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作り話?それとも真実?

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剣を鞘に納めたクラインを見て、シュバインはホッとしたような顔で説明をした。


「ほー。朝方手紙が投げ込まれ、そこに呪具を作り俺にそれで傷を作れば、俺は死ぬ羽目になると書かれていたーーーそう言うんだな?」


「そ、そうだ!だから、お前の命はすでに風前の灯火。ふん、私にこのような仕打ちをするからだ馬鹿め!」


その説明の余りの内容に、クラインは思わず溜め息をつく。


(こいつは馬鹿か…馬鹿なのか?そんな信憑性の無い作り話を話す位なら、せめてもう少し現実的な内容にすればいいものを…)


「あのなぁ、じゃあ聞くがその手紙とやらはどこだ?その説明が作り話ではないと、証明出来るのか?第一呪具といえば呪術だが、それが使えるのは東の魔女のみ。お前に使えるはずもない」


クラインは口では否定しながらも、心のどこかではある種の不安がよぎっていた。

“呪具”。この言葉を聞くのは、今日これが初めてでは無い。つい先程結衣の口から、同じ言葉を聞かされたばかりだからだ。

しかもそれは、シュバインに話を聞く前のことである。


(しかしある程度信用しているユイの言葉ならともかく、こいつの言葉を何の証拠もなしに信用するほど、俺は甘くはないつもりだ)


「ふん、手紙などもうすでに霧散した。信じる信じないなど知ったことか、いずれお前は私の言葉を否が応でも理解するのだ!」


だが理解したところで時すでに遅しだがな!とシュバインは不敵に笑う。


「お前な…。もしかして知らねえのか?呪術を使える東の魔女は、とうの昔に力を失っている。そんな彼女が呪術を使えるはずもないんだよ」


というわけでその嘘はバレバレ、意味ねぇよ。と遠回しに伝えたクラインだったが、それに対しシュバインはより一層笑みを浮かべるだけだった。


「ならばせいぜいお前を私が殺すとでも思っていればいいさ!この逃げ場のない鉄格子の中からお前をな!!」


シュバインは余程の自信があるのか、クラインが何を言おうとも“お前は死ぬ”の一点張り。

これ以上彼から何かを聞き出すことは無理だろう。

そう判断したクラインは声量を元の大きさに戻し、結衣のいる格子窓に向かって名を呼んだ。


「ユイ!」


「……」


「おい、聞こえてるか?」


「聞こえてるよ…」


クラインが尋ねると、結衣から返答があった。しかしその声音はとても悲しそうな、悔しげな声で…。


「…見つからないの」


おそらく結衣が探しているという、シュバインが投げた石器のことだろうとクラインは察した。


「あぁ、探してるってやつのことか。石を削って先を尖らせたものだ。その辺りに無いのか?」


「さっきからずっと探してるんだけど、どこにも見当たらないの!どうしよう、どうしようクラインっ!!」


徐々に冷静さを欠いていく結衣の声音は、それを見つけることがどれほど重要だったかを物語っている。彼女がそれほどまでに探す理由を、まだ自分は知らない。気になるのは彼女が口走った“呪具”という単語だ。事情を聞かないことには、何も協力などできないだろう。そう考えたクラインは、いったん門番の辺りで落ち合おうと提案したのだった。


徐々に遠退いていくクラインの後ろ姿にギラギラと憎悪の目を向けながら、シュバインは一人呟く。


「フッ、お前がどれほど否定しようとも、私には強力な味方が付いている。私はこの目でしかと見たのだ。手紙が文字通り、“霧散”する所をな!!」


シュバインの勝ち誇るような笑い声が牢屋に響く。

それは、クラインの姿が見えなくなっても、他の罪人達に一喝されても、止まることなく続くのだった…。



シュバインからの“呪具”という言葉には、微塵も信用しなかったクライン。では結衣が語る事情は…?信じるか信じないか、次回お楽しみに♪

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