レオナのお願い
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「2人ともお疲れ様でした!凄い迫力で、素人目にもこの試合のレベルの高さが伝わってきましたよ」
「あぁ、ユイの言うとおりだな。決闘前、レオナが突然俺に合図で剣を投げ渡すように頼んで来たのも、レオナの剣士としての成長速度も、全てが予想外だった」
上から観戦していた結衣と国王が、クライン達と合流する。
レオナはクラインから、マントを大切そうに受け取っていた。
「まさかレオナが双剣使いだったなんてな」
「バレることのないように、普段は剣を一本しか持ち歩いていなかったもの。気付かれる可能性はかなり低かったと思うわ」
「さすがは切り札、僕の情報網を警戒していたのか」
「正直次シリウスさんと戦ったら、確実に負ける自信はあるわね。不意をつくことが出来たからこその結果だもの」
レオナの言葉に続くように、国王が口を開く。
「シリウスよ。お主らの決闘、しかと見届けた。そして改めてここに、レオナ・ハーヴェイの勝利を宣言しよう」
その言葉に、レオナは一剣士として国王の前に膝をつく。
反対にシリウスは固く拳を握りしめるのだった。
「ありがとうございます、国王様」
「……悔しいけれど、僕では君から剣を奪うことは出来なかった。だから約束通りレオナ、君の望みを一つ聞くよ。君の言うお願いとは何だい?」
そう尋ねるシリウスの顔は悔しさで満ち溢れている。それはそうだろう。彼はつい先程まで、この国一の剣士“だった”のだから。
その上彼女へ告げるはずだった想いも、シリウスは伝える機会を失った。
それが今、彼にとって何よりも悔しくて仕方がないのだ。
皆が揃ってレオナを見る。
その視線を感じながらレオナは、手に持っていたマスコット付きのマントを、パサッと羽織り直した。
「シリウスさん、私はーーー」
改めて彼の名を呼ぶ彼女の瞳には、強い決意が見て取れる。
そんな彼女の様子に、結衣はごくりと息をのんだ。
「これから先、あなたの隣で、あなたと共に、剣の道を歩んでいきたいーーー私に、どうか背中を預けて下さいませんか」
そうレオナが告げた途端、闘技場内の時間がまるで止まったかのような静けさが訪れる。
特にシリウスはといえば、今告げられた言葉の意味をうまく理解出来ていないのか、はたまた現実が受け入れられないのかーーー。
唖然とした表情のまま、固まっている。
(これってもしかしなくてもーーー!!)
「告……白?」
結衣の呟きが聞こえたのか、見る見るうちにシリウスの顔が真っ赤に染まった。
(あ、この顔クラインみたい。やっぱ兄弟だなぁ)
などと結衣が冷静でいられたのは、おそらく当人の最も驚いている表情を、目の前で見ているからであろう。
「れ、レオナ?今のは……」
「に、二度も言う勇気は無いですよ!!」
恥ずかしげにそう叫ぶレオナも、頬をピンク色に染めている。その表情を見て、シリウスはようやく言葉の意味を理解した。
「れ、レオナも僕のことが?!ーーー両想い、だったのか」
ホッとしたように、嬉しそうにそう言うシリウスの様子に、結衣も頬をゆるませた。
(ふふ、シリウスさん良かったですねぇ!)
怖々と返事を待つレオナの目を、シリウスはしっかりと見つめる。
そして彼女の一歩手前まで近寄るとーーー
ゆっくりと片膝をつき、レオナの片手を取った。
その行動にレオナは耳まで真っ赤に染めて、結衣は“キャーッ!!”と心の中で叫ぶ。
(こ、これはっ!さすが騎士ですシリウスさん!!)
そして、唇をレオナの手の甲にそっと口づけると、
「喜んで」
そう微笑みながらシリウスは、赤らむレオナに返答をしたのであった。
さぁ次回からは、カイト編へと移行していくことと思われます♪
第4章、終盤へと突入です!