メイド服のデジャヴ
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「それじゃあ食事も美味しく頂いたことだし、ユイのこの後の動きの確認からしましょうか!」
「行くことは既に決定なのね…りょーかい」
昼食を綺麗に食べ終えたところで、この後結衣が行く予定になっている“おつかい”の話題となった。
「まず最初にユイがすることはそうね…服装を変えることかしら。さすがにお忍びなのに、城下町へ王家専属メイド服で行くのはおかしいもの」
「あー、それもそうだよね…ってやっぱりこのメイド服、普通のメイド服とデザイン違ってたか」
「そうよ。そこまで大きくは変わっていないけれど、一目見れば区別はつく程度には変えているわよ。その方がユイの立場も皆が分かりやすいものね」
(今までは服装をじっくり観察している心の余裕も無かったから気付かなかったけど、よく見ると確かに、以前着たメイド服との違いが分かるね)
「じゃあ私は何を着ていけばいい?」
「あら、それはすぐに解決じゃないかしら」
結衣が首を傾げると、にっこり笑顔で微笑むフローラ。
(うん、これは悪い予感しかしないな…)
「王家専属メイド服はダメでも、“普通”のメイド服を着れば問題解決よ!」
(…あー、悪い予感的中です…ってなんか前にもあったなこの流れ!)
「じ、城下町にメイド服で行ったら目立つんじゃないかなぁ…アハハ」
「いいえ、普通のメイド服を着た人達なら意外と多いのよ?城下町だけあって貴族が住んでいることも多いから、その使用人達がよく城下町で買い出しをしているのよ。もちろんメイド服でね?」
「…ソウデスカ」
(恨むぞ貴族、憎いぞメイド服作った奴。
誰だ最初に使用人にメイド服着せたまま買い出しに行かせたのは!)
「じゃあ次に行く場所の確認ね!果物屋フルーティーって名前のお店でイーチゴを二籠、場所はさっき地図書いておいたからそれを持って行ってね」
「うん、分かった」
そう言ってフローラが渡してきた紙を受け取り、結衣はメイド服のポケットに折りたたんでしまった。
「私はこの後コック長と打ち合わせをして、下準備も進めておくから…そうね、一時間くらいで帰ってこれるかしら?」
「そんなに遠くないみたいだし、大丈夫だと思うよ。そっか、おやつに間に合うように作りたいもんね!」
結衣の言葉に、フローラがコクリと頷く。そしてテーブルの上に袋を乗せて、こちらに渡してきた。
「お金よ、銀貨3枚に銅貨10枚。これで十分足りるはず。あまり多くても困るでしょうしね」
(全く持って、その通りでございます。大金渡されたらどうしようかと少し思っていたけれど、常識的な王族で何よりでございましたです、はい。
さてと、今から用意しても約13時。14時に帰って来たとしても、そこから作って焼く時間がある。
うん、なるべく早く帰ってこよう)
「それじゃあ早速フローラの部屋にある普通のメイド服借りておつかい行ってくるので失礼します!」
「あ、待って!」
「はい?」
「知らない人にお菓子をあげると言われても、ついて行ったらダメだからね!」
(……姫様に問いたい。私のこと、何歳だと思っておられるのでしょうか!
精神年齢そこまで低くないのでだいじょぶです!と叫びたい。いやでも、この目は割と真剣に言ってらっしゃるな。心配してくれてるのだと捉えておこう。うん、そうしよう)
「大丈夫です、忠告ありがとうフローラ。では、行ってきます」
「行ってらっしゃい!気をつけてね」
フローラの見送りを受けながら食事の間を出た結衣は、支度をするべく、フローラの部屋へと向かうのだった。
次回、おつかい編突入です!数話はおそらく結衣・フローラサイド。
ちょっとクラインサイドは置いときます笑