『再会』
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“やっと、会えた……”。
そう言われて彼と目が合ったその瞬間、結衣は胸の奥から何ともいえない感情がわき起こるのを実感した。
茶色の髪に金色の瞳をした彼の顔を見て、結衣はまさかと思いながらも確信を得られない。
「ど、どちら様ですか」
結衣の言葉を聞いて、カイトは苦しげな表情になる。
「覚えてない、か……いや、あれからもう10年だもんな。分からないのも無理ない」
そう言いつつ彼は自身の金色の瞳に手をやり、何かを外す仕草をした。
「「っ!!」」
途端、露わになった黒色の瞳が、周りの皆を驚かせる。
「な、なんで瞳の色が変わってんだよ!あり得ねぇだろこんなこと!」
「何だその瞳の色は!!どうやって瞳の色を変えていたのだ!!」
周りのざわめきが、なぜだか結衣には遠く感じられる。
瞳の色の違いから抱いていた謎は解けーーー今、確信へと変わった。
(そっか、カラコンだったのね。それに10年前に比べたら少し老けてしまったけれど、あの顔は間違いなくーーー)
「俺はーーー」
「あなたはーーー」
答えを口にする前の心臓は早鐘を打つかのように脈打って、まるで心臓が口から飛び出してしまいそうな程、緊張している。
だがそれは結衣だけではなく目の前のカイトも同じなようで、互いが互いを見つめ合いながら、続きの言葉を口にした。
「お前のーーー父親だ」
「私のーーーお父さん、だよね」
答えを予測していたからか、カイトの言葉を聞いた後も結衣は比較的、冷静さを保っている様子だった。
カイトも結衣が自身の正体に気付いてくれたことが嬉しいのか、安堵の表情を浮かべている。
しかし当然だが、周りはそうはいかない。
瞳の色は変わるわ、結衣の父親であるという突然の爆弾発言はされるわで、クラインはもはやどこに驚いて良いのかすら分からなくなっていた。
「父親って……本当なのか?!」
「うん、私もびっくりだよ。お父さんは10年前から音信不通だったから」
そう。約10年前のあの日、会社に出掛けたきり父が家に帰って来ることはなかった。
母は結衣が不安にならないよう、“海外へお仕事に行ってるのよ”と何度も言い聞かせてくれたものだ。
しかし、結衣が寝付いた後にひっそりと泣いていた母の姿を、結衣は忘れない。
成長するにつれて、結衣も父については敢えて触れなくなっていった。
おそらく父は、母と幼い結衣を捨てたのだろうと察して……。
「……まさかこんなところにいたなんて、想像出来るはずもないよ」
「ごめんな……。何度も帰る方法を探したり、何度も連絡しようとしたーーーでも、結局10年経っちゃったな」
そもそも、なぜ父は異世界にいるのだろうという疑問が、結衣の中で生まれる。
彼女は西の魔女に頼まれて、バッドエンドを変えるべくここに喚ばれた。
ではーーー父は?
まさか東の魔女に喚ばれたとでも言うのだろうか。
(尋ねたいけど、今はマズいか)
クライン達がいる今は、異世界の話をするべきではないだろうと、結衣は思う。
「良かった……お父さんは、お母さんを裏切ったわけでは無かったんだね。本当に……本当に、良かった」
安堵からか、自然と涙が溢れて止まらない。
「ーーー結衣」
そんな彼女の姿に、カイトも胸が締め付けられた。
「お母さんはーーー由美は元気か?」
「…………」
(そうだ、お父さんは知らないんだ。お母さんはもうこの世には、いないってこと……伝えなきゃ、私が)
「おかぁ、さんは……お母さんはね!」
話さなければと思うのに、言葉が上手く続いてくれない。
父は母を裏切ってなどいなかった。
この10年間、母が父に会いたいと願い続けたように、父も母に会いたかったに違いない。
だけどこれから例え元の世界に帰ることができたとしても、もう二度と2人は出会えないのだ。
そんな結衣の様子から察したのか、カイトはガクリとその場に膝をつく。
「ーーーそうか。もう、由美は……」
「……つい、数週間前の話だよ。最期まで、お母さんはお父さんの名前も呼んでた……」
そう寂しげに呟く結衣を見て、カイトはゆっくりと立ち上がる。
そして、優しく娘を自分の胸の中に抱いた。
「ひとりにさせて、ごめんなーーーもう、俺が付いてるから。だから、大丈夫」
「うん……うん!」
嬉しそうに頷く結衣を、カイトはギュッと抱き締める。
まるで、もう二度と離しはしないと誓うかのように。
元の世界で10年間ずっと出会うことが出来なかった父と娘は、思いがけず異世界で再会する事が出来たのであった。
カイトの正体は、結衣の父親でした。
彼がこちらの世界にやってきた10年前という数字と、年齢、そして結衣の“身内”発言がヒントでしたが如何でしょうか(*´ω`*)
そして第4章、2つ目の核が終わりを迎えました。
まもなく第4章、終了です(*・ω・)ノ