それぞれの想い
新たに感想を書いて下さった方、ありがとうございます!
今後の執筆意欲の糧とさせて頂きます(〃ω〃)
証拠を探すようにとシリウスに言われてから数日、あれ以降彼からの連絡は無い。
カイトもこれといった証拠を見つけられないまま、商館で紅茶の茶葉を購入する日々が続いていた。
そしてあまりにも毎日頼まれるため、なぜこんなにも茶葉を購入するのかと子爵に今朝尋ねてみたところ、どうやらこの茶葉は一部の者達の間で人気となっているらしい。
そこで子爵は商館の値段よりも若干安く売ることで、様々な貴族とお近づきになる機会を得ているのだった。
「貴族は様々な人物との繋がりが必須。これで我がアクマデス家も安泰というものだ!なぁ、そうだろう?カイトよ」
「……そう、ですね」
満足げにデヴィールはそう言ったが、ようするに貴族との関係を持ち続けることを目的とした、転売行為である。
しかし子爵が貴族であるが故に、商館側も見て見ぬ振りをするしかないようであった。
(これ、子爵を捕らえる理由としては十分じゃないか?あー、でも転売行為って罪になるのか聞かないといけないか。ーーーいや、そんなことよりも)
その件以上にカイトの脳内を占めているのは、“ワタリ・ユイ”の存在。
顔を見てからというもの、カイトは一刻も早く彼女にもう一度会いたくて仕方がなかった。
(頼む、もう一度でいい。もう一度だけでいいから!叶うなら、聞きたいことを一言だけ……)
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一方その頃シリウスはといえば、引き続きカイトに関する情報を探ると共に、とある準備を進めていた。
「シリウス様。明後日の昼、闘技場を貸し切ることができました」
「そうか、ではその日程でいこう。この手紙をレオナ・ハーヴェイ宛てに届けてくれるかい?僕は主に日程の報告をしてくるから」
「はっ、かしこまりました!」
そう、言わずもがなレオナとの決闘の準備である。
レオナの元へと届けられる手紙には、日時と場所、注意事項などが記載されていた。
(この戦い、王国一の剣士としてーーーいや、その前に一人の男として負けるわけにはいかないんだ)
「一つ、主に宣言したきことがございます。お聞き頂けますでしょうか?」
日程の報告をした後シリウスが、改まって国王に問うた。
「ほぅ、申してみなさい」
無意識に緊張しているのだろう。
すぅ、と息を一つ吸い込み息を整える。
シリウスの目は、まっすぐ国王を見据えていた。
「この戦いに勝った暁には、僕はレオナに求婚致します」
その言葉に国王はニヤリと笑う。
「……ほう?それは、何としてでも勝たねばなシリウスよ」
「はっ!!」
その数時間後、ハーヴェイ家の庭で鍛錬に励んでいたレオナの元に手紙が届くと、彼女は剣を鞘に納めて開封する。
「明後日の正午、王国闘技場にてーーーね。分かったわ、シリウスさん」
装備、服装は個人の自由で、勝負は木剣にて行われるとも書かれている。
決闘であるにも関わらずシリウスが木剣を選択したのは、必要なこととはいえ、やはり女性相手に剣を交えることに抵抗があるからなのだろう。
「まぁ命のやり取りをするわけではないものね。それに真剣でない分、重さも軽くなる。私の身軽さを活かすには好都合だわ」
そう呟き微笑みながらレオナは、止めていた鍛錬を再開させたのだった。
(私は負けない、負けられない。この戦いに私は、自分の想いすべてをかけているのだもの!絶対に、勝つわ!)
次回、決闘~シリウスvsレオナ~!!
そして先日古川アモロ様より、ファンアートを頂きました!ε=ε=(ノ≧∇≦)ノ
第1章20話と、第2章2話に掲載させて頂いてます♪
ぜひご覧ください(〃ω〃)