行動開始
試験があったので急遽お休みしました!汗
すみません!
そして、ブクマ200件ありがとうございます!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ
衛兵の告げたあまりの報告内容に、その場にいた誰もが自分の耳を疑った。
しかしそれは仕方のないことでもあるだろう。
なにせ彼の報告が真実であるとするならば、この数時間の間に十数名にも及ぶ貴族達の命が、何の前触れもなく終わりを迎えたことになるのだから。
「……お、おいおいおい!一体何が起きてるんだよ!!」
突然の出来事にクラインが叫んだその間にも、次々と衛兵が情報を持って食事の間へと駆け付ける。
「ほ、報告致します!ベルナルド家全員の死亡が確認されました!」
「続いて申し上げます!!ミハイル家奥方の死亡を確認!」
「ほ、報告!報告……」
絶えることなく貴族家に起きた異変の報告は続き、食事の間は騒然とする一方だった。
「まずいな、ここが混乱状態になってしまっては、事態の把握に時間を要してしまう」
「くそっ、衛兵達も動転してる。何とかならねぇのかよ兄上!」
シリウスとクラインも、そう危惧して事態の収集をどのようにするべきか頭を抱えている。
そのときだった。
「皆、静まれぇぇい!」
国王アイヴァントの一喝が、騒がしい食事の間に響き渡る。
その迫力のある声音に、報告をしていた衛兵達は反射的に口をつぐんだのだった。
(こ、これが国王の気迫ってやつか。くそっ、何やってんだ俺は!次期国王の癖に、何も出来なかった!!)
悔しげに顔を歪めるクラインを横目で見ながら、シリウスは国王に頭を下げる。
「さすがです、主。感謝致します」
「いや、構わん。わしも何が起こっているのか早々に把握したいのでな」
国王の言葉に頷いて、シリウスは衛兵達に向き直る。
「報告があった貴族家の者に、各自詳しい状況を聞き、二時間……いや、一時間以内に私に報告!」
「「はっ!」」
シリウスの命を聞くやいなや、衛兵達は足早に食事の間を後にした。
「兄上、俺は最初に異変のあった貴族家に向かう」
「あぁ、頼むよ。現場に行けば、何か原因が掴めるかもしれないからね。僕はこのまま指示出しをしつつ報告を待とう」
それぞれやるべき事が決まり、クラインは即座に行動を開始する。
「ユイ、私達はいったん部屋に戻りましょう。ここにいても邪魔になるだけだわ…………ユイ?」
「ーーーあ、あぁごめん!ちょっと考え事してた。それと私、用事思い出したからちょっと側を離れても良いかな?代わりに父を置いてくから!」
「え、えぇ。構わないけれど……」
「ありがとう!ごめん、というわけでお父さん後はよろしく!」
「はっ?おい結衣、どこ行くんだ!勝手に決めるなよ!!」
いきなり巻き込まれて慌てる快斗に、心の中で謝りながら、結衣も駆け足で部屋を出た。
(もしこれも東の魔女の仕業なら、私が出遅れる訳にはいかない!あの王妃の微笑みは、絶対何かが起こってるんだ!)
もしかしたら結衣にしか気付くことができない何かがあるかもしれない。
そう考えて、じっとしていられる性格ではなかった。
行動派な彼女だが、フローラのいないところではただの一般人と同じ権限しか持たない。
何かをしようと動いた所で、すぐに制限が掛かるだろう事は目に見えていた。
かと言って、諦めるような性格でもない。
だからこそーーーーーー
「待ってクライン、私も行く!」
彼について現場を見てみるのが一番だろうと、結衣は判断したのであった。
まさに今、馬に乗って走り去ろうとしている彼を叫んで呼び止める。
「いや連れて行かねえよ?!まだ状況把握も出来てないんだ。危険かもしれない所に連れて行けるか!」
「足手まといなのは分かってるよ!でも、私しか気付けない何かがあるかもしれないの!」
苦しい理由なのは百も承知、しかしあの王妃の微笑みが、結衣を不安にさせるのだ。
「また何か、隠してるなユイーーーお前にとってそれが今、一番やらなければいけないことなんだな?」
「…………うん」
俯きながらも頷く彼女に、クラインは軽くため息をつく。
(まぁ確かに、今までユイの目の付け所は、どこか俺らと違ってた。そしてそれが悉く、俺らを救って来たんだもんな)
「ったく、しょうがねぇ……馬、乗れんのか?」
「う゛っ、すいません乗れないです」
しょぼんとする結衣の様子にクラインは、仕方なさげにポリポリと頬をかいた。
「ーーーっと」
「キャッ」
結衣の腰と膝の裏辺りに手を添えて、クラインは軽々と結衣を馬上に乗せる。
そして自分も彼女の後ろにまたがると、手綱を取って馬に合図を送った。
「うわぁっ!」
「飛ばすからな、しっかり掴まれよ!」
(お、お姫様抱っこされたぁぁぁっ!!!)
今までで一番国王が国王してましたね((((*゜▽゜*))))