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私とゲームをしませんか?

新しくブックマーク登録して下さった方、感想を新たに追加して下さった方ありがとうございます!すごい嬉しいです♪

「……ちょ、ちょっと待って下さい!何ですかそのペナルティーの内容!!異常な位に、ペナルティー大きくないですか?!」


(いやもうほんと、何なの一体!魔女じゃない人に使うと存在消される?そんな理不尽な話がありますか!!下手したら、魔女を封印しない方がマシな位じゃん!!)


「っていうか、そもそもどうして封印にペナルティーが存在するんです?!まるでゲームじゃあるまいし……」


結衣のもっともな疑問にアイヴァントは深く溜め息をつく。


「それはな……この封印方法を教えてくれた者に関係するのだよ」


「……封印を編み出した人ってことですか?」


「あぁ、この封印方法を編み出し、またそれを我々に教えた人物。それはーーー魔女自身なのだ」


「……はい?ーーー今、聞き間違いでなければ、魔女自ら教えてくれたとか言いましたか?!」


(ちょっと待て、訳が分からん。どうしてそんな自分達に不利な“封印”なんてものを、わざわざ教える必要があるの?実際そのせいで今、封印状態にあるわけだし)


「驚くのも無理なかろう。聞いた者は誰もが半信半疑の話なのだ……ユイよ、これからわしが言うことは真実だ。決して虚偽ではないからな?」


アイヴァントの念を押すような言い草が妙に引っかかるが、結衣は素直にコクンと頷いた。


「そもそも封印方法を提案して来たのは、姉フェリナの方でな。不測の事態が起き、もし魔女と敵対するはめになったときに備え、何の力も持たぬ人間が抗う術を提案してくれたのだよ」


(ふむふむ、ここまでの話は別に変じゃないよね?

だって例えば魔女の両方が敵の手に落ちた場合はかなりマズい。対抗策を練るのは当然だ)


「だが妹のクレアは封印方法を教えることにあまり乗り気では無くてな。彼女達からすれば、我々への忠誠心を疑われるような行為にも取れるだろう?」


「……まぁ、確かにそうですね」


「……そして、事実フェリナが危惧していた通り、不測の事態は起こったーーーそれは、身内の手によってであったがな」


「……はい?」


「不測の事態に関しては、今回話すことではない。今はただ、“ある事件が起きた”程度の認識で構わんーーーいや、そうしてくれると有り難いな」


そう話すアイヴァントの表情はとても悲しげで、ふと周囲を見回せば、事情を知っているらしき三人─フローラ・クライン・シリウスーの表情も陰っている。


(こ、これじゃあさすがに突っ込んで聞ける雰囲気じゃありませんって!)


「わ、分かりました。それ以上は聞きません……というより聞けません」


「……助かる。その事件のあとクレアは我々にこう言った。“私とゲームをしませんか?”、とな」


「……げ、ゲーム?!ーーーえーと、あまり冗談を聞ける気分ではないのですが……」


「ほう、やはり半信半疑だな?だから言ったはずだ、この話は虚偽ではないと」


「……本当なんですね」


「そうだ、ゲームの内容はこうだ。まずクレアが様々な者に化け、五日間王族に様々な方法で接触する。もしクレアが化けている者を一度でも見破れればゲームクリア、王族の勝利だ。素直に封印に応じると言った」


「見破れなかった場合は、どうなるのですか?」


恐る恐る尋ねる結衣に、アイヴァントは軽く目をつぶって返答する。


「……王族全員抹殺した上、民の約半分を抹殺すると宣言したらしい。すぐにでも実行できる実力を持ちながらそれをせずに希望を残したのは、せめてものかつての忠誠心故だとか言っておったそうだ」


「っ!!」


それはあまりにも大きすぎる痛手だ。

王族全員抹殺されれば、国は指導者を失って崩壊する。ようするにクレアは王族に向けて、“国を滅ぼさせて頂きます!”宣言をしたも同然なのだ。


その上、とアイヴァントは続ける。


「ゲームを始める前の王族は知らなかった。まさか封印にペナルティーがあることをな……」


「ま、まさかペナルティーを課した魔女ってフェリナではなく……クレアの方なんですか?!」


ーーー無言は肯定の証だろう。

しかもそれをゲーム始める前は知らなかったということは……


「察しの通り、王族の何人かはその犠牲者となったよ……その上残酷なことにクレアは、犠牲となった者の人数は教えたが、それが誰だったのかまでは教えなかったーーーこれがどんなに残酷な行為なのか、分かるだろう?」


「……っ、はい。名前も分からず、魔女に間違われた人に言われるまでは、その消えた人の存在にすら気付けない。こんなに悲しいことはないです!」


「……これが、わしの知りうる限りの封印に関する全てだ。信じるか否かはお主次第だがな」


何も言葉を返せない結衣を横目に、アイヴァントは他の三人に挨拶をして、部屋を去る。

結衣を下がらせずに自ら部屋を立ち退いたのは、彼なりの配慮だったのだろう。


重々しい空気が漂う中、結衣はただひたすらに魔女という存在について、様々な感情を巡らせるのだった。

活動報告にも書かせて頂きましたが、作者名を変更しました!

これからは“江笠愛”としてよろしくお願い致します!

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