ミュンヘン家にて
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城下町へと続く道を、一頭の馬が駆け抜ける。
朝日が昇って間もない朝の風はやや冷たく、結衣とクラインに吹きつけた。
馬は貴族街の一角にある、屋敷の前で足を止める。
「着いたぜ。ここが最初に報告のあった、ミュンヘン家だ。貴族位で言えば子爵にあたるな」
そう言いつつクラインは先に馬を下りると、まだ馬上に残っている結衣に向けて手をさしのべる。
「結構早く着いたね。あ、手を貸してくれるの?ありがとう」
「あぁ、掴まれよーーーって、冷たっ!!悪い、飛ばしすぎたか?」
予想以上に冷たい結衣の手に、クラインは驚き謝った。
「え?いやいや、大丈夫だよ!無理やりついてきたのは私だし、向かい風のせいだから。それよりも、中に入ってみない?」
「……そうだな。何か情報が手に入ると良いんだが」
クライン達が話していると、屋敷の中から警備兵が姿を現す。
おそらく馬の蹄の音で気がついたのだろう。
どうやら普段屋敷の門を守っている警備兵も、今は屋敷内の混乱を収める役に徹しているらしかった。
「これはクライン様!ご足労、感謝致します」
「詳しい状況を知りたい。誰か説明の出来る者を。それから一家で生存している者はいるか?」
「はっ!即座に侍女を呼びます。また、一族で生存なさっているのは、次女のリゼッタ様お一人です」
「……そうか」
「よ、良かった。一人でも生存者がいたんだね。彼女から、何か聞けるかもしれないよクライン!」
そう結衣が言うと、クラインはゆっくりと首を横に振る。
クラインと結衣が警備兵に続いて、屋敷の玄関をくぐると、どこからか赤ん坊の泣き声が微かに聞こえてきた。
その泣き声と先程の警備兵の発言で、結衣はまさかとクラインを見やる。
その結衣の視線の意味を、クラインも察したのだろう。
「あぁ……リベット・ミュンヘン嬢は、赤ん坊だ」
苦しげな表情で下を向きながら言うクラインの返答に、結衣はガクリとなった。
「そ、そんな……じゃあ、赤ちゃんを一人残して他の家族はみんな死んでしまったの?!そんなの……そんなの悲しすぎるじゃない!!」
結衣の悲痛な叫びが、屋敷の玄関ホールにこだまする。
そして、その気持ちに同意するかのように、屋敷に仕える者達もすすり泣いていたのだった。
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「こちらが現場になります。そして、彼女が侍女長のフィルです」
警備兵の案内で、屋敷の一室に通されたクラインと結衣は、そこで待機していた一人の侍女を紹介された。
名前を呼ばれたフィルは、静かに頭を下げて挨拶をする。
「侍女長の、フィルと申します。この度の一連の流れの説明など、微力ながら助力させて頂きます」
「あぁ、よろしく頼む。見たところ、ここは食事をする部屋みたいだな」
「はい、旦那様方はここで朝食をお取りになっており、そこで事件が起きたのです」
部屋には長いテーブルが1つと、それを囲むようにして、人数分の椅子が置かれていた。
テーブルの上にはまだ食事が乗せられたままになっており、しかしそれらの湯気はたっていない。
「現場には手を着けないでいてくれたみたいだな、助かる」
「恐縮です。そして朝食を取られている途中ーーーあれは食後のフルーツを召し上がっておられた頃でしょうか。急に旦那様が苦しみ始め、それに続くかのように奥様、ご長男様も……即座に侍医を呼びましたが、為す術無く、皆様息を引き取られました……」
侍女は話を終えたのか、クラインと結衣に一礼をして、現場を後にした。
案内をしていた警備兵も、それに続いて退出する。
残されたクラインは、何かを考えているかのようにじっと黙ったままである。
彼の隣で話を聞いていた結衣は、クイクイとクラインの裾を引っ張った。
「ねぇ、要するにこれってさーーー毒殺?」
「ーーーあぁ、恐らくそうだろうな。食事中に倒れたと言うのなら、その可能性が一番高い。とにかくテーブルの上を調べてみるぞ。毒ならば、成分を知るために出来れば採取したいからな」
「あ、そっか。今もまだ、被害が増えてる可能性もあるんだよね……」
「残念だが否定はできねぇな。でも、だからこそ無駄足で帰ることにはなりたくないだろ?今は俺らが出来る限りの事をしないとな」
「うん、そうだよね。よし、クライン捜査官!私も助力致します!」
そう言いながらビシッと手を額に添えて、結衣はクラインに敬礼する。
「ぷっ、何だよそれ。やっぱ、面白いなユイは!」
「えっへっへー、こういうの言ってみたかったんだよね!よぉし、捜査開始!」
クラインのポリス姿かぁ(*´ω`*)
意外と似合うかもしれない(゜▽゜*)ニヤニヤ
え、結衣?結衣はもちろんミニスカポリス(ΦωΦ)