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私にできること

新たに評価して下さった方々、ありがとうございます!(//∇//)


それからしばらくして後、食べ物とは別に食器の毒の有無を調べていた者が食事の()へと姿を見せ、結果を伝えに来た。


「クライン様、御命令通りに毒の検証を行った結果、こちらの食器類に毒は付着しておりませんでした」


「そうか、急がせて悪かったな。助かった」


「いえ!こちらこそ対してお役に立てず、申し訳ありません!それでは失礼致します」


「あぁ、また何かあれば頼む」


彼の持ってきた結果により、残る可能性は食べ物のみとなった。

そちらの結果もまもなく出そうだと、侍女達の方を見ながらクラインは思う。


「ねぇねぇ、クライン。私にも何か出来ることはあるかな?」


「ユイに出来ることか?ーーーそうだなぁ」


正直に言えば、今の段階で結衣に出来ることはあまり無い。

しかし皆が大変なときに、自分だけじっとしていられないのだろう。

そんな彼女の気持ちを思うと、何か頼めるものはないかとクラインは考える。


すると、それを見ていたシリウスが名乗りをあげた。


「だったら、僕からユイさんにお願いしても構わないかな?」


「はい、もちろんですよ!私は何をすればいいですか?」


「国王の様子を見てきて欲しいんだ。今朝、あまり体調が優れない様子だっただろう?今は大事をとって、休んで頂いている。本当は僕が行きたいんだけど、ご覧の通りまだここを動けそうに無くてね」


「なるほど、分かりました!」


「ごめんねユイさん。これは信頼できる人にしか頼めない。君だからこそ、頼むんだよ」


専属騎士がそばを離れ、国王も体調が優れない今など、暗殺するには好都合。

シリウスのことだ。警備は万全だろうが、よほどの信頼が無い限り、そばに行かせることなどさせないに違いない。


だからこそ今のシリウスの言葉に、結衣は心底嬉しい気持ちになったのだった。


「それでは今から行ってきますね。また後ほど、報告に来ます!」


「うん、悪いけど頼むよユイさん」


シリウスとクラインに挨拶をして、結衣は食事の()を後にする。


そしてアイヴァントが休んでいる彼の寝室へと、歩き始めたのであった。







ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


国王の寝室の扉の前には、4人の衛兵達が立ち、部屋の外を警護していた。

結衣が部屋の近くまで行くと、それに気付いた衛兵の1人に止められる。


「おいそこのお前、止まれ。この部屋は許可なくメイドの立ち入りを禁止されている」


「あ、えっと。シリウス様から国王様の元へと伺うように頼まれておりまして」


結衣が用件を言うと、衛兵の1人は馬鹿にしたような顔で笑った。


「ふっ、一介のメイドに頼むわけが無いだろう。つくならば、もう少しマシな嘘をつくんだな」


「えぇ……本当の事なんだけどなぁ」


(っていうか私、一応貴族なんだけど。貴族にそんな態度していいの?ーーーあ、今の格好はメイド服だったわ)


困ったなぁと結衣が悩んでいると、やり取りに気付いた他の衛兵が慌てたように衛兵に声を掛ける。


「おまっ、気付かないのか?!そのメイド服、専属メイドの物だぞ!」


「なにっ?!ほ、本当だ。他のメイド服とは確かに違うな」


ようやく結衣が何者であるか気付いたのだろう。

指摘された衛兵は、慌てて結衣に頭を下げる。


「も、申し訳ありません!存在は聞いていましたが、実際にお見かけしたことが無く……」


「あーーー、普通のメイドに比べて人数少ないですからね。仕方ないですよ」


(まぁ信じてもらえなければ、まだ専属メイドの証である腕時計もあったしね)


「本当に申し訳ありませんでした。どうぞお通り下さい。国王様は、中でお休みなさっておられると思われますが、中には王妃様もおられます。扉を叩いて、問題ないかと」


「えっ、王妃様もおられるのですか?!……そうですか、ありがとうございます」


(マジか、何も起こってないといいんだけど……よし、とりあえず入らなきゃ)


トントン、と部屋の扉を静かに叩くと、中から王妃が来訪者の名を訊ねるが聞こえた。


「フローラ様専属メイドの、ワタリ・ユイです」


「あら、どうぞ入って構わないですよ」


「失礼致します」


許しをもらい、結衣は部屋の扉を開ける。

そして、王妃ーーーもとい東の魔女の待つ寝室へと、足を踏み入れたのであった。






王妃、何もしないでね?(*^-^*)

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