
「ほらよ、これがイーチゴの中のイーチゴ。いわばイーチゴの王様だな。ちょいと値は張るが、金はあるんだろ?」
「あ、はい。合わせて銅貨40枚分(4000ルピー)はありますね」
きちんと言えば袋の中には、銀貨3枚に銅貨10枚が入っている。
「なら平気だな。最高級イーチゴ2籠、合計3200ルピーだが…特別だ、3000ルピーにまけとくぜ」
「ありがとうございます!」
(これで無事にイーチゴ2籠を買う任務は遂行した。あとはこれをお城まで届ければ、ミッションコンプリート!)
「じゃあ私はこれで失礼しますねアッシュさん。お話、ありがとうございました」
「あぁ、フローラ様によろしくな」
こうしてフルーティーを後にした結衣は、急ぎ足で城への道を辿るのだった。
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アッシュと別れ、果物屋フルーティーからの帰り道。
「やば、道一本間違えた…行き止まりだし、引き返さなきゃ」
あと一本か二本先の道を曲がらなければいけないところを、どうやらそれよりも手前で曲がってしまったようだ。しかも似たような風景なものだから、行き止まりになって、ようやくそのことに気が付いた。
「あーあ、時間ロスしたな。早く戻らないと」
この道は行き止まりだからか人とすれ違うこともなく、やけに静けさが目立っている。だがそんな中で、回れ右して戻り始めた彼女の耳が、進行方向から複数人の足音を捉えた。
静けさで異常に目立つからだろうか、こんなにもこの足音に緊張感を覚えるのは…。足音からして、3人以上はいると分かる。
「行き止まりで人通りの少ない道に、複数人の足音。うわちょっと待って、これ展開読めてきた…」
今回ばかりは、ファンタジー小説を読んでいたことを少し恨んだ。なぜならこの後の展開が、ばっちり読めてしまうからだ。そう、恐らくこの足音をさせている人達の正体は…
「まずいまずい…これ絶対不良に遭遇パターンだ!」
複数人の足音から、この後の展開を読めてしまった結衣。その読み通り、不良は来てしまうのでしょうか…頑張れ結衣笑