朝の謁見
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「まさか私が寝ている間に、そんな騒動があったなんて……全然気が付かなかったわ!」
約一時間の説明を受けたフローラは、その内容の予想以上の深刻さに驚いていた。
「まぁ、お前にバレることだけは避けたかったからな。という訳で、俺達はユイにお前の命だけでなく、国としても救われたってことだ」
「そうだね、あんな奴が国王になんてなっていたら、それこそ国はリーズベルト国に取り込まれていただろう」
こんなにも感謝されるならば、結衣としても救うために命懸けで奔走したかいがあったというもの。
(今朝の夢が気になるけれど、今は取りあえず素直にこの感謝を受け取っておこう)
「いえいえ。結局私もクラインとシリウスさんがいなかったら、死んでたかもしれないですしね。感謝したいのは私も同じです」
「うむ、クラインもシリウスもよくやってくれた。わしからも礼を言うぞ」
「私もまだお礼が言えていなかったですね、ありがとうユイ」
(ん?あれ、さりげなく会話に交ざってたけど、今国王の次に話した人って……)
「おおクラウディア、そなたをまだ紹介していなかったな。ユイよ、彼女はわしの妻でフローラの母、クラウディアだ」
(やっぱり!ここまで約一時間、ずっと黙って話し聞いてたから、私から紹介してもらうべきか正直迷ってたんだよね)
さすがは王妃。
改めて見てみると、その美しさが鮮明になる。
その上フローラの瞳の色は、どうやら母親譲りのようだ。
「ご挨拶が遅くなり申し訳ありません。ワタリ・ユイと申します。以後、よろしくお願い致します」
「こちらこそ挨拶が遅れてごめんなさいね、クラウディア・エメラルドです。こちらこそよろしくお願いしますね」
「ついでにわしも改めて自己紹介をしておこう。国王をしている、アイヴァント・エメラルドだ」
(なんかいかにも王妃と国王っぽい名前出てきたな。いや、正真正銘二人は王妃と国王なんだけど)
結衣がそんなことを思っていると、シリウスが国王にかしずき、頭を下げる。
「主、一つだけ謝罪を」
突然の謝罪の言葉に、皆が驚いたように彼を見る。
「今回は事後報告のような形になってしまい、申し訳ありませんでした。本来ならば、クラインが部屋に押し入る前に主の許可を頂くべきだったのですが……」
「ああ、それについては俺に責任が。兄は俺が勝手に巻き込んだだけなんで。それに、“魂の誓い”を破らせかねない内容だったしな」
(魂の誓い?何その、いかにもファンタジーっぽいやつ)
「いやだからそれは多分大丈夫だと説明しただろう、クライン」
「まぁまぁ二人とも。此度は緊急だったのだ、結果良い方向に終わったのだから、事後報告でも咎めはせんよ」
「ありがとうございます、主。何はともあれ、“魂の誓い”を破るようなことにならなくて良かったです」
うんうん、と国王もその言葉に頷いている。
どうやら“魂の誓い”とはとても大切な物らしいと、その会話から結衣は悟った。
(知らないな。うん、分からないことは聞いちゃおう!!)
「あのぉ、すみません。“魂の誓い”って何ですか?」
「────あぁ、それもそうか。これは僕と国王にしか関係の無いことだからね。知らなくても当然だよ」
シリウスとアイヴァント王は互いに頷きあって、シリウスが説明のために口を開いた。
「そうだな、どこから話そうか。まずはユイさん、君は“魔女”を知っているかい?」
「ま、魔女?!この世界って、魔法が存在するんですか?」
魔女。
これまた突然発せられたファンタジックな単語に驚き、思わず結衣は聞き返す。
「なるほどね、どうやらそこから話すべきらしい。では、代表して僕が語るとしようか。魔女に関する物語を────」