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親子水入らずでお話を

先週は怪我により更新をお休みしてしまい、ごめんなさい汗

結衣達がパーティー会場であるアルベルト家に到着したときには、すでに全体挨拶などは終わっており、皆思い思いに料理に手を伸ばしていた。

今回は庭を開放しての立食パーティーとなっていて、次々と美味しい匂いを漂わせた数々の料理が運ばれて来ている。


「わぁ!どれも美味しそう。デザートもあるよ!」


「お、おい結衣。本当に自分まで付いて来てしまって良かったのか?何とも場違い感が……」


それらの料理に目を輝かせる結衣とは違い、カイトの方は周りの招待客達の服装や気品あふれる態度に、若干気後れ気味のようだった。


「だいじょぶだいじょぶ!こんなに美味しそうな料理がタダで食べられるんだよ?!食べないなんて勿体ないよ、お父さん!」


「……まぁ、それはそうなんだけどな」


そうこう話している内に、シリウスが結衣達に気が付いて、レオナと共に歩いて来た。


「やぁ。その様子だと、用事は無事に終わったみたいだね。それにーーー」


そこでシリウスは一旦言葉を切ると、結衣の隣にいるカイトを見た。


「彼が2人といるということは、証拠の方も見つかったようで何よりだーーーところで、カイト殿のその瞳の色は……」


(流石はシリウスさんの観察眼、恐るべし……)


先程、カイトは結衣達の前でカラーコンタクトを外した。そのため以前は金色だった彼の瞳の色は今、黒色である。

その違いに即座に気が付くシリウスの観察力は、流石と言ったところであろう。


クラインと結衣、そしてカイトは互いに頷き合って、結衣が口を開いた。


「実はシリウスさん達に言うことがあって。ここにいるカイトはーーーーーー10年振りに再会した、私の父親なんです」


「…………えっ?」


「そ、それ本当なの?ユイ!凄い偶然ね!いや奇跡だわ!!」


結衣からのまさかの告白に、シリウスとレオナは心底驚いたような表情になった。


クラインはと言えば、宣言通りにその表情を見逃すことなく、ひっそりと横で満足げに、にんまりとしている。


(……クライン、シリウスにバレないように笑いなよ?)


そして、しばらくして落ち着いた後のシリウスが最も興味を示したこと。それはーーーーーー


「こ、これを瞳に入れるだけで、瞳の色が変わるのかい?!……だけど瞳に物を入れるなんて痛みなどはーーーいや、そもそもこれは何が素材となっているんだ。まったく見当も付かないな」


よほどカイトの瞳の色の変化に驚いたのだろう。

カイトに借りたカラーコンタクトをしげしげと眺めながら、先程からずっと独り言を呟いている。


「おいシリウス……レオナとまだ挨拶周りの途中だろ?後にしとけーーーって聞いてねぇし」


その様子に呆れてクラインが声を掛けるも、耳には届いていないようだった。


「ったく……ユイ、カイト殿。どうだ?2人で積もる話でもして来たら。挨拶も済んだし、シリウスはしばらくあんなだろうからな。良ければ屋敷の部屋を、一室貸すぞ?」


「えっ、良いの?クライン」


(正直お父さんに聞きたいこととか話したいこと沢山あるから、願ってもないことだけど……)


「構わないぜ?好きな料理でも持って、そこで食べながらゆっくり話して来いよ」


「だって、どうする?お父さん 」


「迷惑じゃないなら、俺もそれは有り難いな。正直あまり落ち着けなくてな……」


「んじゃあ、決まりだ」


そう言ってクラインはメイドの一人を呼ぶと、静かで落ち着いた雰囲気の部屋に案内してくれた。


「では、ごゆっくりおくつろぎ下さいませ。ご用の際は、そちらのベルを鳴らして下さい」


その言葉を最後に、メイドはパタンと静かに扉を閉めて出て行った。

中には結衣とカイトが残される。


「ふぅ、やっと落ち着けるな。ーーー結衣、お前……王族に知り合い多すぎるだろ!!一般人だったお前が、どうやったらあんなに王族と親しくなれるんだ?!」


「ま、まぁ普通はそうだよねぇ。私も最初の頃、まさか王族とこんなに話すことになるとは思ってなかったし」


(予想外に取り乱してるなお父さん……クラインの提案に乗って正解だったみたいだね)


「俺は10年経っても使用人ーーーしかもデヴィールの使用人止まりだったのにな……まぁ良いか。とりあえず、結衣が無事で良かったよ」


「お父さんこそ、無事で本当に良かった。それにーーーお母さんを裏切ってなくて、本当に……本当に良かったよ」


母のことを口に出すとカイトは、悲しみを押し殺したような顔をした。

それもそのはず。カイトはまだ彼女の死を、つい先刻知ったばかりなのだから……。


「俺がもっと、帰ろうと足掻けば変わっていたのかもしれないな……いや、今更嘆いても後の祭りか」


切なげに呟く父を見て、結衣は慌てて話題を変える。

今は、今だけでも再会の喜びで笑っていてほしいと結衣は思っているからだ。


「そ、そういえばお父さんはどうしてこっちの世界に来たの?私の場合はーーー」


(……あれ、魔女に喚ばれたってこと、言っても大丈夫かな。心配だけど、お父さんは私と同じ異世界人。えーい!悩んでも仕方ないし言っちゃおう!)


「私の場合は、西の魔女に喚ばれて来たの。フローラーーーあ、フローラ姫の命を救って欲しいと、ある力を託されてね」


内心心臓をバクバクとさせながら、結衣は自分が異世界にいる理由を話した。

どうやら予想は当たっていたらしく、同じ異世界人である父に話しても、特にペナルティーなどが起きた様子は見られなかった。


(良かった、ようやく他人にこの秘密を話すことができた……)


今まで誰にも打ち明けることが出来ずにいた、自身の境遇。

それをようやく話せたという事実は、結衣に安堵感を覚えさせる。


「えっ、お前も西の魔女に喚ばれて来たのか」


「“お前も”?ーーーっていうことは、お父さんも西の魔女に喚ばれたってこと?」


「ん?あぁ、なぜ喚ばれたのかまでは知らないけどな。俺がこちらの世界に飛ばされる途中、俺は西の魔女と話をしたんだ」






どうやらカイトも西の魔女に喚ばれた様子。

果たして、カイトと西の魔女とが話したこととはーーー?

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