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懐かしい気持ち

新たにブクマ、評価して下さった方々、ありがとうございます!


そして数週間更新をお待ち頂き、本当に有り難うございました。

またお知らせが活動報告のみとなり、申し訳ありませんでした<(_ _)>

シリウスとレオナの結婚式は、大勢の貴族に祝福される中つつがなく行われ、最後は皆の盛大な拍手と共に終わりを告げた。


長い年月の果てに、ようやく結ばれた2人の幸せそうな表情は、結衣自身も幸せな気持ちにさせてくれる。


「それじゃあユイさん、僕たちは先に屋敷へと向かっているよ」


「はい!用が済み次第、私もクラインと共にパーティーへ伺いますね!ーーーシリウスさん、レオナさん、この度は本当におめでとうございます」


結衣の言葉に、2人は顔を見合わせて笑った。


「ふふっ、次はユイの番かしら?」


「あ、それは無いですね~」


「またユイさんはそんなことを……。ユイさんはとても魅力的な女性なんだから、近いうちにきっと良い相手が見つかるはずだよ」


(やめて下さいシリウスさん!それなんかフラグにしか聞こえないから!)


「いえほんと遠慮しておきますのでそれでは!」


何だかこちらが気恥ずかしくなるような台詞が次々と聞こえてきそうな気配を察知して、結衣は慌ててその場を後にしようとする。


(だって私は異世界人だもんね!)


「あ、ちょっと待ってユイさん!言いそびれる所だった」


「え、あ、何ですか?」


「もしも“カイト”という男性が現れたら、通すようにクラインへ伝えておいてくれるかい?彼もデヴィール子爵を追い詰めるのに役立つだろうから」


「え、……カイト?」


ピクリと反応を示した結衣の様子を、シリウスは見逃さない。

彼は出身不明の共通点を持つこの2人に、何らかの繋がりがあるのではないかと、思っている。

たとえ彼らに繋がりがあったとしても、国王やこの国などに害を及ぼす物でなければ別段問題はない。


シリウスとしては、その判断を下したいところなのであった。


「ーーー知り合いなのかい?」


内心を顔には出さずにシリウスは尋ねる。


「い、いえ。身内に同じ名前の人がいるので。……まぁ、こんなところにいるはずも無い人なんですけどね。一応伺いますけど、髪の色とか分かりますか?」


「確か、茶色の髪に金色の瞳をしていたと思うよ」


「うーん、でしたら微妙に違う人です。私の知っている人は、茶色の髪に黒色の瞳をしていますから」


結衣の言葉に嘘は無さそうだと思いながら、シリウスは頷いた。

この世界には髪の色を染める技術はあっても、瞳の色を変えるすべは存在しないからだ。

その上髪の色を変える方法も、一時的にしか効果は無い。


「それじゃあ、クライン待たせているのでこれで失礼しますね」


「うん、ユイさんまた後で」



シリウス達と別れた結衣は、急ぎ足で教会の控え室へと向かった。

そこで先ほどのデヴィール子爵との件について話すからと、クラインに言われたのだ。


ノックをして返事があるのを確認してから、控え室の扉を開く。


「お待たせして申し訳ございません、クライン様」


「いや、こちらこそパーティーへの参加を遅らせて申し訳ない。ワタリ伯爵」


今は公の場であるため、結衣は丁寧なお辞儀と共にクラインに挨拶をした。


(クラインに“ワタリ伯爵”って呼ばれるとか……くっ、やばい笑わないようにしないと!)


そしてクラインが座るソファの反対側に座っているのは、デヴィール子爵。

憎々しげな目でこちらを見ているが、結衣は敢えて目をそらすことにした。


その反応に、デヴィールはギリリッと奥歯を噛み締める。

だが結衣の態度は、別段可笑しいものではない。

貴族位が下の者に上の者から挨拶をすることは強制では無く、むしろ下の者が先に頭を下げて挨拶をするべきなのだ。


「さて、ワタリ伯爵もどうぞこちらに」


「有り難うございます。あ、クライン様にシリウス様から伝言があってーーー」


そう言ってクラインに“カイト”という男性のことをこっそりと伝える。

目の前にいるデヴィールに聞こえないよう伝えると、クラインは黙って頷いたのだった。


「さて当事者が揃ったところで、本題に入ろう。デヴィール子爵、貴殿はワタリ殿の爵位が伯爵であることを理解していながら、彼女に対し“お前”と発言されていた。違いないか?」


「……違いございません」


デヴィールの言葉に合わせて、結衣もコクコクと頷く。


「貴殿の言動が不敬罪にあたることは理解しているな?」


「……存じ上げております」


「処罰の内容は、後日伝える。貴殿はそれまで屋敷で待機していることだな」


「畏まりました……」


(つまるところ、自宅謹慎ってことかな?)


そう思いながらクラインを見ると、クラインはこちらを見て小さく笑い、こっそりと親指を上に立てた。


おそらく、思わぬ形でデヴィール子爵を追及する機会が訪れたと喜んでいるに違いない。


(まぁ、私は根っからの貴族じゃないから、貴族位の低い人に“お前”と呼ばれても、別に腹は立たないけどね。クラインの役に立てたなら良かった良かった)


「ワタリ殿も時間とらせて悪かったな、お詫びにパーティーまでエスコートさせて頂こう」


「……へっ?!」


真っ赤になる結衣にニヤリと笑いながら、クラインが席を立とうとしたそのときーーー


「クライン様、シリウス様に至急お会いしたいと申している者がおりますが、如何致しましょう。“カイト”と名乗っておりますが」


控え室の扉の外から、護衛の一人が来訪者の存在を告げた。


「なに?!カイトだと!!」


「あぁ、兄上から聞いている。通していいぜ、俺が聞く」


予想外の来訪者の名前に、デヴィールは驚きを隠せない。

そして扉が開き、“カイト”と呼ばれた男性が部屋の中に入ると、デヴィールはソファから跳ねるように立ち上がった。


「失礼致します。自分はデヴィール子爵に仕える執事、カイトと申します。本日はシリウス様にお渡ししたいものがあり、至急お時間を頂きに参りました」


「兄上から話は聞いている。弟のクラインだ、兄の代わりに話を聞こう」


丁寧なお辞儀と挨拶をする男性を見ながら、結衣はなぜだか懐かしい気持ちになっていた。


(何だろうこの気持ち。まだ顔だってまともに見ていないのに、まるで久し振りに親友と再会したようなーーー)


「顔を上げてくれ」


「はいーーーって、デヴィール様?!何故このお部屋に!」


「それはこちらの台詞だカイト!お前こそ、何をしている?」


「そ、それはーーー」


内容を言えるはずもなく、カイトは黙り込み目をそらした。

そらした視線は自然と部屋にいる他の人物へと移り……カイトの目はドレスを着た、一人の貴族を捉える。


それは今、カイトが最も会いたいと望んでいた存在。

会いたくて仕方なくて、どうしたらもう一度会うことが出来るのかと悩んで、悩んで……。


そんな存在が、カイトの目の前に今、立っていた。

 


「やっと……やっと会えたーーーーーー結衣」



お久しぶりの更新です!

とうとうカイトと結衣が出会うことなりました。


次回、本当の意味でのタイトル回収話です。

お楽しみに!


PS

もし一週間しても更新されていない場合、お休みしている場合があります。

エタることだけはありませんので、更新ないなぁと感じたら、活動報告を確認して頂ければ嬉しいです♪

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