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責める瞳

8月ももうすぐ終わりですね。暑さに負けずに、執筆活動頑張ります♪


城内を探し始めて数分後。

結衣の目に、目的の人物の後ろ姿が映った。


「あ、いた!クライン…様っ!!」


周りの目を気にして結衣は、彼に様付けをして呼び止める。


「ん?あぁ、ユイか。どうした、そんなに血相変えて。何かあったのか?」


「いえ、あったというかこれから起こるといいますか…」


口ごもる彼女の様子に訝しがりつつも、とりあえずこんな廊下ではなんだからと、近くの空いてる部屋に入った。

もちろん周囲の変な誤解を生まないよう、結衣がクラインに紅茶を淹れるという名目で。





「んで?今度は一体どうしたんだ。また何か、フローラを狙う奴の情報でも掴んだのか?」


クラインがそう言いつつ首を傾げると、髪で軽く隠れていた首筋が露わになる。






(えっ…嘘、今、確かに……)


その首筋を見た途端、結衣の顔から血の気が失せた。

チラリと目の端に映った、赤い色。それは確かに“血”の色であった。


「…クライン、ちょっと首筋見せて。お願い」


「は?いきなり何言い出すんだユイ…っておい、ちょっ!!」


(嘘…だよね、きっと私の見間違いだよね?)


クラインの非難の声を聞くことなく、バッと彼の近くまで行き、首筋の所に目を向けた。


するとそこにあったのは、結衣にとって今一番あって欲しくなかったもの。

“それ”の存在を認識した途端、結衣はその場でペタリと床に脱力した。自然と目頭が熱くなり、今にも涙が零れそうになる。



「っ!!嘘っ、やだ…やだよぉ。どうして?何でもう傷が…!!」


まだ血が乾いて間もない真新しい傷が、彼の首筋に付けられていた…。


そんな彼女の言動に、クラインが動揺しないはずもなくーーー突然泣き崩れた彼女に対し、彼はオロオロとするばかりだ。



「おい、ユイどうしたんだ突然!この傷ならかすり傷程度だ、そんな泣く程の傷じゃねぇだろ?」


(訳が分からないぜまったく…。どうしてこんなかすり傷で、ユイは泣いているんだ?しかも彼女自身の傷ならまだしも、俺に付けられた傷だ。

泣き崩れる理由が分からない)


「だ、大丈夫か?とりあえず落ち着け、な?」


「……」


「悪いが俺には、今お前がどうして泣いているのか分からない。俺で聞けることがあるなら、聞くぞ?他人に話してみて落ち着くこともあるしな」


クラインのその言葉に、結衣はようやく俯いていた顔を上げ、彼と目を合わせた。


「な?話してみ…」



「…どぉ、して?」


「ん?」


クラインには結衣の自分を見る瞳が、まるで責めているように見えた。彼女の話す声も、心なしか震えているように感じる。


「あなたほどの…あなたほどの剣技と察知能力があれば!かわせたはずじゃないっ!!」


「お、おい。落ち着けって…」


「その傷、誰かに付けられたんでしょう?!“俺の甘さが原因”?そんな反省をする前に、どぉしてかわさなかったの?」


「な、何でそのこと知って…」


不意打ちのような彼女の指摘は、クラインの心にグサリと刺さった。それもそのはず、自分でも気にしていたことを、他人の口から責められたのだ。しかも相手は、何も知らないはずの彼女。

クラインは何か言いたい衝動に駆られたが、“今は空気を読め”とグッと抑えて、何も言うことはしなかった。


そんなクラインの驚く声も今の結衣には届いてないのか、結衣は何も答えず、それどころか彼の胸にすがりつく。感情が抑えられないのか、嗚咽を交えながら結衣は問うた。


「ねぇ…ヒック…クライン答えてよ!どぉして…ヒックヒック…どぉしてかわしてくれなかったのよぉーーっ!!」



結衣の悲痛な叫び声は、部屋に響いた後、次第に空気に溶けて消えていく。

だが問われたクラインの心からは、そう簡単には消えてくれそうにも無かった。目の前で悲痛な声を上げて泣きながら、自分の胸にすがりつく、この彼女の姿と共に…。



結衣の願いもむなしく、クラインの首筋にはすでに傷が付けられていました。クラインを救う、残された手立ては…!?


そして最近作者が気になっているのはアルベルト兄弟についてです。この2人、ちゃんと皆様に受け入れられるキャラになれているのかな笑

うーん…作者にとって男キャラって書くの難しいです(^_^;


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