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見覚えのない国王様

ようやく全試験が終了し、進級確定しましたので更新することが出来ました!

お待ち下さり、ありがとうございました♪



「───────ん、ここは……?」


意識を失っていた結衣が目を開けると、そこは先程までいた国王の寝室ではなかった。


見回せば見覚えのある風景が、ここが謁見の()であることを教えてくれる。


(えっ……と、どうして私はこんな所に?というかこの人は、誰?)


彼女が覚えている直前の記憶は、突然の胸の痛みと意識が無くなっていく感覚だけ。

やっと意識が戻ったと思えば、今度は目の前の玉座に見覚えのない年老いた男性が、頭に国王の印である王冠を被って座っている。


結衣の混乱も、仕方の無いことと言えるだろう。


「あの……」


恐る恐る声を掛けようとしたその瞬間、結衣の背後にある謁見の()へと続く扉が、外から叩かれる音がした。


「入りなさい」


その言葉に応える代わりに、ゆっくりと扉が開かれる。


「えっ!!」


そして、扉の先に立つ人物の顔を見た途端、結衣は思わず驚きの声を上げていた。


なぜならその顔は、以前1度だけ会ったことのある人物の顔と、驚くほどよく似ていたからだ。


サラリと流れるような白色の髪を腰のあたりまで伸ばし、その色によく映える金色の瞳は、真っ直ぐに国王を見つめている。

そして彼女にとって象徴とも言えるであろう、黒色のとんがり帽子を頭に被った女性の年齢は、だいたい30代と言ったところだろうか。


以前光の村にトリップして初めてその姿を目にしてからというもの、結衣が彼女の姿を忘れたことはない。

だからこそ、見間違えるはずもなかった。

結衣にとっては元“謎多き声”の(ぬし)であり、このエメラルド国では“西の魔女”と呼ばれている女性────


「フェリナ……さん?」


その問い掛けに、フェリナが答える様子はない。

否、結衣の存在すらも、まるで気付かないかのように、フェリナは真っ直ぐに結衣の立つ方へと向かって歩いてくる。


(えっ、ちょっ……そのまま来られるとぶつかるんですけど!!)


「─────っ!!」


避けようとするも運悪く足がもつれ、結衣はその場に尻もちを着いた。

直後に来るであろうフェリナとの衝突を覚悟して、結衣はギュッと目をつむる。


「…………?」


しかし、いつまでたってもその衝撃が訪れることはなかった。

不思議に思い、恐る恐る結衣が目を開けてみると、目前にフェリナの姿はない。


「お呼びでしょうか、国王様」


代わりに、自身の背後からフェリナの声が聞こえてくる。

振り返ってみれば、彼女は国王に向かって一礼し、頭を下げていた。

国王も国王で、目線はフェリナだけを捉えている。


(え、この人が国王?いやいや、どこからどう見てもアイヴァント様と顔が違いますけど……)


「顔を上げなさい、フェリナ。忙しい中、呼び出してすまんな。内密に、そなたに話さなければならぬ事ができたのだ」


「はい、大体の察しはついております」


内密な話だというのに、2人とも結衣のことを気に留める気配は無い。そして、見覚えのない“国王”の存在。その様子に、さすがの結衣も違和感を覚えた。


(これって、もしかして……よぉし)


そろそろとフェリナのすぐ後ろまで近づくと結衣は、意を決して大きく息を吸い込む。


そして、そのまま結衣は彼女の耳元で───────


「────わっ!」


一声大きく、叫んだのだった。


(ほほーう、反応無しですか)


かなり大きな声で驚かせたにも関わらず、フェリナがその声に驚く素振りは一向に無い。

それどころか、国王とフェリナの会話は続いていた。


「……やはり数カ国が同盟を組んだという話は、真実のようだ。数ヵ月後には我が国に、大量の敵兵が攻めて来るだろう」


「そう、ですか……今までは後衛から軍を支援して参りましたが、それ程までに大軍を相手にするとなるとやはり、前線に出ざるを得ないと思いますわ」


(ふむ、何やら大事そうな話をしてるみたいね。まぁ、私には関係ない!よーし次、第2段階行ってみよーっ!!)


2人の深刻な雰囲気とは正反対に、結衣は意気揚々とフェリナの前まで行くと、今度はヒラヒラと目の前で手を振ってみる。


「おーいフェリナさん、こーんにーちはーっ!」


が、フェリナがその手に反応する様子もなかった。


(な、ならちょっと冒険して……っと)


ゴクリと唾を飲み込むと結衣は、そのままその手をフェリナの身体へと近づけて行く。

そして、当然その手はフェリナの身体にぶつかる



───────はずだった。


しかし実際に結衣が受けた感触は、まさに“無”。

フェリナの身体のどこにも触れることなく、結衣の手は彼女の身体を突き抜けていた。


(て、手が……すり抜けてる!!)


目の前で起きていることの実感がわかず、結衣はしばらくフェリナの身体から、手を抜いたり入れてみたりを繰り返す。そして、手だけではなく自身の身体も、同じくフェリナに触れることは叶わないことが分かったのだった。


(私の身体自体が、この空間に認識されていないみたいね。ということは、やっぱり……)


そう、まるで存在を認識されていないかのような、2人の態度。そして、触れることなくすり抜けてしまう自身の身体。


この2つが意味する事とは、つまり───────


(これは、今私が見ているこの景色は……過去の景色なんだ!)



嬉しい事に、先日総合ポイントが800を超えました!いつも応援して下さる皆様に感謝しつつ、次に目指すは4桁、1000ポイント超え!!

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