死因は毒?それともーーー
約1カ月に渡り、更新お待たせしておりました。
変わらずにお待ちくださっていた読者の皆様に、心からの感謝を(〃ω〃)
ありがとうございます♪
「あ、ユイさん。お帰りなさい、国王様のご様子はどうだった?」
食事の間に結衣が戻ると、すぐさまシリウスが気付いて声を掛けて来た。
よほど主の不調が気になっていたのだろう。
「朝よりもだいぶお顔の色が良くなっておられました。部屋には王妃さまもおられましたし、心配はいらないと思いますよ!」
「そうか、良かった。僕はまだここを離れられそうにないからね、本当に助かったよユイさん」
「いえいえ!むしろ役目を与えてくださってありがとうございました」
部屋の中に設置された時計を見ると、まもなく針は12時を指そうとしている。
朝の騒動からもうすぐ3時間。
被害報告はようやく無くなり始めたらしく、シリウスの今の仕事は、原因を究明する事に焦点を当てていた。
「一体どれだけの貴族が被害に遭ってしまったのでしょうか……」
結衣の何気ない呟きが聞こえたのか、シリウスの顔が暗くなる。
「今の時点で被害に遭った貴族の数は、24。多少の時間差があるとはいえ、発生した時間帯はおよそ同じだった」
「一致点は他にもあったのですか?」
「一応ね。どの貴族も異変があったのは、朝食を食べているときだったそうだよ」
「えっ、じゃあやっぱりどこかに毒が?!」
原因が毒であるならば、先程クラインと結衣が持ち帰った物の中にもあった可能性はかなり高い。
クラインが連れて来たメイド達の姿が部屋の中に見えないことを踏まえると、どうやら調査は終わったようだった。
既に毒に関する何らかの手掛かりを得たと見て、間違いないだろう。
(その割には、シリウスさんの表情が晴れないんだよなぁ。ってことはーーー)
「……さすがユイさん、察しが早いね。残念ながら2人が持ち帰ってくれた物のどこからも、毒は検出されなかったんだ」
「そうだったんですか……。でもそれじゃあ毒は、一体どこにーーー?」
目ぼしいものは全て持ち帰って調べたはず。
それでも毒が見つからないとなると、これは毒以外の線も濃厚になってきただろう。
「今クラインが、被害に遭った他の貴族の屋敷にも訪れている。最初に見たところと比較して、何か掴めるかもしれないと考えてね」
「なるほど!それでクラインの姿が見えなかったのですね」
結衣が頷きながら納得していると、“ところで”、とシリウスが続けた。
「ユイさんはこの後どうするの?僕はこれから報告書の作成にあたるから、そろそろここを離れるけれど」
「うーん、そうですね。一旦フローラの所へ戻ろうかなぁ。もうすぐお昼になりますし」
そんな会話をしているうちに、タイミングよくお昼を告げる鐘が鳴る。その鐘を聞いてシリウスは、あぁもうそんな時間なのかと呟いたのだった。
「僕がこの部屋を出て行けば、すぐにメイド達が昼食のセッティングを整えると思うよ」
「それじゃあ私は、フローラを迎えに行ってきますね!」
「うん、よろしく頼んだよ」
シリウスに別れを告げて、結衣はフローラへの部屋へと続く廊下を歩く。
城内はいつも以上に人がせわしなく動き回っており、特に衛兵の数が多い。
(大勢の貴族が一度に突然死って不気味過ぎるでしょ、ほんと!早く解決するといいんだけれど…)
しかしもう自分にできることはほとんどないだろう。
今はせめて皆の迷惑にならぬよう、フローラと共にいるのがベストであるに違いない。
「ーーーよし!朝から動き回ってお腹も空いたし、早くフローラと一緒にご飯食べよう!」
そう思い直してから、フローラの部屋の前に立つ衛兵2人と挨拶を交わした。
そして軽くノックをし、名を告げる。
「はーい、入っても平気よ」
中から明るいフローラの返事が聞こえた後で、結衣は扉を開けた。
中に入ると、フローラは花に関する勉強をしていたのだろうか。
机の上には、様々な植物に関する本が置かれている。
結衣に気付くと、フローラは読んでいた本から顔を上げた。
「お待たせフローラ!それと、朝から急に側を離れてしまってごめんなさい……」
彼女の言葉にフローラは“気にしないで!”というように笑顔で微笑んだ。
「ユイ、おかえりなさい!ちょうど今、ユイを探しに行こうと思っていたところだったのよ。そろそろお昼ご飯でしょう?一緒に食べましょ!」
「うん!あ、もし勉強中だったなら、ここにお昼ご飯運んでもらう?すぐに食事の間も使えるかわからないし」
「お父様やお母様、それにクラインとシリウスは一緒には食べないの?」
「国王様はお部屋で昼食を取られるそうだよ。さっきお部屋に伺ったら王妃様もいらっしゃったから、きっと一緒に食べられるんじゃないかなぁ。クラインもシリウスも、まだ手が空かなくて無理みたいだしね」
「そうなのね、じゃあここで食べちゃいましょうか!
うふふ、ユイと2人でお食事なんて久しぶりね!」
フローラの部屋で昼食を取ることにしたことを伝えるべく、結衣は厨房へ向かうことにする。
「それじゃあ、ちょっと行ってきます」
そうフローラに挨拶をして、結衣は厨房へ向かうため、再び部屋を出て行ったのであった。
春まではリアルの都合により、不定期更新となりますが、エタることだけはしませんので、これからもよろしくお願い致します( ´ ▽ ` )