ループ開始~クラインを救え!!~
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「今回はここからスタートか…」
目を開けて、まず目に飛び込んできたのは部屋の天井。
そう、今回のループ地点はフローラの専属メイドのためにあてがわれた結衣の部屋だった。
「よし、今回のループ目標はただ一つ。ミッション発動、クラインを不可解な死から救え!!」
“頑張るぞ、おー!”と気持ちを高めて、前回と同じく結衣は、フローラの元へと行くための身支度を整えて、彼女の部屋の扉を叩く。
本当は今すぐにでもクラインの安否を確認しに行きたいのだが、なにせ自分は姫専属のメイドである。
感情よりも仕事が優先なのだ。
「それにもう確か、フローラ起きて身支度も整ってたはずだしね…」
これ以上待たせるわけにはいかないと、はやる気持ちを抑えて彼女が扉を開くのを待つ。
「はーい、ユイ?」
「おはようございます。…あと来るのが遅れてしまってごめんなさい、以後気を付けますね」
着替え終わっている姿を見た結衣がそう言うと、フローラは笑顔でそれを否定する。
こうして二度目の会話を繰り返し、二人は謁見の間へと移動した。
扉を開けて、その先に待っていた顔ぶれの中から、自然と結衣の目線は彼の姿を探してしまう。
いた!
目線が合って見返してくる水色の瞳は、早く挨拶しとけと言っていた。
「どうしたのユイ?何だかとっても嬉しそう」
「…へ?そ、そうですか?!あ、ごめんなさい早く挨拶しないとですね!」
「ふふ、慌てなくても大丈夫よ?ここにいる皆は挨拶が遅れたからと言って、怒るような性格ではないもの」
(参った、まさかクラインが生きていた喜びが、フローラに分かるほど顔に出ていたとは…。失敗失敗)
「お待たせして申し訳ありませんでした。改めまして、フローラ姫専属メイド、渡 結衣です」
丁寧に頭を下げて挨拶をすると、それを見ていた国王が笑って、
「あぁ良い良い。わしらしかおらぬ所では、もっと普通にして良いぞ?聞けばクラインとは、かなり親しく話すのだとか」
(げ、国王にバレてる。次期国王に対して馴れ馴れしい態度だよねやっぱり。…一応謝っておくべき?
というか何故だ、何故そんな事知ってるの国王様!
……んで、大抵こういう時には彼を見るとーーー)
「ん、どうしたんだいユイさん。そんなに僕のこと見つめて。…ちょっと、そんなジト目で見ないでくれないかな?」
(あぁやっぱり。絶対この人が伝えたな…。
余計なことを言わんで欲しいな、まったく!!私はちゃんと立場をわきまえているつもりなのに…まぁクラインに対しては、そうは言えないかもだけど)
「そんな目で見てませんよ~、嫌だなぁもう!ねぇ?シ・リ・ウ・スさーん!!」
にこぉっと微笑みながら嫌みを返せば、シリウスの顔が自然と引きつった。
「ハハ、ユイさんかわいい顔が台無しですよー」
「ウフフ~、それはどうもご丁寧に」
そんなシリウスと結衣の会話に少し苦笑いしながら国王は、
「そ、その調子だユイよ。身内しかおらぬ場では砕けて話してもらえると、わしも嬉しいのでな」
「そうですね、私も同じ気持ちですわ。仕方のない事とはいえ、やはり距離を感じてしまいますもの」
(あれ、今国王の後に話した人って…何だか軽くデジャヴだな)
「あ!初めましてクラウディア王妃様、改めまして、宜しくお願い致します」
前回よりも早い段階で、でも突然なのは変わらずに会話に参加したクラウディアに、慌てて結衣は挨拶をした。
「あら、私の名前をご存知なのね?嬉しいわ」
「もちろんです!ここにいる皆様のお名前は、全員存じ上げております」
(…知っているのは、ループ前の世界で紹介されたからなんだけどね)
そうとは知らない国王と王妃は、結衣の言葉に感心感心と笑って頷いている。
「さて、では自己紹介は省き、今日、皆を集めた理由である本題に入るとしよう」
「そうですね、フローラも混乱している部分もあるでしょうし。ではまずはクライン?説明を」
「は、王妃様。まず始まりはユイが俺に話したシュバインの護衛達が怪しい…」
話し始めたクラインの言葉を、促した本人であるクラウディアが遮り、
「あら、待ちなさいクライン。その言葉、一つ間違えていますよ?きちんと正しく言わなければいけませんね」
「…どこか間違えていましたか?」
(あ、この展開はまさか…!!)
「えぇ、呼び方が違いますよクライン。私はあなたに、より相応しい呼ばれ方があると思うのだけれど」
クラウディアの言いたい事を正確に理解したクラインは、案の定頬が少し赤らんでいた。
(うん、どんまいクライン。皆がいる前で言うの恥ずかしいんだろうけど……慣れてしまえ!!
ちょっとこっちを見て、助けろよ的な目線を送って来ているけれど、無視無視そんなの!
だって王族に一般peopleの私が、意見出来るはず無いじゃない?)
お返しに“ファイト!”と口パクで励ますと、クラインは諦めたような顔になり、
「では改めて義母上、説明させていただきます」
ややぶっきらぼうな声で、説明を始めたのだった。