フローラからの相談事
新たにブックマーク登録してくださった方々、新たに評価してくださった方、ありがとうございます!
もう完璧創作意欲湧いております!!これからもどうぞお読み頂ければ幸いです♪
「それではごちそうさまでした」
「ごちそうさま」
フルーツを巡るちょっとした騒動(?)も、無事にフローラの仲裁で終わりを迎えたところで、朝食も同時に終了となった。
(さてと、色々考えたけど、やっぱりこれしかないよねぇ。うんよし、これで行こう!)
クラインが席を立ったのを見届けて、結衣はガタッと不自然でない程度に席を立ち、それから急ぎ足で扉へと向かう。
(クラウディア様ごめんなさい!今あなたとお話している暇はないのですっ!!
クラインの動向を確認するには、今彼女に捕まるわけにはいかないのだ)
心の中で謝って、結衣は食事の間をあとにする。どうやらクラウディアが呼び止めてくる気配は無さそうだ。
無事彼女との接触を避けられたことに安堵しつつ、結衣はクラインと同じ方向に歩き始めた。
と、そのとき…
「あ、待ってユイ!」
今し方出てきた扉の方から、結衣を呼び止める声が聞こえる。
「…げ」
「このあと大丈夫かしら?もしよければ私とお話しない?私もっとユイと仲良しになりたくて」
(全然大丈夫じゃないです!
少し照れながら言うフローラに、そう叫べたらどんなに良いだろうか。今の私の立場では、それは許されないのだけれど…)
「だ、大丈夫ですよぉ。で、でも私面白い話なんて出来ませんよ?」
食事の間を出たため敬語で返しつつ、お話してもつまらないですよ的な感じで、結衣はこっそり抵抗を試みる。
「あら、そんなこと無いわ?クラインと出会った時のこととかお話してくれるだけでも、十分楽しいもの!」
「…ソウデスカ」
(うん、ダメだなこれは。というかクラウディア様だけでなく、フローラも私と話したいって思ってること、すっかり忘れてた…)
ハァと心の中で溜め息をつきながらも、結衣は半ばやけくそ笑顔で返事をした。
「ではフローラ様のお部屋でガールズトークといきましょう!」
(それにもう、肝心のクラインの姿見えないし…。
計画狂ってしまったけれど、仕方ない。臨機応変に対応しよう)
そう思い直して、結衣はフローラと共に彼女の部屋へと向かうのだった。
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ーフローラの部屋にてー
「へー、クラインが魔物から救ってくれたのね!ユイが無事で何よりだったわ」
「あはは、確かにあの時は死ぬかと思ったよ」
ループをしても、ガールズトークの中心となる人物は変わらずクラインで、今は結衣とクラインの出会いについて話していた。ちなみにフローラが個人的な時は敬語を拒否…というより禁止したため、今は普通に話している。
「ねぇユイ。実は私、あなたに一つ相談があるの」
「相談?」
(何だろう、これはループ前の世界では起こらなかった出来事だ。もしかして、バッドエンドを避けるためのイベントだったりするのかな)
少し気持ちを引き締めて、結衣はフローラの言葉を待った。
「えぇ。あのね、実はさっきの朝食でのユイとクラインの掛け合いを見てて、思い出した事があるのよ」
「な、何を思い出したの?!」
(まさか、クラインの死に関する何か?)
「ど、どうしたの?そんなに身を乗り出して」
「あ…。ううん、気にしないで続けて?」
自分でも無意識に姿勢を乗り出していたらしい。
改めて結衣が座り直したのを見届けてフローラは、
「クラインが人の分のフルーツまで食べているところを見て思い出したの。前に私が焼いた、フルーツケーキのことを」
「…え、フルーツケーキ?」
「そう、フルーツケーキ。実は今朝の朝食に出されたフルーツはね、イーチゴって言ってクラインの大好物なのよ。前に私がそれを使ったケーキを焼いたら、ホールケーキ全部一人で食べちゃったくらい!」
(ん、イーチゴ?いやあれは完全に味的には“イチゴ”だったような…。あ、イチゴとイーチゴ、名前似てなくもないか。
それにしても確実にこれはクラインの死に関する話しでは無さそうだね)
「へ、へー。そんなことがあったんだ。それでフローラ、相談っていうのは?」
「私、今日の午後にもう一度、イーチゴケーキを焼こうと思うの!それをユイも手伝ってくれないかなぁって思って」
まさかのフローラの相談内容に、結衣はしばらくフリーズした。
「…へ?」
イチゴとイーチゴ。このネーミングセンスは決して作者のネーミングセンスが無いわけではないのです。フルーツを想像しやすいようにという“工夫”なのです!
…そう、ネーミングセンスが無いわけではないのです!決して!!笑